2022年10月2日日曜日

東京五輪応援の旅7月28日(水) ~その3~ 男子個人タイムトライアル・・・想像以上に熱い戦いでした!

 僕は五輪の個人タイムトライアルと言ったら2000年のシドニーオリンピックが忘れられない。


当時世界中のロードレースファンの多くはランス・アームストロングの正義をまだ疑うことなく信じていたので、世界中の癌患者の希望の星としての彼の金メダルを願っていた人が圧倒的に多かった。


でも僕のようにロードレースマニアな人間としてみたら、タイムトライアルのスペシャリストは他にもいる訳で・・・


とりわけ97年のツール・ド・フランスで誰も寄せ付けないサイボーグのような強さを見せつけてくれたヤン・ウルリッヒに本領発揮してもらいたい!と思っているファンも当時は少なからずいたはず。


そう・・・少なくとも当時の僕はアームストロングのアンチではないにせよ、USポスタルチームの圧倒的過ぎるチーム力と徹底したレースコントロールでアームストロングをツールの総合優勝に導くあのスタイルに反感しか無くて、「調子に乗ったアームストロングを気持ちよくぶち抜いてくれ!」って願望が確かにあったと記憶している。


だからウルリッヒがレコードタイムを更新した瞬間の喜びと言ったら・・・


同じ2000年のツールドフランスでは、ウルリッヒが久々の総合優勝をかけてアームストロングと争っており、またモン・バントゥの頂上ゴールでは一時は共闘する形でお互いをリスペクトし合うような走りをしていたパンター二に対して、ゴール後勝利を譲ってやった的な発言で侮辱したアームストロングにイラっとした事もあったので、最後の個人タイムトライアルでは圧倒的な走りを見せつけてウルリッヒに勝って欲しかったものの、アームストロングのイエローマジックを打ち破れずに敗北。


その後のシドニーだったので僕は余計に歓喜したのである。


しかし最後の最後で金メダルを掴んだのはベテラン中のベテランの、ビアチェスラフ・エキモフだった事も劇的かつ衝撃的でロードレースファンとしては感動の大会だった。(エキモフはかつてロシアの怪物と呼ばれたエース級の選手でしたが、この頃はアームストロングのアシストを務めていた)


尚、同じくシドニー五輪のロードレースの方はウルリッヒが優勝して金メダルを獲得している。


更に言うと4年後のアテネオリンピックの個人TTでは再び39歳のエキモフが金メダルという快挙を成し遂げている。


あの頃の参加選手の豪華な顔ぶれから考えると東京五輪はコロナの影響をモロに食らった感じが否めない。


逆に言うと僕自身が近年のツール・ド・フランス及びプロツールに興味がなくなりすぎて、最近はビッグネームの選手くらいしか知らない。


90年代~2005年くらいまではアシスト選手の名前までフルネームで覚えていたし、走りの癖や得意なレース展開まで網羅していた。


多分当時僕がツール・ド・フランスの実況アナウンスをしていたら、誰よりも選手の思惑を踏まえたアナウンスで熱く語れていたと思う。


そのくらい僕はロードレースオタクだった。


そんな僕が今では完全にロードレース熱が冷め切っているというのが悲しい現実。


それゆえ大変申し訳ないのですが、東京五輪のTTに参加する選手の事は一切下調べもせずに応援に行ってました。


ところがネガティブだった僕が参加選手名簿を見て興味を引いたのがアイルランドのニコラス・ロッシュ選手。


なぜならアイルランドのロッシュと言えば1987年のツール・ド・フランスで総合優勝したステファン・ロッシュの御子息である。


調べたら2009年にツールに初出場して総合23位とか、2010年のツールは15位、更にヴェルタで総合7位など、さすがにステファン・ロッシュの血筋だけあって総合力が高いイメージだ。


年齢的にはベテラン域に入っているけど、知っているネームって事もあって、どんな走りをするのかものすごく楽しみに感じました。


14:00を回り男子の競技が開始!


ニコラス・ロッシュ選手の紹介も始まりました。


女子の上位選手は31分~33分の間で混戦していたところをファンフルーテン選手が1分近く更新して30分13秒49で走っていますが、男子は同じコースを2周するので、単純にタイムを2倍して1時間。

つまり上位に入る為には最低でも1時間を切る事が条件になってくる。

僕の予想では男子の優勝タイムは56分前後と見ていました。


ニコラス・ロッシュ選手は決してTTに強い選手ではないので致し方ありませんが、記録は1時間01分23秒13と平凡なタイムでゴール。


57秒台を叩き出す選手が出て来てから一気に会場の歓声やどよめきが大きくなる。

この辺からTTスペシャリストと呼ばれる部類の選手の戦いになる。

僕ら世代はクリス・ボードマンに始まり、トミー・ロミンゲルやアレックス・ツェーレ、ミゲール・インデュライン、エフゲニー・ベルツィン、アルマン・デ・ラス・クエバス、セルゲイ・ゴンチャール、ヤン・ウルリッヒ等がTTスペシャリストの代表格であり、いくら強かろうがランス・アームストロングだけはそこに加えたくないという私情を交えていたのですが、まさに当時のそういった面子がタイムを競い合っているような熱い展開になってきました!


そして終盤!

オランダのトム・デュムラン選手がジロ・デ・イタリアで2度の総合2位の経験を持つコロンビアのオールラウンダーであるリゴベルト・ウラン選手のタイムを1分13秒も塗り替えて56分05秒58でフィニッシュ!

この辺りから観客席の人々はほぼスタンディングオベーション!


そして直後にプリモシュ・ログリッチ選手が更に1分以上更新してフィニッシュ!

ヴェルタ・ア・エスパーニャ2連覇中のTTスペシャリストにしてオールラウンダーです。

しかも彼はこの東京五輪のあと2021年ヴェルタで3連覇も達成!

この後もローハン・デニス選手、ステファン・キュング選手、フィリッポ・ガンナ選手の3人が、トム・デュムラン選手のタイムに迫ったものの僅かに届かず!

プリモシュ・ログリッチ選手だけが僕の予想していたタイムを大幅に上回る55分04秒19のタイムで金メダルという結果になりました。


帰りのバスからは富士山が見えました。


ヤバイ交差点ともお別れです。


東富士五湖道路からの夕日。


登山による脚のダメージはまだ残っていましたが、想像以上にすごいレースを観れた満足感で帰りが寂しく思えてくるような夕日です。


余りにもお腹が空いていたので、たまらず双葉SAでほうとうを頂きました。

この後留美さんと合流予定で松本方面へ向かいますが、諏訪湖でとんでもない雷雨に襲われる。

高速道路走行中なのに、車に叩きつけるような大雨で視界がほとんどゼロ!

雨雲の位置と動きを見る以上、中央道はしばらく荒れそうなので、雨雲が中央アルプスと南アルプスに挟まれて留まっているうちに抜け道から雨雲を避ける作戦に移る。

留美さんとは塩尻で合流!

塩尻も局地的な大雨が一瞬降ったのですが、国道19号線(木曽路)は天候が荒れることなく穏やかに走る事が出来て、無事に中津川から中央道に合流して帰還しました。

最後にブログの更新が大幅に遅れた事をお詫び申し上げます。

2021年は僕にとって転機になる予定でした。

若狭での新規事業に向けてようやく力強いメンバーが揃い、クリエイティブな仕事ができると意気込んでいたその矢先に、まさかの裏切りがありました。

直前になって連絡が取れなくなるとか、現地で住むアパートの契約までしておきながら辞退するとかありえない事態が立て続き、僕は失意でモチベーションを失ってしまいました。

僕も覚悟を決めて起業し、今年で早くも10年になりますが、店や会社が成長するかしないかは全て人材にかかっています。

個人のプレイヤーがどんなに頑張っても組織は育ちません。

お客様の笑顔をもらえる事や、満足を与える事をやり甲斐と考えてくれる人材が集まらないと素晴らしいサービスは生まれません。

そしてスタッフ同士の切磋琢磨も生まれません。

ずっと僕が求めてきた答えにやっと近づくと思った途端の裏切りに、しばらく誰とも話したくないっていうくらいのダメージを受けていたので、このように更新が遅くなってしまいました。

これからは自分の心身の負担がないよう、ボチボチと更新させて頂きますので、引き続きご愛顧を賜りますようよろしくお願い申し上げます!