2022年11月5日土曜日

若狭でキッチンカー『亀田珈琲焙煎所』さんに美味しいコーヒーを出してもらっています!

 2022.11.05(土)


福井県美浜町坂尻『千鳥苑』にて・・・



僕の代わりにアキラ君がお手伝いに行っています!


なんかよく判らないポーズを取っていますが、予定時間に30分以上遅刻した悪い奴です!


実は夏休みの前にアキラ君からの提案で「コーヒーのキッチンカーを店に呼びましょうよ!」って話をもらったところが発端。


彼の大学のお友達のお父様が自家焙煎したコーヒーをあちこちに卸したり、自らキッチンカーで販売したりされているという話は1年ほど前に聞いて知っていたのですが、その時はコーヒーも飲めないお子ちゃま舌のアキラ君が何を嬉しそうに自慢しているのだ?ってくらいにしか聞いてなかったんですね。


ところが苦いのが飲めなかったアキラ君が、ある時突然「スッキリ苦いコーヒーが美味しい!」とか言い出したもので不思議に思っていたのですが、今回のキッチンカーの提案をもらった瞬間、色々なアイデアが湧き上がって来たのです。


実は僕・・・中学1年生の頃に味覚に目覚めて和食は勿論、フレンチ、イタリアン等、様々な国の料理の味や食べ方などを学びはじめ、コーヒーや紅茶の淹れ方や飲み方、豆や茶葉による淹れ方の違いも興味を持ち始めて、コーヒー豆や茶葉のコレクションを始めたり、紅茶を淹れるポットを購入したり、コーヒーミルもあれこれ使い分けたりするようになり、自分の好きなコーヒーのブレンド比率を追及するなどしていた過去があります。


今は「美味しけりゃそれでいいじゃない!」ってスタンスで、細かい事は気にしなくなっていましたが、ふと過去の事を思い返してみて試したくなった事を思い出しました。


千鳥苑でゆっくりコーヒーを飲めるスペースが欲しかったのもあります。


セルフで紙コップに入れて飲むコーヒーではなく、店内を歩いていたらふわっと美味しそうな挽き立てのコーヒーの香りがする・・・そんなのが欲しいと思っていた事もあって、コーヒーショップを誘致できないか色々と考えていたんですよ。


そこにきて亀田さんの話を思い出したので早速企画書を作成して、豊中の亀田珈琲焙煎所さんへ出向いたのです。


僕の提案はコーヒー豆の品種で選ぶ従来のコーヒー屋さんのスタンスではなく、使用する水も選択できる新しいスタンスの飲み方です。


幸い若狭には昭和の名水百選と平成の名水百選に選ばれた名水が各2種類(計4種類)存在しています。


水は軟水と硬水ってだけではなく、含まれているミネラルの成分などその土地の条件によって味も性質も全然違うものになるっていう事もあるので、すべての水を飲み比べてその違いを理解したうえで、どんなコーヒーに合っているかを確かめてみたい・・・そう思えたんです。


亀田さんの所はミャンマーとインドネシアのコーヒー豆を直に買い付けて焙煎しているフェアトレードを地で行くスタンス。


僕の想定した様々な品種と水の相性を色々と組み合わせて・・・っていう複雑な楽しみ方はまだいきなりチャレンジできなかったのですが、ミャンマーやインドネシアの豆も焙煎の仕方次第で香り豊かで余韻の残るアロマテイストに仕上げたり、後味さっぱりのスッキリした苦みを楽しめるストロングテイストに仕上げることもできると焙煎の奥深さを聞いたので、「では水によってどこまでその味を変化させられるか試しましょう!」って話になり・・・


そうやって8月には4ヵ所に水を採取しに行きました。


地元の人は誰もが『瓜割の水』が一番だと口を揃えて言います。


それは熊川宿に住んでいる方も例外なく。


しかし熊川宿の前川の水も平成の名水百選に選ばれています。


熊川は吉野に並ぶ葛の産地。水は綺麗で美味しいのです。


当店のお客様でもあり、今後一緒に若狭の事業に力を貸してくれる予定のK様と一緒に水の採取に行ったのですが、熊川前川の水は採取場所が判らなくて、宿場街の水路から直接採取しました。


そのままでも飲めるのですが、森の香りが濃いというか、若干泥臭さがあったので、一度煮沸殺菌処理をしてからでないと安心して採用できません。


瓜割の滝の水は言うまでもなく、名水百選の中でも美味しい水ランキングで2位にノミネートされたくらいの本当に美味しい水です。


飲んだ瞬間、口の中に爽やかな香りが広がり、しばらくの間は吸い込む空気までもが美味しく感じるほど余韻が残る味。


ブルーマウンテンやマンデリンなど香りや酸味を楽しむコーヒーなら間違いなく相性が良い水だと思います。


遠敷川(おにゅうがわ)上流の鵜の瀬で採取した水もちょっと泥臭かったので煮沸殺菌処理が必要。


しかし奈良の東大寺二月堂で行われる『お水取り』行事で汲む水は『若狭井』という井戸から汲むのですが、これは神話の時代、遠敷明神が奈良で集まる八百万の神々の会合に間に合わないので、代わりに美味しいお水を送ります!って送ったとされる事から始まった行事。


当然福井県小浜市の行事として『お水送り』があって、鵜の瀬の水が奈良に向けて送られる事になっています。


このような神様へ献上する水という事から、霊験豊かで神秘的なお水とされています。


最後に小浜の雲城水ですが、これも鵜の瀬と近い山域の地下水が小浜一番町に湧いてきたものとされています。


恐らくこの4種類の水の中でも一番クセが無くて飲みやすく、後味もさっぱり!


苦みの効いた後口さっぱりのストロングテイストに相性ピッタリのお水です。



その4種類の水の中でまずは雲城水と瓜割の水の2種で今日は販売して頂いています。

ポップは説明文を僕が考えて亀田さんに作って頂きました。


瓜割の水は香り豊かなだけではありません!



このように油とも混ざりやすく、内臓脂肪などを取り除き体外に出す効能が高いそうです!


食後の一杯には最高のコーヒーだと思います!


その日の気分で水を変えて飲むとか、今までは無かったコーヒーの飲み方だと思いませんか?


名水百選の水が4種類も採れる若狭だからこそ簡単に楽しめる、新しい贅沢なコーヒーの飲み方です!


他のお店が真似しないうちに僕と亀田さんが最初に発案・実践した事をここに記したいと思います。


尚、千鳥苑で喫茶コーナーを作る案ですが、まだテナントは空きのままです。


亀田さんの焙煎する豆も採用しつつ経営してくれる方がいれば是非名乗り出て下さい!


コーヒー豆(或いは茶葉)と水をそれぞれ選択して、その日の気分で楽しめる新しいスタイルの喫茶店を一緒に盛り上げませんか?

2022年10月2日日曜日

東京五輪応援の旅7月28日(水) ~その3~ 男子個人タイムトライアル・・・想像以上に熱い戦いでした!

 僕は五輪の個人タイムトライアルと言ったら2000年のシドニーオリンピックが忘れられない。


当時世界中のロードレースファンの多くはランス・アームストロングの正義をまだ疑うことなく信じていたので、世界中の癌患者の希望の星としての彼の金メダルを願っていた人が圧倒的に多かった。


でも僕のようにロードレースマニアな人間としてみたら、タイムトライアルのスペシャリストは他にもいる訳で・・・


とりわけ97年のツール・ド・フランスで誰も寄せ付けないサイボーグのような強さを見せつけてくれたヤン・ウルリッヒに本領発揮してもらいたい!と思っているファンも当時は少なからずいたはず。


そう・・・少なくとも当時の僕はアームストロングのアンチではないにせよ、USポスタルチームの圧倒的過ぎるチーム力と徹底したレースコントロールでアームストロングをツールの総合優勝に導くあのスタイルに反感しか無くて、「調子に乗ったアームストロングを気持ちよくぶち抜いてくれ!」って願望が確かにあったと記憶している。


だからウルリッヒがレコードタイムを更新した瞬間の喜びと言ったら・・・


同じ2000年のツールドフランスでは、ウルリッヒが久々の総合優勝をかけてアームストロングと争っており、またモン・バントゥの頂上ゴールでは一時は共闘する形でお互いをリスペクトし合うような走りをしていたパンター二に対して、ゴール後勝利を譲ってやった的な発言で侮辱したアームストロングにイラっとした事もあったので、最後の個人タイムトライアルでは圧倒的な走りを見せつけてウルリッヒに勝って欲しかったものの、アームストロングのイエローマジックを打ち破れずに敗北。


その後のシドニーだったので僕は余計に歓喜したのである。


しかし最後の最後で金メダルを掴んだのはベテラン中のベテランの、ビアチェスラフ・エキモフだった事も劇的かつ衝撃的でロードレースファンとしては感動の大会だった。(エキモフはかつてロシアの怪物と呼ばれたエース級の選手でしたが、この頃はアームストロングのアシストを務めていた)


尚、同じくシドニー五輪のロードレースの方はウルリッヒが優勝して金メダルを獲得している。


更に言うと4年後のアテネオリンピックの個人TTでは再び39歳のエキモフが金メダルという快挙を成し遂げている。


あの頃の参加選手の豪華な顔ぶれから考えると東京五輪はコロナの影響をモロに食らった感じが否めない。


逆に言うと僕自身が近年のツール・ド・フランス及びプロツールに興味がなくなりすぎて、最近はビッグネームの選手くらいしか知らない。


90年代~2005年くらいまではアシスト選手の名前までフルネームで覚えていたし、走りの癖や得意なレース展開まで網羅していた。


多分当時僕がツール・ド・フランスの実況アナウンスをしていたら、誰よりも選手の思惑を踏まえたアナウンスで熱く語れていたと思う。


そのくらい僕はロードレースオタクだった。


そんな僕が今では完全にロードレース熱が冷め切っているというのが悲しい現実。


それゆえ大変申し訳ないのですが、東京五輪のTTに参加する選手の事は一切下調べもせずに応援に行ってました。


ところがネガティブだった僕が参加選手名簿を見て興味を引いたのがアイルランドのニコラス・ロッシュ選手。


なぜならアイルランドのロッシュと言えば1987年のツール・ド・フランスで総合優勝したステファン・ロッシュの御子息である。


調べたら2009年にツールに初出場して総合23位とか、2010年のツールは15位、更にヴェルタで総合7位など、さすがにステファン・ロッシュの血筋だけあって総合力が高いイメージだ。


年齢的にはベテラン域に入っているけど、知っているネームって事もあって、どんな走りをするのかものすごく楽しみに感じました。


14:00を回り男子の競技が開始!


ニコラス・ロッシュ選手の紹介も始まりました。


女子の上位選手は31分~33分の間で混戦していたところをファンフルーテン選手が1分近く更新して30分13秒49で走っていますが、男子は同じコースを2周するので、単純にタイムを2倍して1時間。

つまり上位に入る為には最低でも1時間を切る事が条件になってくる。

僕の予想では男子の優勝タイムは56分前後と見ていました。


ニコラス・ロッシュ選手は決してTTに強い選手ではないので致し方ありませんが、記録は1時間01分23秒13と平凡なタイムでゴール。


57秒台を叩き出す選手が出て来てから一気に会場の歓声やどよめきが大きくなる。

この辺からTTスペシャリストと呼ばれる部類の選手の戦いになる。

僕ら世代はクリス・ボードマンに始まり、トミー・ロミンゲルやアレックス・ツェーレ、ミゲール・インデュライン、エフゲニー・ベルツィン、アルマン・デ・ラス・クエバス、セルゲイ・ゴンチャール、ヤン・ウルリッヒ等がTTスペシャリストの代表格であり、いくら強かろうがランス・アームストロングだけはそこに加えたくないという私情を交えていたのですが、まさに当時のそういった面子がタイムを競い合っているような熱い展開になってきました!


そして終盤!

オランダのトム・デュムラン選手がジロ・デ・イタリアで2度の総合2位の経験を持つコロンビアのオールラウンダーであるリゴベルト・ウラン選手のタイムを1分13秒も塗り替えて56分05秒58でフィニッシュ!

この辺りから観客席の人々はほぼスタンディングオベーション!


そして直後にプリモシュ・ログリッチ選手が更に1分以上更新してフィニッシュ!

ヴェルタ・ア・エスパーニャ2連覇中のTTスペシャリストにしてオールラウンダーです。

しかも彼はこの東京五輪のあと2021年ヴェルタで3連覇も達成!

この後もローハン・デニス選手、ステファン・キュング選手、フィリッポ・ガンナ選手の3人が、トム・デュムラン選手のタイムに迫ったものの僅かに届かず!

プリモシュ・ログリッチ選手だけが僕の予想していたタイムを大幅に上回る55分04秒19のタイムで金メダルという結果になりました。


帰りのバスからは富士山が見えました。


ヤバイ交差点ともお別れです。


東富士五湖道路からの夕日。


登山による脚のダメージはまだ残っていましたが、想像以上にすごいレースを観れた満足感で帰りが寂しく思えてくるような夕日です。


余りにもお腹が空いていたので、たまらず双葉SAでほうとうを頂きました。

この後留美さんと合流予定で松本方面へ向かいますが、諏訪湖でとんでもない雷雨に襲われる。

高速道路走行中なのに、車に叩きつけるような大雨で視界がほとんどゼロ!

雨雲の位置と動きを見る以上、中央道はしばらく荒れそうなので、雨雲が中央アルプスと南アルプスに挟まれて留まっているうちに抜け道から雨雲を避ける作戦に移る。

留美さんとは塩尻で合流!

塩尻も局地的な大雨が一瞬降ったのですが、国道19号線(木曽路)は天候が荒れることなく穏やかに走る事が出来て、無事に中津川から中央道に合流して帰還しました。

最後にブログの更新が大幅に遅れた事をお詫び申し上げます。

2021年は僕にとって転機になる予定でした。

若狭での新規事業に向けてようやく力強いメンバーが揃い、クリエイティブな仕事ができると意気込んでいたその矢先に、まさかの裏切りがありました。

直前になって連絡が取れなくなるとか、現地で住むアパートの契約までしておきながら辞退するとかありえない事態が立て続き、僕は失意でモチベーションを失ってしまいました。

僕も覚悟を決めて起業し、今年で早くも10年になりますが、店や会社が成長するかしないかは全て人材にかかっています。

個人のプレイヤーがどんなに頑張っても組織は育ちません。

お客様の笑顔をもらえる事や、満足を与える事をやり甲斐と考えてくれる人材が集まらないと素晴らしいサービスは生まれません。

そしてスタッフ同士の切磋琢磨も生まれません。

ずっと僕が求めてきた答えにやっと近づくと思った途端の裏切りに、しばらく誰とも話したくないっていうくらいのダメージを受けていたので、このように更新が遅くなってしまいました。

これからは自分の心身の負担がないよう、ボチボチと更新させて頂きますので、引き続きご愛顧を賜りますようよろしくお願い申し上げます!

2022年7月7日木曜日

東京五輪応援の旅7月28日(水) ~その2~ 女子個人タイムトライアル・・・自転車王国の執念を見た

 


レースは11:30開始ではありますが、個人タイムトライアルは3分置きに一人ずつスタートするスタンスなので、出走順毎に各々がウォーミングアップを始めます。

トップでスタートする選手が10:40頃から固定ローラーを回し始めました。

僕が富士スピードウェイに到着してから約2時間半後の話です。

ようやくパドック内と報道陣の動きが慌ただしくなってきました。


場内には空撮部隊のヘリの音も複数響いています。

まるでこれからF-1の予選中継でも始まるかのような空気で、観ているこちらまで緊張感が伝わってきます。

さっきまで山への未練が抜け切らなくて、内心「もう五輪の観戦で夕方までここに缶詰めにされるなんてマジ怠いんですけど~。」などと思っていた僕ですが、ようやくレース観戦に集中したい気分に切り替わってきました。


ローラー台ではなく実際にフリー走行で身体を温める選手も出てきました。


巨大スクリーンには本を読んでリラックスしている選手の姿も映っています。

タイムトライアルという競技の性質上、精神統一も大切なルーティーンだと言えます。

選手各々が自身のパフォーマンスを100%発揮する為に準備しているのが見れるのって貴重な体験だと思いませんか?

僕もレース前にはストレッチやアミノ酸の摂取、更には周りの選手の顔ぶれを見て、スタート直後にどんな展開になるかを予想し、その際に自分がどのラインで走るかを3通りか4通りくらい想定して、その先のコーナー或いは激坂にトップで侵入するにはどのパターンが理想的で、そうでない場合はどこで仕掛けたら挽回できるかをイメージするようにしていましたが、それはマスドスタートレースの場合の話であって・・・

タイムトライアルの場合、混戦はしないのでコースの特徴さえ把握しておけば、どこでどのギア設定でケイデンス(回転数)をどの程度に維持して・・・「ここの上りは気分転換にリズムよくダンシング(立ちこぎ)を入れてみようかな?」とか、コースを如何に効率よく走ろうか?ってシミュレーションが大切になってきます。

意外と戦略的な要素が多いので、どの区間でどんなギアを選択するかなど、あれこれシミュレーションしている瞬間は、それによってどの程度のタイムを狙えるかって期待も膨らんでくるので本当にワクワクして楽しいし、集中力が高まっていくのが自分でも感じられたりします。

例えば僕も現役の時にやっていた事なのですが、ヒルクライムやタイムトライアルの際にハンドルやステムにカンペを張り付けて走る選手もいます。

走り慣れたコースの場合はコースを区間分けして、各区間タイムを設定してカンペにします。(人によっては使うギアやケイデンスを書いている場合もある)

それを見ながらタイムの貯金や借金といった計算をしながらペースコントロールができるので、なかなか効率的に走れたりするものなのです。

そういったレースの裏側について書いている記事とか最近の自転車情報雑誌でも見る機会が少なくなったように思いますし、ある一時から自転車人口が急激に増えたものの、ロードバイクやクロスバイクの見た目とかブランドとか、自転車で食べに行けるお洒落なレストランやカフェの特集とか・・・ビジュアルばかりが独り歩きしてしまって、肝心な自転車レースにおける人間臭さとか歴史やロマンについては随分とすっ飛ばされたんじゃないかな?って思う事が少なくありません。

だから尚更かも知れませんが、自転車屋なんて経営しておきながら、今どきの自転車乗りを見ていて違和感を感じる自分がいるんですよね。

どうにも軽薄というか、スポーツバイシクルは単なるファッションアイテムのような扱いで、そのくせ整備にお金をかける訳でもないので自転車に対する愛着が感じられない。

整備で持ってくる自転車とかよく見たらドロドロでガタガタ、錆だらけだったりするものが多い。

そのうえネームバリューや価格にばかり囚われて、分不相応な自転車に乗っている人も増えた気がします。

最悪なのが高価な自転車を買わされたにも関わらず、購入店の知識や対応が不十分なケースも多く、サイズの合っていないロードバイクに乗っている人や、セッティングの合っていないまま乗っている人なんていうのもよく見受けられます。

またウェアとか形から入っている人も多く、一見速そうに見えたり玄人っぽく見える人も多いのだけど、じっくりと走っている姿を見ていると手信号などの意思表示ができない人や、周りに気遣いのできていないライダーも少なくはない。

しまなみ海道などにグループで走りに行ってレースまがいの暴走をしている連中もいれば・・・

道を譲り合ったり、声掛けをしたりといった事を苦手とする『内向的なライダー』も随分と増えたように思えますしね。

それだけにレース会場でこういった選手たちの人間臭さを身近に感じられる映像はとても良いですね!

何度も言いますが自転車はファッションではなく文化です。

自転車ロードレースはヨーロッパにおいて150年以上の歴史があります。

選手たちのジンクスに対する考えやルーティーンといった行ないについては国によっての違いや、地方によっての違いもあって、知れば知るほど面白いものだったりします。

日本人選手と欧米人選手の補給食や、そもそも朝食の違いなど、身体の作り方が外見的なものだけではなく、内面から根本的に違う事なども学んでいけば、もっとロードレースの楽しみ方も幅広くなると思うので、実際にヨーロッパのチームで走っていた選手OBのコメントなども参考にしてもらいたいなぁ~と思う事が多々あります。


そういう意味では五輪に限らず、わざわざ自転車レースを観戦しに来る人って、その辺の知識は勿論の事、少なくとも自転車文化を愛する人が多いと思うので、業界的にも最も大切にしないといけないファン層ですよね。


いよいよレースがスタートしました。

このタイムトライアルのスタート台って、上ってスタンバイする時はものすごく緊張します。

係りの人にサドルを支えてもらいながらペダルのビンディングを装着してスタートの準備を整えるのですが、そこからカウントダウンに入った瞬間、呼吸を整えて瞬時に集中力が高まるんですよね。

このスイッチが入る瞬間の充実感ってたまらなく心地良いんですよ。


第一走者がスタート!


スタート地点はホームストレートのはるか向こう!


遠過ぎて観客席からは見えません!


観客席の一番端まで行きましたが、それでもこんなにスタート台が遠く・・・


望遠ズームでようやくこんな感じ。

この時僕が歩いてきた途中で、まさかのペーター・サガン選手が観戦に来ていたそうですが、僕は気付かずに撮影に夢中になっていました。

最近のロードレースで僕の推しの選手ってそんなにはいないのですが、すでにベテランの域に入っているペーター・サガン選手は数少ない好きな選手の一人だったのでお会いできなくて残念です。

彼はアマチュアの頃にシクロクロスやマウンテンバイクのレースでも活躍していた経歴があるからだと思いますが、バイクコントロールがとにかく卓越していて、そういう選手のライディングって見ていて楽しいものです。


いったん会場から走り出した選手にはオフィシャルカーがついて走り、常にこのような実況がモニターで確認できます。



個人タイムトライアルは中間タイム計測ポイントが複数あるので、登坂中心の区間とスピードの乗ってくる平地中心の区間とで選手個人の得手不得手を事前に知っておくと、より楽しみ方が解って面白くなる。

日本では馴染みの薄い女子ロードレースの場合、選手の詳細な情報は少ない。

そういう情報が少ない場合は、身体が小さくて華奢な選手は基本的に登坂に強く、大柄でリーチの長い選手はパワーとスピードがあるので平地に強いというのが一般的な見方となる。

理屈はこうだ・・・

小柄な選手は自転車と体重の総重量が軽いので、軽さこそが正義ともいえる登坂では圧倒的にアドバンテージが高い。



逆に大柄な選手は重量が重たい分、一定速以上に加速をしたら速度が伸びやすい。

特に下り区間では重力加速度も味方してくれる。

何より手足のリーチが長い分、重たいギアもテコの原理を活かしてガシガシ踏んでいけるので、風の影響さえ考えなければ平地では圧倒的に有利である事が容易に想像できます。


言っているうちに最初にスタートした選手から次々にサーキットに戻ってきます。

女子の個人タイムトライアルは22.1kmの距離なので、起伏に富んだコースである事を踏まえても30分台前半のタイムで争われる事は確実です。


選手が戻って来ると観客席からも歓声と拍手が響きます。


ピットロードから入ってサーキットを1周したらゴールです。


スタートは3分おきにしているので、会場(サーキット)に戻って来た時に前の選手との間隔を見たら後ろの選手がどのくらい速いのかが判断できます。


そんな訳で最初にスタートした選手たちが会場に戻ってきたタイミングで、まだスタート待ちの選手もいるという光景。

ただし後半スタートの選手ほど優勝に近い選手ばかりなので、言ってみたらある意味ここからが本番!


ここで大きな歓声と拍手が!

日本代表の与那嶺選手がゴールするみたいです!


34分34秒~35秒付近でゴールしたっぽいのですが、ゴールアーチの電光掲示板には前にゴールした選手のタイムから切り替わらず・・・

五輪ですから一切の贔屓もしてはならないフェアな国際試合ではありますが、せっかくの自国開催なんだから・・・自国の代表選手の頑張りをもっと盛り上げて欲しいですよね?

ちょっとこの時の電光掲示板係にはモノ申したい気分になりました。


本調子を発揮したとは到底思えない結果だったかも知れませんが、3日前にロードレースも走ってますので・・・よく頑張ったと思います。


観客席からも大きな拍手と声援でその走りを労いました。


与那嶺選手お疲れ様です!


レースの中盤以降は33分を切るか切らないかってタイムで競い合っていたのですが・・・


レース終盤はいよいよ32分台や31分台のタイムを叩き出す選手も出てきて会場が盛り上がってきました。


アメリカのネーベン選手がそれまでのトップタイムを1分11秒も更新して31分26秒でフィニッシュした瞬間。

会場には大きなどよめきが・・・と思ったら。


そこから間も無くオランダのファンフルーテン選手が更に1分12秒以上も更新して一人だけ異次元のタイムでフィニッシュ!

まるで花火大会でも観に来ているかのようなどよめきと歓声のオンパレード。

途中経過でもファンフルーテン選手の怒涛の走りは紹介されていたけれど・・・

一人だけ30分13秒なんてタイムを叩き出すとか・・・

3日前のロードレースでは・・・優勝したつもりでゴールしたら、実は伏兵の選手に先にゴールされていた・・・っていう経験をしたばかりなので、ここぞとばかりに女王の力を見せつけて雪辱を果たした!って感じでしたね。

その後に出走していた5選手も速かったのですが、ファンフルーテン選手のタイムが圧倒的過ぎて誰も更新できずにレースは終了!


ファンフルーテン選手が表彰台に向かっています。


他の2選手はまだです。


銅メダルを獲得した同じオランダのファンデルブレーヘン選手は自転車ではなく自分の足で走ってきました。

ファンフルーテン選手の自転車はキャニオンか・・・

卸業者(一応キャニオンジャパンという名前で日本向けの代理店は存在している)や販売店を介さずネット販売オンリーのブランドなので業界的にも日本経済的にも害虫みたいなメーカーです。

そりゃ卸も販売店も介さないのであれば中間マージンが無い分、消費者にはP社やS社やT社、C社よりかは幾分か安く手に入る訳だ。

って考えたら尚更なんだけど・・・メーカーの利益率って相当高いよね。

販売価格が安いとはいえ卸も介してないのにフレーム価格が50万円以上するんだから。

そんな訳でどんなに良いフレームであろうが、強いプロチームが使用していようが、キャニオンは嫌い!日本から消えてなくなれ!なんて思っていたりする。


まあ愚痴はその程度としてリザルト表です。


与那嶺選手は残念ながら本領を発揮できませんでしたが、世界との壁の厚みはまだ相当あるというのがこのリザルト表で判ります。


しかし後半に出走した選手がどんどんタイムを塗り替えていく様子は現地で観ている方が臨場感もあって興奮しました。


ファンフルーテン選手だけが男子並みのタイムで異次元の結果でした。


女子の表彰式が始まりました!


長身選手2人に挟まれたファンフルーテン選手。

あの小柄な体格であの異次元の走りを見せてくれたなんてすごいですね!


僕は観客席から観ていましたが、表彰式の際にサーキット内に入って近くで見る事も出来ました。


この後は少し時間を置いてから男子のスタートです。