2018年8月21日火曜日

穂高連峰日帰り縦走にチャレンジ!(第九話)下山するまでは油断するな!


しばらく下るとまた雲が切れた。

道のりはまだまだ長い。

昨日7時間で登ってきた道を何時間で下れるだろう?

後ろの外国人2人組の浮石を崩しながら歩く音にイライラ、ドキドキしつつも、今回は冷静に印を探して道を選んでいる。


すると雪渓まで下りてきた辺りで昨日の過ちに気付かされる。

「何だ!最初からこっちを歩いていたら、印通りに歩けていたのかよ!」

下る場合は右手、登る場合は左手の岩壁沿いに、歩きやすい道が矢印や〇印などで示されている。


今下りてきた道を振り返る。

何となく階段状に岩が並べられているのが判るでしょ?

こうなっているかいないかの違いは天地の差です。


昨日僕はあの●印に惑わされて雪渓寄りの道を登りましたが、足場がしっかりしていない箇所が多くて随分苦労しました。

第三話の35枚目の写真を参照して頂ければわかる通り、登りの場合は左の岩壁側に大きな〇印があるので、それを頼って進んで下さい!

ちなみに山荘からここまで約1時間で下ってきました。

昨日はここから山荘まで2時間以上かかっています。


しかしここまでは岩壁沿いで問題ないのですが・・・

逆にここから先は印が消えて、一切のルートが判りません。


僕よりも20分程後から下山を開始したはずのお兄さん・・・写真の登山者Cさんです。

このCさんと合流後、2人でルートを探りながら荷継まで下山します。

Cさんは岩壁沿いを探りながら。

僕は逆にこの区間は昨日歩いた道の方が楽だった記憶から、昨日歩いたルートを探しに左方向へ大きくスライド・・・

内心追いつかれた事に焦りを感じて、意地になっている部分もある。(笑)

くだらない邪心のお陰で僕はこの後2連続で滑落する。

大きい岩の方が安定感がある事は間違いないが、あえて細かく砕けたガレ場を下ろうとして、いきなり5m程雪崩落ち・・・

左足の内側のくるぶしを大岩に強打!

幸い僕の落ちた方向には人がいなくて、ホッとしたのも束の間・・・

今度は安全だと思って乗った大岩が2~3m程滑り落ちて・・・

バランスを崩した僕はその岩と別の岩に右脚を挟まれる。

一気に両脚を負傷するトラブル。

ただ痛いとかどうとかよりも、自分の選択したルートが滅茶苦茶だった事に対する苛立ちの方が大きくて・・・

痛みにのたうち回っている暇もなく・・・

Cさんに後れを取った事に焦って追いかける。

ちなみに僕は印のある正規ルートで浮石があった場合、先に歩いた人が崩していた場合などは、全て岩の位置を直して、次に歩く人が安全に歩けるように整えながら下山しています。

「飛ぶ鳥あとを濁さず」って訳じゃないけど、そういう心掛けをする人がいないと、だんだん道が悪くなってしまうでしょ?

昨日もそうだったけど、道を崩してそのまま知らん顔して立ち去っていく(下山の)登山者が結構多かったので、「自分さえ歩けたら後の人は滑落したっていいのかよ!」って、
ちょっと頭に来ていたんですよね。


結局この中間区間の攻略方法が判らないまま・・・


荷継小屋跡のガレ場が見えてきました。

9:50荷継に到着。

昨日の登りはここから3時間40分かかったんですよ?

今日は半分の時間で下ってきました。

次回登る時は、中間の区間だけ何とか上手くこなせば、山荘まで3時間かからずに行けそうだという確信は持てました。

Cさんはガレ場で休憩。

僕とCさんと本日登ってきた登山者とで3分程会話。

「ここからどのくらい登れば山荘に着きますかねぇ?」

「新穂高ロープウェイからここまでどのくらいで来ましたか?」

「5時間くらいかかったかなぁ?」

「そうですか、僕は昨日ここまで3時間20分で登ってきて、ここから山荘まで3時間40分で登った事を踏まえて計算すると、ここからあと5時間半くらいは覚悟して下さい!と言いたいところなんですけど・・・。」

沢に入ってから左側に沿って歩けば歩きやすい旨を教える。

「ただペースは無理しないで下さい!ここからまだ標高差770mを一気に登らなければいけないので、無理すると昨日の僕みたいに高山病になっちゃいますよ。」

そうアドバイスをして、僕はノンストップで下る事に。


この白出沢ルートにおいて危険度だけで言うならば、荷継から重太郎橋までが最も道が危険である。


鉱石沢へのアプローチも雨で本当に滑りやすい。

でも極力鎖には頼らないで下る。

ここ穂高連峰に来て思ったのは、「鎖やロープに頼るような奴は来るんじゃない!」って空気が明確に出ていた事。

なのでいつでも頼る準備はしつつも、結果的に頼らないで通過する事が、ここの美学だと僕は勝手に解釈している。(もちろん優先すべきは安全です)


そして鉱石沢のガレ場・・・

印が無いからどこからどう下りていいのか判らない。(苦笑)


でもこの辺りは落石注意区間なので、速やかに通過したい。


それにCさんもあっという間に追いついてくるだろう。


シシウドに見とれていたら滑落しそうになっちゃいますのでお気を付けて。


時々大粒の雨が降ってくるのですが、1か所だけこんな雨宿りゾーンを発見しました!


なんでシシウドってこんな際どい場所に咲いているんだろう?


この辺で道幅40~50cm程です。


とうとう重太郎橋が見えてきました!

ここでCさんに追いつかれる。(Cさんは本当に歩くのが速い)


ハシゴを降りて・・・


今日は重太郎橋で水を飲むことにしました。

今思えばペットボトルに汲めば良かった!って思う話なんですが、ここのお水は美味しかったです。

Cさんも河童君みたいに水浴びを・・・

そう言えば河童君は一体どこへ行ってしまったんだろう?

彼こそインストラクターが見たら「こらまて貴様~!そんな恰好でどこへ行く~?」と説教しそうな感じだったのに、山荘にもいなかったからきっとノンストップでどこかのルートへは進んだのでしょうが・・・

気になりますね。


重太郎橋を過ぎれば、残るは足首を捻りまくる石畳の階段を残すのみ!

しかしここでようやく危険個所が終わったと油断していた矢先に3度目の滑落・・・

するところでした。

何とか左足と両手で踏ん張って、沢に落下しないで助かりました。

この原生林の森を抜ければラストの林道!

あと少しで下山です。

それでは次回でラスト!

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