当店に関して言えば、HAT神戸灘の浜で店舗を出すにあたって、いくつか使用の条件があって・・・
①軒下から大きくはみ出すような展示はしない事。
②人が二人並んで歩けるぐらいの通路を確保する事。
③看板や幟は歩道に設置する場合であれば、軒下でなくても可能。(ただし歩道は市の管轄なので、交通の妨げになる等、神戸市から苦情が入った場合は即撤去。)
④レンタサイクルや、お客様の自転車の保管場所は店内に作るか、邪魔にならない場所へ移動して頂く。
主にそういった内容で、住民とは上手く共存して下さいという旨の説明を受けて今日に至る。
そういった事情もいたずらに商品在庫を抱えられない理由となっており、そんな事情も知らずにご来店されたお客様に「自転車ってこれだけしかないの?」とか言われると、実ははらわたが煮えくり返る程腹立たしい気持ちになってしまうという・・・。
まあ、最近は無駄に在庫を抱えない理由として、『お客様に妥協で買って頂きたくないから、即決で在庫を買わせるスタイルを取ってはいません!』といった、店舗としてのポリシーを挙げてはいますが、それでもどこぞのチェーン店や、ホームセンターなんかと同じ感覚で見られる事が屈辱以外の何ものでもない訳で・・・
そういう方が多くなった近年の日本人消費者事情として、最も許し難いと思えるのが、商品の軽視化・・・或いは自分の必要と思える対象物以外は、商品ではなく単なる景色の一部に過ぎないという見え方になっている現実である。
通路はタイル5枚分の幅を空けていれば人が並んで歩く事も、すれ違う事も可能である。
所狭しと自転車を並べて色々と見比べてもらいたい、『在庫量が命』というスタイルの大手チェーン店のような売り方ができないのは一目瞭然でしょ?
もちろん1店舗しかない個人商店じゃ、無駄な在庫は不良在庫になるリスクが高いので、在庫を下手に増やす事よりも運転資金を確保する方が優先になる事はごく自然な事。
100歩譲ってママチャリは在庫が残ってもどうにかできる!しかし流行り廃りが激しい子供用自転車や、毎年モデルチェンジするスポーツ車、バッテリー類の規格がいつ更新されるか判らない電動アシスト車などは、不良在庫として残った瞬間、商品価値が半減してしまうという事をご理解下さい。
食べ物と違って賞味期限が無いとはいえ、経年劣化もしますし、年式によって流行の色やデザイン、部品規格の違いなどがあって、できる事なら全て仕入れから1年以内に売って、新しい商品と回転させたいというのが理想であります。
スタンスとしてはセレクトショップのような感じで、品質もコストパフォーマンスも、デザイン性も含めて、「これは絶対に売れるし、お客様に満足してもらえるに違いない!」と思ったものしか、在庫として購入していませんが、中には予想を覆して『なかなか売れない子』もいるのです。
そして過去に当店で半年だけ在籍していた元スタッフで、「自転車を売ろうにも比較できる商品が少ないから売れない!」とか「ママチャリとスポーツ車を両立すること自体が愚かだ!」等と、自分の接客能力の低さを棚に上げて腐していた勘違い野郎が一人おりましたが、その件についても持論ではございますが見解を述べましょう。
まずスポーツ車というのはサイズ展開が豊富で、身長や体重、乗り方などによっても求められる物が変わってくるので、そもそも果てしない数の在庫を抱えていないと、即決でご購入頂き、乗り出して頂く事ができないという事がひとつ!
次にスポーツ車に関しては、見た目やブランドイメージから入る人が圧倒的に多いものの、真にユーザーが求めるべき、サイズ、乗り味、乗り心地・・・すなわち視覚的情報に囚われない、身体的及び体力的にフィットしたベストバイクを手に入れる為には、とりあえず現物に乗って頂かない事には正確な判断ができないというのが結論。
つまり必要なのは『選ぶべき在庫数』ではなく、実際に乗って感じる事のできる試乗車である。
だからといって常日頃、簡単にメーカーから試乗車を借りれる訳でもない。
試乗車はメーカーや卸、或いは店舗が試乗車用に購入した財産であります。
誰でも自由に乗り回して良いって代物ではございません!
落車して破損なんてされた時には、パイルドライバーで脳天かち割ってやろうか!って気持ちにだってなるかも知れません(笑)
当店はメーカーから借りていない時でも、初心者の方に感覚だけでも知ってもらう為の試乗車は用意していますので、それに乗って感じた事をあれこれ話してもらうだけで、「このお客様が喜ぶ(ピッタリ合う)自転車はこれだ!」っていうのが、ある程度は絞り込めます。
経験や商品知識のあるスタッフならそれが可能なはずなんです。
あっ!でも商品知識だけで満足しているスタッフ(自己満足野郎)はこれにあらずでした!(笑)
人によって体格も体力も、姿勢や生活習慣も異なりますし、過去の怪我や疾患、癖などで、必ずしも理想的なライディングフォームが作れる訳ではない事も考慮して・・・
且つ、今後の進歩や成長を見越した自転車選びをしてこそ一流!
人と自転車は人馬一体!身体の一部だっていうことを忘れてはいけません。
間違いのないスポーツ車を売る為に必要なことは、豊富な在庫よりも、そのお客様を知ろうとする努力と、そのお客様になりきった時に『必要とする性能』を持った自転車をどれだけ知っているか、そして実際に乗って頂くにしてもサイズやジオメトリー等、今後を踏まえてどう選ぶか・・・
如何にお客様目線でプロとしての選択ができるのか?そこに真髄があると思います。
あとママチャリや電動アシスト、子供用自転車など、幅広く商品を扱うことの意味ですが・・・
まず僕は「ロードバイクやMTB以外は自転車にあらず!」的な思想を持っている、一部のスポーツサイクル愛好家を軽蔑しています。
お金がかかっているか否か・・・だけの話であれば、そもそも議論にすらならない話題ですが・・・
根本的に数十万円~数百万円するロードバイクの存在や、価値、歴史を知らない一般人が多いという事が、上記のようなエゴイストを生み出した原因だと推測します。
『無知は罪なり』という言葉もございますが、趣味に生きる人にとって、その趣味に時間や予算をかけることは誇りであり、それを「そんなに高いのそれ?」とか「そんな自転車に大金をかけるなんてバカじゃないの?」、「その自転車高いの?5万円くらい?」等といった、およそ自覚の無い刃物のような言葉によって、傷つけられる事の精神的ダメージは計り知れません!
「ママチャリごときと一緒にするんじゃねぇ!」
全てはこの言葉・・・或いは類似する表現から生まれた憤怒が、一部のスポーツサイクル愛好家の価値観を歪めただけに過ぎないのだとは理解しています。
しかし・・・
それと「ロードバイクやMTBのメカニックは、街の自転車屋(ママチャリ専門店)より腕がいい!」とは話は別で・・・
ママチャリ専門店のメカニックだから腕が劣るって感覚は、根拠の無い妄想です。
確かに個人商店やママチャリ専門店には、必要最低限とされる全ての工具が揃っている店が少ないのも事実。
リスクマネジメントの結果、修理内容によってはお断りするお店も多いかも知れません。
ならば逆は如何でしょう?
スポーツサイクル専門店のメカニックであれば、ママチャリごときの修理なんぞ朝飯前か?
いや~っ!試してみたいですよねぇ~。
メンテナンス性や、移動の持ち運び等を考慮して、簡素化されたパーツ構成のスポーツサイクルは精度も出しやすくて、実は修理も組み付けも簡単なんです。
もちろんその分きっちり作業しないと、手抜きが見破られやすいので誤魔化しが利かない・・・結果的に工賃が割高になる(割高にする言い訳になる)のではありますが・・・
反面ママチャリは精度が出しにくい、しかしある程度ちゃんと組み付ければとりあえず走れる。
そしてママチャリのパーツ構成は複雑で多い。(基本的にメンテナンス周期は長めで、壊れにくい事を重視した構造の為)
つまりはママチャリの修理は面倒くさいし、常に手が汚れる作業しかないのである!
その面倒臭さとは対照的に、メンテナンス費用をかけたがらない我が儘な客層が圧倒的に多い事も、スポーツサイクル専門店のメカニックから蔑視される所以になっている。
その苦手意識を素直に認めないで「ママチャリなんて・・・」と見下している人が少なからずいる事は、紛れも無い事実です。
言い換えればママチャリできっちり精度を出せるくらいの技術も無くて、スポーツサイクルもクソも無いのです!
基本もまともにできない人が、いきなり応用なんて・・・見よう見真似で修理ごっこをしているに過ぎないと思いませんか?
自転車の形になっていたらそれで大丈夫だと思いますか?
自転車に無頓着な人が多数乗るママチャリのメンテナンスは、自転車がどういう風に傷んで、どうメンテナンスすれば乗り味が生き返るのだろう?といった基礎を理解するには必須なんです。
そもそもHAT神戸という立地条件でスポーツサイクル専門店なんて続くはずも無く・・・
幅広くこなさなければ、周辺住民の方々から必要とはされなくなります。
だって生活に一番必要とされる自転車はママチャリでしょ?
それでお客様の信用と信頼を勝ち取らないで、商売もあったもんじゃないでしょ?
なので同じ業界の人間の中にだって救えない勘違い野郎もいれば、世の中・・・在庫の大小で自転車屋の格を勝手に判断する「根本的に商売を解かっていない人」も多いのだという事を挙げさせて頂き、もしも心当たりのあるというお方は、改めて視点の角度をあれこれ変えて考え直して頂きたいというか・・・
自転車屋には、立地条件や店舗数、資本などによって、それぞれに考え方や方針があるのだということ、根本的にお客様が欲しい自転車のイメージをどのように考えて、どうスタッフに伝えるか・・・って事と、それに応えて限りなく100点に近い商品をお店側が提供できるか・・・ってところが一番重要なポイントであるとご理解頂きたい!
今回はそんなお話でした。
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