長野県に入って以来小雨が降っている。
とりあえず雨具の準備をする為にインフォメーションセンターに入る。
これは上高地を手前にして見た時の穂高・槍連峰の模型。
左手前に大正池があって中央正面の侵食地形が岳沢カール。
中央にそびえるのが奥穂高岳で、岳沢カールを囲むように前穂高岳、明神岳、ジャンダルム、天狗の頭、間ノ岳、西穂高岳と稜線が展開している。
今日僕が向かうのはその真裏に存在する涸沢カールである。
画面中央に屏風の頭が確認できると思いますが、その右に見える梓川沿いの黄色い印が横尾山荘で、まずはそこを目指します。
本日の最終目的地は屏風の頭の写真左下の黄色い印・・・涸沢カールです。
この写真は岐阜県側から見た穂高連峰。
写真右端の中央付近が梓川にかかる河童橋付近。
大きく回り込んで涸沢カールへ登っていく。
ちなみに写真中央の奥穂高岳と涸沢岳の間の凹みに黄色い印があるのが『白出のコル』・・・つまり前回も宿泊した穂高岳山荘である。
ようするにその穂高岳山荘から写真真下へ続いている道が前回歩いた白出沢ルートという事になる。
写真右下の黒い線は新穂高ロープウェイを意味しています。
表は右に行くほど難易度が高く、上に行くほど体力も必要という意味合いの、岩稜帯レベル相関図といったものです。
奥穂~西穂縦走路が真っ赤になっているのは、紛れもなく国内最難関にして、レベルのつけようがないほど危険なルートだという意味です。
ここについては僕も前回、逆走ルートで難所の核心部分である馬の背をクリアした直後に暴風雨に晒され、残るはロバの耳さえクリアすればジャンダルム・・・だったにも関わらず、怖気付いて撤退を余儀なくされた場所ですから、その恐ろしさは身に染みて解っています。
日本アルプスの開祖であるW・ウェストン牧師とガイド役の上條嘉門次氏でさえ、そこには足を伸ばさなかったと云われるほど、ジャンダルムを通過するルートは別格なんです。
最終日は奥穂高山頂からジャンダルム~西穂高岳の縦走路を最終目標としていましたが、あくまで3日目の僕の体調と天候次第という事で、必ず行くとは考えていません。
今回の僕の最優先ミッションは・・・
①涸沢カールの紅葉を満喫する。
②涸沢の紅葉とモルゲンロートの共演を観賞する。
③北穂高小屋のテラスで槍ヶ岳を望みながらコーヒータイム。
④北穂高岳~涸沢岳~穂高岳山荘の縦走路を歩く。
以上の4点が最優先ミッションです。
④の縦走路も上写真にある通り、奥穂~西穂縦走路を除けば国内最難関ルートと呼ばれており、ジャンダルムに行けるくらいのレベルの人でないと、迂闊に歩けないルートだと言われています。
あとは僕の体調や天候次第ではございますが、大キレットの散策(余裕があれば南岳まで、なければ長谷川ピークまで)なども視野に入れています。
これも出発前にお客様のF谷様からご忠告頂き、「詰め込み過ぎないで、スケジュールにゆとりをもって!」との事でしたので、そのご忠告を基に無理をしない事が、ある意味5つ目のミッションと言ったところでしょうか。
とりあえず雨の準備が整いました。
さっきまで半袖Tシャツだったのですが、その上にウインドブレーカーを着て、ブーツに水や泥、石が入らないようにスパッツタイプのゲートルを装着。
リュックサックはレインカバーを装着。
ストックは必要に応じて使えるように携帯する事に。
ウインドブレーカーにはフードが付いているのでそれを被って、登山届も提出したので9:00に出発。
そもそも傘とか持って来ていないし(荷物が増えるから)
小雨に打たれながら河童橋へ・・・
岳沢カールも恐らく標高2300m付近より上が、雲にスッポリ覆われて見えません。
ちなみにここから肉眼では見えにくいけど、ギリギリ見える位置に岳沢小屋があります。
岳沢小屋の標高は2170mなので、2300mの根拠はそこからの計算です。
まだ雨が降っているから外を歩いている人が少ないだけで、思った以上に多かったです。
でもやっぱり写真・・・撮っちゃいますよね?(笑)
いつもは美しいターコイズブルーの梓川が濁っています。
橋は渡りません!
右岸に渡ると明神までのルートが遠回りなので、スケジュールを短縮するならここからビジターセンター横を抜けて左岸を歩くのが基本です。
ここは湧水より流れる川なので濁っていません。
梅花藻の隙間から時々イワナが見え隠れします。
ここでは釣りとかしちゃ駄目ですよ!(笑)
道が雨でぬかるんでいるので、河童橋から通常30分もあれば着くはずなのに、少し遅れてしまいました。
この建物の前を左へ進み、梓川を渡ったら嘉門次小屋と明神池、穂高神社があります。
20代の頃は嘉門次小屋でイワナの塩焼きを食べるのが一つのイベントでした。
僕はこのまま右手へ真っ直ぐ進みます。
ここも支流でしょうか?
どうにも護岸を人工的に整備されている感が気になるのですが・・・
向こうに見えるのは長七の頭という山で、その向こうの明神岳は雲に隠れています。
しかし北側に青空が確認できるようになりました。
沢の増水です。
回避できる通路が設置されていて良かったです。
左を向いて撮った写真ですが、向こうに見えるのは六百山と雲に隠れた霞沢岳です。
奥の雲に隠れている山は正面に明神岳があってその右に前穂高岳があるはずです。
とりあえず青空の面積が広くなってきた。
思惑通りの台風後の快晴!
ここは以前牧場をしていたそうで、ソフトクリームが名物に指定されています。
見えてきました。
ソフトクリーム食べたいな・・・でもお腹を壊したら嫌だなぁ~。
でもやっぱり食べたいなぁ~。
挨拶したのに無視!
それで気分を害したのでソフトクリームは無しの方向に。
ここまで来るにも結構多くの方と挨拶を交わしたり、登山行程や紅葉の話で盛り上がりましたが、海外からの観光客でさえ気持ちよく挨拶を返してくれるのに・・・
「お前は目が合っていながら尚、人の挨拶を無視するのか?」
そんな下らない事がモチベーションにだって影響するもんです。
スカした野郎にはイラっとしちゃいますよね。
ここら辺も湧水池になっています。
間もなく水浸しの道の向こうに橋が見えてきました。
という事は正面に前穂高岳と北尾根があるはずです。
北尾根にかかった雲はそろそろ晴れてきそうな感じ。
横尾までぬかるんだ道をこれ以上歩くのは嫌だなぁ~って思っていたのと、ここからだったら橋を渡って右岸を歩いた方が、涸沢まで近道なんじゃない?
そう思って渡ってみる。
そろそろウインドブレーカーを脱ごうかと思っていましたが・・・
まだ無理!
そして梓川もここまで来ると、本来のターコイズブルーになってきました。
どんな物好きやねん!と自分に突っ込みを入れながら。(笑)
ここは屏風の頭経由で涸沢に向かうパノラマコースと、小説『氷壁』の最初の舞台である、『ナイロンザイル切断事件』が起こった前穂高岳東壁に向かう登山口。
当時切れる事が無いと言われた最新のナイロンザイルが切れて、墜落死した登山家の実話を基に作られた物語。
当時のナイロンザイルには、角の立った鋭利な岩に荷重がかかるとあっさり切れてしまうという欠点があったのですが、それを登山協会が認めなくて長年墜落死の原因を争ったという話ですが、小説『氷壁』が書かれた当時は原因が謎だった為、違うストーリーになっています。
そろそろ前穂高岳が姿を現しそうだ!
そして屏風の頭。
この山の向こう側を巻くようにして登る予定。
護岸工事の通路が、上手く梓川を跨ぐように橋を設置していたお陰で、僕は再び正規のルートに向かってルート修正が出来そうだと判る。
ラッキー!
ちょっとこの写真では判りにくいかも知れないけど、中央付近では若いサル同士がケンカをしているのが確認できた。
前穂高岳の東壁が見えた!
そして右には屏風の耳と思われる形が確認できる。
いよいよ横尾に到着である。
随分脇道に逸れた割りにはまずまずのタイムで到着しました。
ザイル無しで登ってみたくなりませんか?
そしてお腹も空いてきたので・・・
ニンニクが効いていてとっても美味しかったです。
横尾山荘は標高1620mに位置しています。
お昼休憩の後、ここから標高2350mの涸沢小屋を目指して、いよいよ本格的な登山道に入ります。
0 件のコメント:
コメントを投稿