2020年10月17日土曜日

結局自分の居場所は山にしかない・・・槍・穂高縦走チャレンジ・・・その⑤「槍ヶ岳とは・・・」



グリーンバンドから10分ほど歩いたところで振り返る。(標高2650m地点)

西岳(標高2758m)と赤沢山(標高2670m)の向こうに常念岳(標高2857m)の山頂が頭を出した。

そして僕から5~6分遅れくらいで赤ヘルメットと、天狗原分岐で出会った御三方が続いている。
協力して歩く話にでもなったのかなぁ?
初めて歩く人は協力し合った方が心強くて良い。


槍ヶ岳山荘まで1300mという意味です。

標高差はあと430mなので平均傾斜は33%以上・・・
でも途中で平坦な箇所もあるので、この写真を撮影している辺りとかは40%はあったと思います。

そりゃ白出沢や北穂南陵に比べたらマシではあるのだけど、そろそろハイドレーションの水が無くなりそうな予感がして、かなり焦ってきました。

目の前のグループがいる辺りがヒュッテ大槍へ向かう道の分岐です。

分岐を右へ向かうと・・・


あの斜面を登って行けば右の岩壁の上に、ここからでは確認できませんが『ヒュッテ大槍』が建っています。

殺生ヒュッテは営業終了とありましたが、東鎌尾根上にあるヒュッテ大槍はまだ営業しているみたいで、ここからも急斜面をジグザグに登って行く登山者が確認できます。

実際には写真で見る以上にとてつもない急斜面なので、槍ヶ岳山荘までのコースタイムがいくらか短縮されるとは言っても、あれを登る気にはなれません。

そして僕は播隆窟に着きました。(14:17)


播隆窟から振り返るととうとう富士山が見えました!

蝶ヶ岳の向こうには八ヶ岳連峰が見えます。

蝶ヶ岳と横尾尾根の間に薄っすらと富士山と甲斐駒ヶ岳が写っていますが、判りますか?


追いついたグループは播隆窟で小休止らしく、そこに混ぜてもらい僕も10分ほど休憩。

グループのご婦人方に播隆窟の中も見学してみては?と勧められて中に入る。

ザックを降ろさないと狭くて入れないけれど、ここがどういう場所かというと、江戸時代後期に槍ヶ岳への登山道を開山したという播隆上人が、避難小屋としても使えて、また修行僧が念仏を唱える修行の場として使えるようにとしていた洞窟なのだそうです。

ここで標高は約2700mあります。

そしてグループの皆さんに「お先に失礼します!」と先にスタートさせて頂きました。


槍ヶ岳山荘まで残り900mを切りました。間も無く殺生ヒュッテと同じ標高のテラスです。(14:53)

そういえば手前の殺生分岐(槍ヶ岳山荘まで1kmの地点)で5分の小休止を取っていたら、一人で下山するお姉さんがいたので挨拶を交わしましたが・・・

山小屋のスタッフさんでしょうか?
14:45でここから下山しようっていうのですから、上高地までどんなに早く歩いても19時頃にはなるでしょう。
槍沢ロッヂが目的地であれば良いのですが、もしも上高地まで行くつもりだとすれば慣れていたとしても森の中は暗くなるのでかなり危険。

それを行くと考えたらかなりの手練れと思われます。
そして非常にスタイルの良い美女でした!


槍ヶ岳山頂の左に槍ヶ岳山荘が見えています。

あそこが『槍の肩』です。

そして先ほどの小休止でハイドレーションの水が尽きました。

もう喉がカラカラでクエン酸や酸素のタブレットを食べる事もできなくなりました。

岩に残りの距離をペイントしてくれているお陰で、何とか意識を保っていられるような状態です。

もう空腹レベルは我慢の限界を超えています。

喉も渇き、呼吸音がおかしくなってきました。

更に頭痛とまではいかないけど、目が回って気分が悪くなってきました。

今回ばかりは自分の作戦ミスです。

完全な作戦ミスで高山病寸前の状態です。


それでも淡々と歩き続けてとうとう残り500m地点。(15:05)

しかしここからは100m進む毎に撮影にかまけて3分の休憩を取る。

もう下界の5分の1くらいのスピードでしか歩けない。

平地ではないと言っても100m進むのに5分近くもかかっている。

まあ1.6km進むのに3時間も4時間もかかる白出沢に比べたら3倍マシなのかも知れないけれど・・・やはり標高3000mの世界に来る度、自分の運動能力の低下に驚かされる。

そして槍沢から吹き上がって来る風の冷たさ・・・

汗が一気に冷えて全身が凍えてきた。


ようやく残すところ300m!


近いようでまだ遠い槍の穂先。


振り向けば常念山脈の稜線がハッキリと見えるようになっていました。

美ヶ原も見えています。

富士山もまだ見えてます!

そして赤ヘルメットが残り500mのポイントに差し掛かっています。

その後ろに天狗原分岐で出会った御三方。

更に先ほどのグループが続いています。


15:37 いよいよ残り110m!

最後の小休止を取ります。

もう空腹と喉の渇きで顔の筋肉まで引き攣ってきました。


東鎌尾根と合流してゴールまで残り50m!


曇っていた空が、まるで僕の到着を祝福するかのように晴れ間が顔を出してきた!


富士山の右には南アルプス山脈が・・・


そして隣の大喰岳(おおばみだけ)の左手に、前穂高岳と北穂高岳の山頂がチラッと見えています。


っていうか、槍ヶ岳山荘のテント場って凄まじい場所にありますね!(驚)

そして無事に槍ヶ岳山荘に到着しました!(15:44)

到着の報告を兼ねて、神戸の店に電話・・・

立ち止まって3分程話していたら、もう寒さのあまり突然頭が痛くなってきました。

「ごめん!もう無理!限界!一度電話切るな!」

そう言って電話を終えた。

本能的にこの状態で、今から槍の穂先に登るのは無理だと感じた。

すぐにでも山荘の中で暖まりたい。


最後の力を振り絞って撮影。

絶好の青空になったのに身体の震えが止まらない。

寒い!


殺生ヒュッテにヒュッテ大槍、東鎌尾根~西岳の表銀座ルートが一望できる。

しかし感動している余裕もなく、槍ヶ岳山荘の中に入る。

ところが山荘内にも隙間風が入って来るからなのか、冷蔵庫のような寒さである。

急いで宿泊の手続きを始める。

コロナ渦で完全予約制になっていたそうだが、何とか手続きを受ける事が出来ました。

それにしても僕は部屋割りの運がほとほと乏しいらしく、部屋はまたしても(穂高岳山荘の時と変わらず)飛騨側の部屋に当たったので、風が強くて窓の隙間から隙間風が吹き込んでくる。

僕の寝床は見事に窓際・・・。(汗)

ガクガクと震えながら布団にくるまって倒れるように寝てしまった。

次回へ続く。

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