とにかく言える事は隣のおっさんのイビキや寝息がうるさくて、なかなか熟睡が出来ず。
また、寝たと思ったら今度は1階の手洗いの扉を乱暴に開閉した音でビックリして目を覚ます・・・
ずっとその繰り返しだった。
枕と布団が薄いから首と背中の痛みも酷くなってきて寝苦しい。
深夜から出発を考えている人もいるみたいで、夜中でも廊下の方で常に何かしらガサガサと音が聞こえてくる。
マナーのなっていない人はどこにでもいるんだろうけど、最低限・・・音を殺す努力くらいはして欲しい。
そう思いながら寝ていると・・・
8月13日(月)深夜1:55頃
隣のおっさんの動きが慌ただしくなった。
こんな深夜に出発するのだろうか?
ガサガサとリュックサックの中を漁っているのだが、目的のものがなかなか見つからないらしく、とうとうヘッドランプを点けて探し始めたのである!
視線が変わる度にライトの向きも変わるものだから、部屋中乱反射して寝ている人たちには溜まったものではない!
可哀想なのは向かいの床で寝ている人たちだ。
彼らは2段目部分がないので、おっさんのヘッドランプに直接顔を照らされているような状況。
せめてやるなら壁の隅っこの方を向いて、小さくなってする作業だと思うのだけど、どうにもこのおっさんにはモラルとかマナーっていうものが欠如している模様。
僕も怒鳴りたい気持ちを必死に堪えていたが、他の方々も良く我慢したなと思います。
そしてそのおっさんが何度か廊下へ出入りしたのですが、部屋のスライドドアを最後までガタン!と閉める訳ですよ。
普通音を立てないようにするのなら、手を挟むようにそっと閉めて、最後の仕上げは更にそろりと閉めるものじゃないですか?
なんで途中まで静かに閉めるのに、仕上げがそんなに雑なんだ?
そのスライドドアのガタン!と閉まる音と振動は、当然入り口の壁際に寝ている、僕とその下で寝ている人にダイレクトに影響がある。
更には廊下でシューズの手入れを始めたようなのだけど、これもガタン!ガタン!と音を立てるしヘッドランプの光がチカチカと入ってくるのでうっとおしい!
部屋と廊下は天井が繋がっているので、僕の正面が明るく照らされているような状況がしばらく続く。
結局2:30頃に出て行ったまま戻って来なかったみたいなので、彼も夜中出発だったのでしょう。
僕は朝ご飯が5:00~なので、再び眠りについて4:20頃起床する。
まず、隣のおっさんが布団をそのままに放ったらかして出発した事にビックリ。
使った布団とはいえ、片付けやすいようにコンパクトにまとめて置くのはもはや常識。
散らかし放題で立ち去るなんて、どこまでも酷いお人だ。
しかも掛布団が氷柱の如く垂れ下がっていたようで、下に寝ているお父さんと女子高生の親子が起きるなり「なんだこれ?とうとうここまでするか!」と呆れていました。
やはり他の方々も、あのおっさんの振舞いには違和感を感じていた模様です。
とりあえず僕も起きてストレッチ!
背中と肩の動きが悪いので念入りに・・・
そして外の湧水を汲みに行く。
今回はハイドレーションパックに1.5ℓだけ汲みました。
来た道を戻るにしても下りですし、西穂高まで縦走するにしても登りより下りが多く、むしろ少しでも荷物が軽い方が動きやすいので、満タンにはしなかったのです。
そして朝ご飯の行列に並ぶ。
最初のグループで食事が出来るかな?
間に合わないと40分待ちなので、ドキドキしながら待つ。
でも無事に最初のグループで食事が出来ました。
そして今回も『お一人様』ばかりのテーブルに割り当てられましたが、今回のテーブルは最高に素晴らしいテーブルでした。
6人がそれぞれ役割分担して・・・
ある人は皆さんにお箸を回して、ある人はお櫃のご飯をよそって、それを別の方が一人一人に回して、ある人はお茶を入れる役をして、また味噌汁も同様に・・・
お互いが感謝とリスペクトの気持ちで、仲良く朝ご飯を食べる事ができて幸せでした。
醤油が必要なら、言えばすぐに近くの人が回してくれるし、おかわりの確認もきっちり聞いてくれる人ばかり。
七輪で焼いている朴葉みそを6等分して取り合うといった、難易度の高いミッションもありましたが、全員が箸を汚さない早い段階で「先に分割しましょう!」って動いて下さったので、誰も嫌な気持ちにならないで済みました。
会話も当然弾みます。
ただ話題の多くは今日の天候の見込みと、事故の可能性について。
やはり滑落事故の話でみんな神妙な面持ちになっていました。
11日の滑落死は、ピラミッドピークでの話だそうです。
しかも西穂山荘を出発して2時間も歩かないうちの滑落死。
穂高連峰縦走の中ではまだまだウォーミングアップ程度の場所です。
僕のような逆走組にとっては、間もなく西穂独標だから・・・あと少し気を引き締めて頑張ろう!っていうような場所。
確かに西穂独標でも落雷で11人が亡くなった事故もあるくらいなので、この界隈はどこも油断が出来ないことに違いはないのでしょうけど・・・。
そして昨日(12日)はやはりどこかで滑落があったのと、ヘリが救助に来ていたのは恐らく、西穂高岳の山頂付近で脚の骨を折ったというけが人がいたからだそうで、、それぞれは別件だという話でした。
毎日のように滑落事故やけが人が出ているなんて本当に恐ろしい登山道です。
今回一緒に食事をした人の多くは西穂から縦走してきた人や、上高地から岳沢~前穂~吊り尾根~奥穂~穂高岳山荘と来た人が多く、大半は涸沢カールから上高地へ戻るって人が多かった。
一人だけ昨日僕が登ってきた白出沢を下山するって人がいました。
僕の前に座っていたAさんです。
Aさんは安田団長に似ている笑顔の優しい紳士です。
初めて通る道らしいので僕のデータをお伝えして、参考にしてもらえるようにお話ししました。
逆に僕が昨日高山病になった事も加味して、本日の天候を踏まえると西穂までの縦走は絶対にオススメしない!と断言されてしまいました。
根拠はまず昨夜の大雨。
「あれだけ降ったって事はハシゴも鎖も濡れていて滑るし、スラブ状の一枚岩を歩く箇所が多い間ノ岳や天狗の頭付近は、やはり滑って滑落するリスクが多いよ。」
「あとは今日も雨の予報だから、昼くらいから雷雲の発生に気を付けないと。」
そういう先輩方のご意見が多かったので、改めて僕も「冷静に判断して無理はしません!」と誓うのでした。
僕はまだ迷っていた。
山荘では奥穂高岳とジャンダルムの手ぬぐい(1本1000円)をそれぞれ購入。
三方ヶ原の戦いで武田軍に惨敗した家康の肖像画の如く、この手ぬぐいを見て自分の心の弱さを戒めよう!
そう思って下山する方へ気持ちが傾いていました。
他の方々からも下山を勧められたものの、奥穂高岳の山頂が届くところにある訳で・・・
雨と霧でコンディションは良くないけど、せめて奥穂高岳の山頂に登ってから決断するっていう選択肢はないものだろうか?と考える。
すると先ほど朝食の際に隣に座っていたBさんが声を掛けて下さって・・・
「僕は沢渡(白骨温泉)に車を停めているので、涸沢を下りますが、一緒に上高地まで行きませんか?沢渡から新穂高まで送りますよ。」なんて優しいお誘いを下さったのですが、僕が奥穂の方をずっと眺めている姿を見て・・・
「でも奥穂の山頂までだったら、この天気でも大丈夫だと思いますので、せっかくだから登ってきたらどうですか?」って。
この言葉で決心がつきました。
「ありがとうございます。もう少しで目標を見失うところでした。頑張って奥穂高を目指します!それ以降は天候を見て冷静に判断します。」
そう言って登り続ける道を選択したのでした。
それではまた次回!
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