先日、約1年前に当店で自転車を買って下さった方から電話があって・・・
「余所見をしながら走ってて歩道のポールに激突してパンクしたんですね。それですぐ近くの自転車屋さんで修理をしてもらった際に・・・この自転車はもう駄目だ!早めに買い換える事を奨めるよ!って言われたんですけど、どうしたらいいですか?」って相談されました。
しかし・・・どうしたらいい?って言われても現物を見ないと判断しようがないし、他の自転車屋さんがジャッジする基準はともかくとして、「もう駄目だ!」と言われたって事は、相当なダメージがあるものと容易に想像できる。
後日現車確認したら確かに酷かった。
自損事故なので保険でどうこうできる案件でもなくて・・・
実際に諦めて、新しい自転車に買い換える事をお奨めしたのですね。
しかし、その自転車で明石から西宮までの範囲を、サイクリングで走り回ったという思い出があるので、まだまだ乗り続けたいんです!って言われ・・・
いくら説得しても、乗れるように修理して欲しいと返されるので、「修理交換後の不具合による事故はお客様の自己責任でお願いします。」という条件付で修理を受けることになりました。
どうしようもないくらいフロントフォークがへしゃげて、前輪のフェンダー(泥除けが)ダウンチューブに干渉していた。
ただそれ程の衝撃でぶつかったにも関わらず、ホイールは一切歪んでいないという奇跡。
なので実際にフロントフォークを交換するだけで元の形に戻るのは確かである。
問題はフレーム本体の、主にヘッド周りのダメージがどの程度かが判らないという事。
次に交換用の補修部品として、全く同じフロントフォークが、メーカーの在庫にあるかどうかって事。
本当はスポーツ車が欲しいけど、通勤や買い物でも使いたいので、カゴ付きでスポーティーで、車にも積み込める折りたたみ自転車で、26インチ以上の自転車・・・
そんなめちゃくちゃなニーズを満たした自転車が、たまたまドッペルギャンガーから出ていたので、その自転車を買って乗って頂いていたのですが、株式会社ビーズに問い合わせたところ、この自転車は既に絶版となっていて、補修部品も無く・・・中国の製造工場にすらフォークのみの在庫も無いという結論になり・・・
これは諦めてもらうしかない状況に・・・
しかしそんな理由で簡単に納得するお客様ではないと思ったので・・・何とかしちゃいました。
たまたま27インチのサイズだったので、廃棄処分のフレームでカワムラサイクルの程度の良いフロントフォークがあったので移植。
ブレーキはVブレーキから、ママチャリ用のキャリパーブレーキにデチューンとなりましたが、事故した車両って考えたら、無茶な走りをしない意味でもこれで十分。
ブレーキシューやインナーワイヤーは新品に交換して調整も完了!
元々ついていたフロントフォークは前後をひっくり返したら、ピナレロのONDAフォークみたいな形で、これはこれで意外と使えるんじゃないの?なんて冗談交じりにカワムラのフレームに装着。
ねっ?ONDAフォークみたいでしょ?一体どんなスピードでポールに激突したんでしょうね?(汗)
勿論使うのは危険なので、このまま廃棄処分です。
ポールにぶつかったとか、自転車同士でぶつかったけど、大丈夫そうだったからそのまま乗っている・・・なんて自転車のお客様、意外と多いんですよね。
どれだけ命に無頓着なんでしょうか?
「この自転車友達(親戚)からもらったんですけど・・・」とか、「リサイクルショップで買った自転車なんですけど・・・」って、修理や点検に持って来る自転車の中には、少なからず事故車がいたりします。
事故車を人に貸したり、譲渡したり、ましてや売ったりする人の神経は、さすがにありえないわ~!って思えるんですけど皆さんはどう思います?
リサイクルショップに至っては言語道断でしょう?本当に古物商の資格持っているんでしょうか?
その自転車(商品)が事故車だって認識が無かった・・・で済まして欲しくはないですねぇ~。
無責任過ぎますよ。
そういう自転車を見る度に溜息が出てしまいます。
あと・・・タイヤに無頓着な人や、チェーンの音に無頓着な人も多いです。
まずタイヤに無頓着な人といえば、空気圧の管理が出来ていない人が大半!
「すみませ~ん!空気が抜けてるんですけど~。」
「抜けるというのは、いつ空気を入れて今この状態なんですか?」
「え~っと、3ヶ月くらいしか経っていないんですけど・・・。」
「いやいや・・・3ヶ月って・・・。」(苦笑)
少なくとも月に1度は3.5~4.5気圧(タイヤにもよるので、タイヤサイドに記載している推奨空気圧を確認して下さい!)に合わせて下さい。
電動アシスト車なら半月に1度は必須です!
5~6気圧に調整するようなタイヤを装着したクロスバイクなどであれば3~5日に1度は必要。
当然ロードバイクは毎日乗る前に調整。
ロードバイクの場合は少なくとも、7~8気圧以上入れるので、逆に乗らない場合は空気圧を抜いておかないとタイヤの劣化を早める場合があります。
せめて自分の身体の一部として乗る道具なんだから、そのくらいの事は当然の事として認識しておいてもらいたい話である。
そしてタイヤに無頓着な人の別のパターンとしてあるのが・・・
これだ!
ゴムのトレッドが無くなってツルツルになったどころか、その下のカーカス部分が露出しちゃっています。
これだとパンクのリスクはおろか、バーストの危険性もあります。
カーカスはタイヤの空気圧による引っ張りに、耐えるように作られた構造なので、路面との摩擦で繊維質が破断すれば、そこから一気に裂けて、中のチューブが圧に耐えれず飛び出してくるので、まるでフーセンに針を刺したような割れ方をするんです。
バースト・・・つまり破裂です。
拳銃で撃たれたような破裂音なので、特に高圧のロードなんかだと、耳の鼓膜が破れるほど強烈な音なんですよ。
この自転車の場合は・・・
後輪タイヤも酷くて、既にタイヤが裂け始めだったので、危うくバーストになるところでした。
タイヤを長持ちさせて、出来ればタイヤ交換とかでお金を使いたくないですよね?
その気持ちはよく解ります。
自動車だったら、ちょっとグリップにこだわって良いタイヤにしたら、交換工賃込み4本で15万円とかしますよね。
僕も先日レガシィのタイヤとホイールを交換したばかりで、非常に出費が痛かった。
でもそのままで良い訳ないですよね?
一般の自転車だったらチューブとタイヤセットで、1本2000円くらいからじゃないですか!
ロードバイクだとタイヤは概ね1本2500~10000円くらいで、チューブが1本1000~1500程度はしますけど、自動車に比べたら安いもので・・・
ロードバイクのタイヤは軽量化とグリップ重視の為、ゴムの耐久性がそれ程高くはないので、期間で言えば室内保管のタイヤでせいぜい1年くらい。
走行距離で言ったら2000~3000kmくらいで交換の目安となっています。
もちろん一般車でも年月で言えば、概ね1~2年に1度は交換って感じでしょうか。
かなり甘めに設定しての話ですが。
そういえば余談ですが・・・
ヴェロフレックスのタイヤって、やっぱりすごいですね!
これはあるメンバーさんの通勤用ロードバイクのタイヤですが、1年使ってかなりトレッドゴムが硬化してひび割れを起こしている上に、切り傷があります。
しかしこの切り傷ができて半年以上経つのに、タイヤが型崩れを起こさないなんて・・・
さすがはヴェロフレックス。
当店でも取り扱いしていますよ~!(笑)
あとチェーンについてですが・・・
シャリシャリ音が鳴っていても平気な人って、本当に何も感じないのだろうか?
チェーンが伸びたりすると、更にチェーンケースにカンカン当たる音がするし、時々ギアの歯飛びだってするはずだ。
違和感とか感じないのだろうか?
中古で買うような人だったら、既にチェーンの張り調整が出来ていない自転車を掴まされて、最初からそうだから気付かない・・・なんて場合もあるかも知れないが・・・
それでも不具合だとは気付かないのだろうか?
当店の近所にある学習塾の先生には、毎日そんな整備不良の自転車で、シャリシャリ音とカコン!カコン!ってチェーンケースに当たる音を立てながら、しかもタイヤは空気圧不足でへしゃげた状態のまま通勤する方がいます。
何度かお声がけはしたのですが、挨拶してもまともに返してくれない方なので、未だ放置で・・・もうかれこれ1年半くらいになります。
今のところ事故もトラブルも無いようなのですが、ある意味奇跡としか言いようが無いほど、自転車の状態は究極に酷いです。
毎度店前を走られる度にあの音が気になって仕方が無い・・・
シャリシャリ音がするのは・・・
要するにこういうオイル切れのチェーンに多いんですよ。
ここまで錆びていると、チェーンのリンク(コマ)が固着して、プーリー(歯車)と上手く噛み合わない箇所が発生している場合もあります。
この写真の自転車は実際にそうでした。
自転車用オイルとかで、ルブリカントオイルなんかもありますが、僕はあれ・・・嫌いです。
チェーンがギトギトになるでしょ?
ウェットタイプではなく、ドライタイプならサラサラでいいのですが、気化しやすいし、雨に流されやすいっていうデメリットもあります。
僕はチェーンソーオイルをオススメします。
値段も安いし粘度も硬過ぎず、柔らか過ぎずで、チェーンのリンクの中まで浸透しやすい。
汚れもすぐに浮き出るので、多い目に塗布してクランクを回しながら、ウェスで拭き取ればすぐに綺麗になります。
まあそんな事を言ったらケミカルにこだわっている人や、メーカーの方には怒られますが、そういう考え方もあるのです。
他にも・・・
写真だけだと判りにくいのですが、ママチャリや電動アシスト車に多いのが、ハブのガタツキ!
この自転車はローラーブレーキ側の玉当たりナットが緩んでいて、グラグラのガタガタでした。
ホイールを外した後、ローラーブレーキも外して玉当たり調整!
かしめ用のナットまでが緩んでいた結果です。
しかし長い期間ろくなメンテナンスもしないでいたら、どんな自転車だってこうなる恐れはあるので、事故してえらいことになる前に点検にいらして下さい!
こういったコードの固定バンドが破損した場合なんかも、タイラップ(結束バンド)で固定すれば、引っかかる危険性はなくなります。
皆さん・・・ご自身の自転車の状態を、今一度よくご確認下さい!
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