2015年4月19日日曜日

工具を貸して下さい!

って来店されるお客様の話です。

うちのお店でも時々あります。

僕個人の心情としては貸して差し上げたいです。

しかし道具(工具)って、それが自分のではなく、人の物って考えたら大切に使いますか?

壊れようが何しようが、「あっ!ごめんなさい!」で済むと思っている人が意外に多いんです。

買いに行くのが面倒くさいとか、高い割りに使う頻度が少ないから・・・とか。

理由は様々ですが、それでお店に持ってくるくらいなら作業を任せて下さい。

工具はお店の財産です。

当然壊れたら新しい工具を仕入れるまで、その工具を必要とする作業が出来なくなります。

その期間中の利益が逃げる事も踏まえて、壊した場合に免責保証料を支払う覚悟はありますか?

同じ工具をいくつも予備で持っている場合はレンタルでお貸ししてもいいですが、レンタル料取りますよ?

それで触って、結局自分で上手く取り付けが出来なかったら・・・

余計に修理代の出費がかさむと思いませんか?



そういう事を色々考えてみたら・・・



お店に工具を貸してくれなんて言うお客様って・・・

ちょっと浅はか過ぎないか?って思うんです。

うちのお店は工具を消耗品程度に考えているので、使用頻度の高い工具にそれほどお金はかけていません。

そうです!

工具だって使えば変形したり、磨り減ったりするんです。

出来るだけ工具を長持ちさせる使い方をすれば、同時にお客様の自転車の部品を傷めないような丁寧な作業になります。

そんな当たり前の使い方を僕らはしているのですが、一般の方にその様な意識が決して当たり前にあるとは思えません。

普段工具を使った作業をしないから、家に工具が無いんでしょ?

そんな人だったら使い方すら危ういじゃないですか。

正直DIYに目覚めて工具を買い揃えている人でさえ、使い方が雑な方や、ボルトやナットの締め付けトルクの意味も解っていない人が大半なんです。

安全にキッチリと調整がしたいのでしたら、お店のスタッフに任せて下さい!

人に払うお金が無駄だとお考えの方は、自分で工具を買い揃えて、何度も壊して失敗を重ねて、気がついたらものすごく無駄な出費をした事に気付いて下さい。

多分その頃には自転車屋ができるくらいの腕前にはなっているかも知れません。

少なくとも僕は小学生の頃から手作りのラジコン作りから始まり、中学生の頃には自分の自転車の修理をするようになり、高校生の頃にはオーバーホールもするようになって・・・

当時、家の周辺にまともなプロショップが無くて、町の自転車屋にはオーバーホールに対応する工具すら無い時代だったので、自分で工具を買い揃えて触っていました。

もちろん失敗もたくさん重ねました。

だからこそ今はこうして、他人様の自転車を扱えるくらいの技術も身につけているのです。

生半可な知識や技術をお持ちの方に、そうそう気安く商売道具をお貸しするなんて事ができないっていう事を、是非ご理解頂きたい。

修理代をケチりたい気持ちは解らなくもありません。

僕が自分で自転車や車をいじるようになったきっかけも、全く動機は同じですから、それだけによ~く解ります。

だったらお店に工具を借りるなんてカッコ悪い事はやめて、自分で工具を用意しましょう!



僕は例えスタッフであっても、工具の使い方が雑だったり、手入れをしなかったり、元の場所に戻さないとか、黙って持ち帰るなんて事が許せません!

それは工具がお店の財産であり、仕事をする上で絶対に無いといけないものだ!という意識が欠如していては、職人として失格だと思っているからです。



そもそも自転車の扱いや手入れもままならない、一般の人にそんな意識ってできますか?

スポーツバイクは部品にお金が掛かっている分、組付けや修理は平均的に簡単ですが、ママチャリは組み付けしながら精度を出さなくてはいけないくらいの、平均的に低いクオリティなので、応用が利かない人が簡単に触れるものではありません。

適当に締め付けをすれば簡単に緩んだりずれたりします。

締め過ぎれば簡単にバカになったり、壊れてしまうものなんです。

それでも命を乗せて運ぶ乗り物に違いはありません!

ハッキリ言って自転車業界で働いている人間でさえ、スポーツバイクしか触った事の無い人だと、ママチャリの修理は上手くいかない事が多いんです。

応用がいる事も度々あるので、研修云々の問題でもありません。

その時、その時、ぶつかって工夫をしなければ、どうにもならない修理だってあります。

人の心情や予算も考えれば、簡単に買い換えて下さいと言えないものでもあります。

だからこそ安物の自転車だからって「別に自分で作業するからいいねん!」とか、そんな簡単な話ではないのです。

自転車業界の人間でもママチャリ如き・・・とか、安物・・・なんて軽々しくバカにしている人がいますが、そういう人って心の奥では自分の技術や応用力に自信が無いだけなんです。

精度を出すのが難しい『安物』を、安全な乗り物に組み立てる技術があってこそのプロだと思いませんか?

なので僕はそういう事を軽々しく口にする人は、プロとして恥ずかしいと思わないのかと・・・つくづくそう思うのです。



別に工具は高級品である必要はありません!

自転車専用ってものは無駄に高いものもあります。

汎用工具であれば、自転車用工具メーカーにこだわる必要もありません。

コーナンプロやナフコの工具でも十分です。

ただし工具は素材や製造方法によっても、耐久性や剛性が違うので、極端に安い工具はオススメしませんので・・・

せめて自転車に限らず、職人さんが使うくらいのレベルの工具を選んで下さい!



そして自信の無い人は無理をせず、『餅は餅屋』に任せてくれればいいのです。



ただし自分で修理をしたいけど、どうやったらいいのかを教えて欲しい!って言う場合は、お教えしなくもありません。

ただしそれも、スタッフが拘束される時間と、大切な知識を提供する事を考えると・・・

やはり見合った報酬は頂くのが筋ですよね(笑)

まあちょっと勘違いされている人が時々おられますので、軽~く愚痴らせて頂きました!

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