ようやく白出沢出合に合流!
ここで重太郎橋で先へ道を譲ったCさんに追いつく。
そしてなんとAさんもここで休憩していました。
Aさん・・・ちっとも見当たらなかったので、まだ山荘にいるのか・・・どうしているんだろう?って思っていたんですね。
ここで5分程お互いの健闘を称えつつ休憩。
Aさんから僕のアドバイスが役に立ちましたと言われて嬉しかったです。
やはりここまでの下りは想像以上に危険で辛かったみたいです。
「でもここまで下れば後は帰ってきたも同じ!」
Cさんはそう言って寛いでいます。
「僕は途中で岩に脚が挟まって、今更になって痛いので、先にボチボチ歩いていますね。」
そう言って僕が先に歩き出す。
その前をさっきまで寝転がって休憩していたおじさん(Dさん)と、槍ヶ岳方面から下ってきた別のパーティが歩いている。
「お疲れ様で~す!お先に失礼します~。」って抜いて行ったら。
「お兄さん、随分と軽装で登ったんだね?そのリュックの中って何が入っているの?」
そうDさんに声を掛けられ、しばらく一緒に歩く事にしました。
Dさんは大阪から来た『お一人様』の56歳。
「リュックの中は・・・今はこのハイドレーションの2ℓパック1つしか入ってませんよ。その他にはライトが1本とクマ対策のスプレーとか・・・。」
「えぇ~っ!それだけしか持ってきていないの?」
「元々日帰りで縦走する予定だったので、着替えとかも一切車に置いて来てしまったんですよ。それにこのリュック・・・ウインドブレーカーと補給食を入れたらもうパンパンになってしまうくらい容量が小さいものですから。」
「なるほどなぁ~。確かにお兄さんの言うように西穂~奥穂の縦走だったらそのくらい装備を最低限にしないと、そんなスピードでは歩けないよなぁ~。」
「僕は結局失敗したんですけどね。昨日ここを登って高山病になって午前中に山荘に着いていたのに倒れてしまって、今日は朝から雨で・・・とりあえず奥穂の山頂までは行ったんですよ。ただその先の馬の背で嵐になっちゃって惨敗!。」
「今日の天候だと行かなくて正解だよ。」
「でもその後2人程単独で縦走に向かった人がいて・・・止めたんですけど・・・。」
「その人たち大丈夫かなぁ~。生きていたらいいけど。」
Dさんは昨日西穂山荘を出発して穂高岳山荘まで13時間かけて縦走。
今朝は穂高岳山荘からゆっくりと白出沢ルートを下ってきたそうです。
「ジャンダルムも登ったけど景色が拝めなかった。」って残念そうでした。
Dさんは若い頃から山好きで、毎週のように大山に登りに行ったりしているそうです。
しかし数年前から一気に体力が落ちて、このままだったらもう穂高を歩けなくなる・・・
そう思って歩けるうちにまた縦走に来たのだとか。
Dさんも奥さんや家族には、「もしも滑落して生きていたとしても、植物状態で意識が戻らないようだったら、絶対に延命処置はしないで欲しい。」と書き置きしてきたとおっしゃっていました。
やっぱりここに来る人ってみんな只者じゃないですよね。
朝食の席でもみんなお互いを『変態の集まりだ!』なんて言い合っていましたが、半端じゃない人ばかりが何百人も集まっていたなんて、ある意味奇跡のような場所にいたんだなぁ~って、改めて感激しました。
それとDさんもそうですが、Cさんもストックを駆使して歩いていました。
Dさんにストックの事、恥ずかしながら聞いてみたんですよ。
「ストックはあった方がいいよ!疲れ方が全然違う!縦走路では使えないから邪魔で捨てたくなったけど、白出沢の下りではものすごく助けられたね。」との事。
僕も次回はおとなしく西穂山荘に前泊してからの、穂高連峰縦走~白出沢下山のルートにして、その際はストックを準備しようかな?と思うのでした。
その後穂高平小屋の手前でAさんとCさんに追いつかれたのですが・・・
「これからどのルートで行きます?僕は昨日近道を歩けなかったので、今日はそこを歩いて帰るつもりですが・・・。」
「いや・・・僕は多分そこを歩いた記憶があるのですが、今は林道をのんびり行きたい気持ちなのでパスします。」とCさん。
「そうですか。ではまた後で会いましょう!」
そう言って僕だけ近道ルートに入る。
本当に他の人たちは誰も入って来なかった。
それもそのはず・・・
以前林道を工事関係車両が通る為に、迂回ルートを作ったそれがこの道らしいのですが、まさかここに来てこんなリスキーなルートを歩く事になるなんて・・・
そして・・・
近道への分岐点に出てきたら、ビックリするくらいのタイミングでAさん&Cさんに再会する。
「下りの場合は時間的にどちらも大差ない・・・むしろこっちは無駄に危険だった事になりますね。」って結論に至り・・・
Cさん曰く、「確か僕の持っている山の地図では、もうここは廃道になっていたはずですよ。」って・・・先に言ってよ(笑)
「確かに廃道にしてくれ!っていうくらい酷い道だった!ここの近道の件はブログでボロカス書いておきます!」
そう言っているうちに・・・
12:58
新穂高ロープウェイ登山口に到着!
皆さん山に敬意を表し、手を合わせてお辞儀をする。
無事に下山できてありがとう!
さすがにアルコールは無理なのでコカ・コーラで!
いや、生まれてこの方・・・ここまで美味しいコーラを飲んだことがない!
そのくらい下山直後のコーラは格別でした。
Aさんは愛知県から・・・Cさんは滋賀県からお越しだったそうで・・・
またこの界隈で出会えるかな?
「また山で出会った時はよろしくお願いします!」
そう言ってここで皆さんと解散し・・・
僕はロープウェイで鍋平高原の駐車場を目指す。
ここで横浜から登りに来て下山した2人と仲良くなる。
2人も毎週どこかの山を登っているらしい。
やはりそれくらいの人じゃないと穂高は登っちゃいけないレベルのようだ。(笑)
横浜の2人は帰りに松本で1泊するらしい。
うらやましいなぁ~と思いつつも、僕はもう早く帰りたいという気持ちでいっぱい。
そして鍋平高原に着いた瞬間局地的な大雨・・・
ここに来て大雨とか酷い!と思ったら、10分で止んだ・・・何なんだ!
今まで全然気付かなかったけど、一応ケガをしていた事が判った。
今回神戸を出る際にK林様から「無事に帰ってきてもケガしてたら怒るで!」ってメールをもらっていた事を思い出す。
「うわっ、やべぇ~。」
だがそれ以上にやばかったのが帰りの道中。
まずは久々に新穂高の湯で温泉に浸かる。
ここはロケーション的にも良い温泉なんですけど、奥飛騨温泉って大半が混浴なので、連休や盆休みだと若いお姉さん待ちの変なオジサンやお兄さんが、朝から夕方まで陣取っていたりする事があるんですよ。
この日はまさに待ちだなって思えるオジサンが1名と、見せたがり屋のオジサンが1名いて、僕が入る前に橋ですれ違った若いお姉さんが「なんであんなに堂々と見せたがるの?」と文句を言っていた。
僕もそういう異様な空気に耐えられなくて、10分程入浴して温まったところですぐに退散。
せっかくの綺麗なロケーションが台無しです。
そこから車で平湯温泉までは裏道などを駆使して、道に不慣れなのろのろサンデードライバーをかわしつつ帰ってきたのですが・・・
平湯トンネルを抜けて朴の木平に出た辺りから・・・
遅い!ブレーキ踏み過ぎ!ブレーキのタイミング滅茶苦茶!な車が増えてきて、一向にスムーズに進まないのである。
しかもワイパーを最速にしても前が見えないくらいの土砂降りの大雨!
とりあえずお土産・・・と思って板蔵ラーメンに入ったら、ドライブイン部分と完全に敷地を分けてしまったみたいで、高山ラーメン以外のお土産がない。
駐車場も完全に敷地で分けられているので、隣のドライブインに入るには一度国道158号線に出てから入り直さねばならない。
面倒だ!
それに板蔵ラーメンとは旅行会社時代の付き合いもあり、無視もしたくないので軽食だけ頂いて帰る事に・・・
そしてその僅か20~30分の間に国道158号線の混み方がおかしなことに・・・
まあ大半の人はここから高山市内に入るので、中部縦貫道を目指す僕は混雑から脱出できるのだけど・・・
そう思ったら高山西で渋滞!
ちっとも進まない!
こんなんじゃいつになったら神戸に帰れるのやら・・・
留美さんに渋滞情報を教えてもらう。
「白鳥まで渋滞箇所が点在。特に飛騨清見の渋滞は真っ黒!」
それを聞いた僕は清見で降りて、国道158号線~156号線で白鳥まで走る。
下道の方が空いていて走りやすい。
一時は白川郷まで行って白山スーパー林道(現・ホワイトロード)を走り、そこで温泉に入り直してから、小松か片山津辺りから北陸道に乗って帰るのも有りかなぁ~って思っていたのですが、残念ながら土砂崩れで白川郷までの道が塞がれており・・・
白鳥までの一択しかない訳です。
白鳥のドライブインの支配人に連絡したら・・・
「何、東さん近くにいるの?」って言われ、「そうなんです。」って返したら・・・
「ごめんねぇ~。今日は僕が休みなもんで、みんなもう店を閉めてる時間だよ。」って。
まあ仕方がないですよねぇ~。
油坂峠から雲海が見えたので写真を撮ったのですが、高山の方はすごい積乱雲に覆われています。
結局お土産を買うことができないまま、九頭竜湖を抜けて越前大野からバイパスに乗り、福井北より北陸道~舞鶴若狭道を経て帰宅しました。
14時半には奥飛騨温泉郷を出発したのに、神戸に着いたのは22時過ぎでした。
トイレ休憩は北鯖江PAで一度取ったきり、更にガソリン追加で寄った西紀SAのガソリンスタンドでは、スタッフさんにガソリンタンクの蓋の金具を壊されて・・・
帰りは散々でした。(苦笑)
クラッチの踏み過ぎとアクセルコントロールに疲れて脚は棒のようになってしまい・・・
次の日までペンギンみたいな歩き方になっていました。
ハイドレーションリュックとヘルメット、ウインドブレーカーにミドルカットの超軽量ハイキングシューズ。
あのペットボトルが、僕お気に入りの『塩と夏みかん』です。
それでもグリップは十分合格レベルだと思いました。
強いて難点を挙げるとすれば爪先のゆとりが・・・
親指の内側がタコになって痛かったです。
今回出会った登山者の方々も「親指の爪が割れてしまった。」とかそんな話多かったです。
爪先には遊びが無い方が登山に適しているかも知れません。
散々怖い思いをしてきたからか・・・
何か吹っ切れたような気分で、怖いものがなくなったというか・・・
車の運転は20代の頃の運転に限りなく近い、キレッキレの運転に戻ってしまいました。
良いのか悪いのか・・・
しばらくアドレナリンが抜けない感じです。
ただ・・・改めて生きている事の素晴らしさを噛み締める事ができたというか・・・
また山に登りたい!
また死ぬほどのスリルを味わってみたい!
ここ最近ずっとそう思えてならないです。
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