道のりはまだまだ長い。
昨日7時間で登ってきた道を何時間で下れるだろう?
後ろの外国人2人組の浮石を崩しながら歩く音にイライラ、ドキドキしつつも、今回は冷静に印を探して道を選んでいる。
「何だ!最初からこっちを歩いていたら、印通りに歩けていたのかよ!」
下る場合は右手、登る場合は左手の岩壁沿いに、歩きやすい道が矢印や〇印などで示されている。
今下りてきた道を振り返る。
何となく階段状に岩が並べられているのが判るでしょ?
こうなっているかいないかの違いは天地の差です。
昨日僕はあの●印に惑わされて雪渓寄りの道を登りましたが、足場がしっかりしていない箇所が多くて随分苦労しました。
第三話の35枚目の写真を参照して頂ければわかる通り、登りの場合は左の岩壁側に大きな〇印があるので、それを頼って進んで下さい!
ちなみに山荘からここまで約1時間で下ってきました。
昨日はここから山荘まで2時間以上かかっています。
しかしここまでは岩壁沿いで問題ないのですが・・・
逆にここから先は印が消えて、一切のルートが判りません。
このCさんと合流後、2人でルートを探りながら荷継まで下山します。
Cさんは岩壁沿いを探りながら。
僕は逆にこの区間は昨日歩いた道の方が楽だった記憶から、昨日歩いたルートを探しに左方向へ大きくスライド・・・
内心追いつかれた事に焦りを感じて、意地になっている部分もある。(笑)
くだらない邪心のお陰で僕はこの後2連続で滑落する。
大きい岩の方が安定感がある事は間違いないが、あえて細かく砕けたガレ場を下ろうとして、いきなり5m程雪崩落ち・・・
左足の内側のくるぶしを大岩に強打!
幸い僕の落ちた方向には人がいなくて、ホッとしたのも束の間・・・
今度は安全だと思って乗った大岩が2~3m程滑り落ちて・・・
バランスを崩した僕はその岩と別の岩に右脚を挟まれる。
一気に両脚を負傷するトラブル。
ただ痛いとかどうとかよりも、自分の選択したルートが滅茶苦茶だった事に対する苛立ちの方が大きくて・・・
痛みにのたうち回っている暇もなく・・・
Cさんに後れを取った事に焦って追いかける。
ちなみに僕は印のある正規ルートで浮石があった場合、先に歩いた人が崩していた場合などは、全て岩の位置を直して、次に歩く人が安全に歩けるように整えながら下山しています。
「飛ぶ鳥あとを濁さず」って訳じゃないけど、そういう心掛けをする人がいないと、だんだん道が悪くなってしまうでしょ?
昨日もそうだったけど、道を崩してそのまま知らん顔して立ち去っていく(下山の)登山者が結構多かったので、「自分さえ歩けたら後の人は滑落したっていいのかよ!」って、
ちょっと頭に来ていたんですよね。
結局この中間区間の攻略方法が判らないまま・・・
荷継小屋跡のガレ場が見えてきました。
9:50荷継に到着。
昨日の登りはここから3時間40分かかったんですよ?
今日は半分の時間で下ってきました。
次回登る時は、中間の区間だけ何とか上手くこなせば、山荘まで3時間かからずに行けそうだという確信は持てました。
Cさんはガレ場で休憩。
僕とCさんと本日登ってきた登山者とで3分程会話。
「ここからどのくらい登れば山荘に着きますかねぇ?」
「新穂高ロープウェイからここまでどのくらいで来ましたか?」
「5時間くらいかかったかなぁ?」
「そうですか、僕は昨日ここまで3時間20分で登ってきて、ここから山荘まで3時間40分で登った事を踏まえて計算すると、ここからあと5時間半くらいは覚悟して下さい!と言いたいところなんですけど・・・。」
沢に入ってから左側に沿って歩けば歩きやすい旨を教える。
「ただペースは無理しないで下さい!ここからまだ標高差770mを一気に登らなければいけないので、無理すると昨日の僕みたいに高山病になっちゃいますよ。」
そうアドバイスをして、僕はノンストップで下る事に。
鉱石沢へのアプローチも雨で本当に滑りやすい。
でも極力鎖には頼らないで下る。
ここ穂高連峰に来て思ったのは、「鎖やロープに頼るような奴は来るんじゃない!」って空気が明確に出ていた事。
なのでいつでも頼る準備はしつつも、結果的に頼らないで通過する事が、ここの美学だと僕は勝手に解釈している。(もちろん優先すべきは安全です)
そして鉱石沢のガレ場・・・
印が無いからどこからどう下りていいのか判らない。(苦笑)
でもこの辺りは落石注意区間なので、速やかに通過したい。
それにCさんもあっという間に追いついてくるだろう。
時々大粒の雨が降ってくるのですが、1か所だけこんな雨宿りゾーンを発見しました!
ここでCさんに追いつかれる。(Cさんは本当に歩くのが速い)
ハシゴを降りて・・・
今思えばペットボトルに汲めば良かった!って思う話なんですが、ここのお水は美味しかったです。
Cさんも河童君みたいに水浴びを・・・
そう言えば河童君は一体どこへ行ってしまったんだろう?
彼こそインストラクターが見たら「こらまて貴様~!そんな恰好でどこへ行く~?」と説教しそうな感じだったのに、山荘にもいなかったからきっとノンストップでどこかのルートへは進んだのでしょうが・・・
気になりますね。
重太郎橋を過ぎれば、残るは足首を捻りまくる石畳の階段を残すのみ!
しかしここでようやく危険個所が終わったと油断していた矢先に3度目の滑落・・・
するところでした。
何とか左足と両手で踏ん張って、沢に落下しないで助かりました。
この原生林の森を抜ければラストの林道!
あと少しで下山です。
それでは次回でラスト!
0 件のコメント:
コメントを投稿