2018年10月13日土曜日

穂高岳山行3日間!(2日目)その4・・・難易度S級!?氷の登攀


10月 2日(火)11:56 北穂高岳(北峰)山頂より。

正面は松濤岩と北穂高岳南峰。その右からひょっこり顔を出しているのが滝谷ドーム。

左の奥に見えるのは主峰の奥穂高岳。

松濤岩に着いている雪と氷は、2時間前に見た時よりは解けているかも・・・

そして山頂からあちこちの景色を見下ろして、高所恐怖症の僕はゾクゾクするスリルを楽しんでいたのですが、ここで青いウインドブレーカーの登山者(N村さん)が先に出発したのを確認する。

写真撮影をしていたのですぐに切り上げて追いかけようと下を見たら、結構なスピードで歩いて行くではないか!

なので僕も必死に追いかける。(12:00スタート)


北穂分岐の手前から振り返って撮影。

今の下りで3人抜いて(赤い人は僕より後に出発)来たのですが、N村さんが見当たらない!

実はこの写真よく見たら、北穂山頂にN村さんらしき人が立っているのが確認できるが、空の色と同化していて、しかも僕は置いて行かれたという感覚でいたので、この撮影時には気付かなかった。

こういうので仲間やパーティとはぐれるなんて事、意外とあるあるだったりするのかな?


何だかんだ言って撮影するゆとりは忘れていないんだけど、N村さんが本当に見当たりません。

どんなスピードで歩いて行ったら視界から消えるのだろう?

ここ北穂分岐から南稜テラスは見渡しが良いので歩いていたら判ります。

しかし南稜テラスには青いウインドブレーカーの人がいません。

奥穂高方面へはしばらくガレ場を登ります。

なのに僕の視界では誰も登っていません。

トレイルでもやっている人なのか?

とてもじゃないけど相当尋常じゃないスピードでなければ、この200m程の移動距離で僕が撒かれるなんて事はあり得ない。

僕は山頂からここまで1分かからずでやってきたのに・・・

狐につままれたような気分で先へ進む。


ガレ場を登った所。

ペイントがハッキリと確認できるので、まだ安心して歩ける。

お一人様の怖い所が道に迷っても誰も教えてくれないところだ。

しかも僕みたいに初めて歩くような場合は、一瞬の不注意でルートを逸れ、身動き取れなくなったり滑落事故を起こしたりするもので・・・

出来る限り遠くの方までペイントを確認しながら、あり得ないルートを消去法で消しつつ、正規ルートから外れないように歩く箇所もある。

ペイントは頻繁にある訳じゃないし、角度によっては見つけられないような場所に記されている事が多い。

だから出来るだけ遠くのペイントから確認して、手前のルートを推測し、確実に見つける工夫が必要。

そういった意味も含めて、初めて来るお一人様はルートファインディングにかける時間も余分に見て、一日のスケジュールを慎重に組まないといけない。


真下を見下ろすがやはり南稜テラスには誰もいない。

N村さんは先ほど会話を交わした限りではかなりのベテラン。

ここのルートはまだ歩いた事が無いとは言っていたけど、奥穂~西穂の縦走路も歩いた事がある手練れですので、僕よりは断然歩き慣れているはず・・・

もし先に歩いているとしたら、追いつくのは本当に命懸けだなぁ~と感じる。


それにしてもガレ場も大概だけど、こんな大岩がよくもこんな風に折り重なって安定するものだ・・・と、つくづく感心する。(9:07通過)


振り返って、これが北穂高岳南峰になるのかな?

「この先左へ行くべからず!」って意味で✕印がペイントされています。

確かに南峰の頂上付近は足場が崩れそうでおっかないですね。


そしてこれから向かう涸沢岳と奥穂高岳の姿!

涸沢岳と涸沢槍が、この角度からだと重なって見えるので、ハッキリとルートが判断できないのですが、恐らく登るであろうルートはほぼほぼ雪と氷にまみれている模様。


雲が流れて画面中央付近にジャンダルムも見えます。

どこから見ても登りたくなる山ですね。

そしてカメラを右に少し回すと・・・


いよいよ滝谷ドームが目の前に現れました。


しかしドームにたどり着く前にこんな凍った岩の隙間を抜けて行かないといけません。


そして抜けたら抜けたで一面の氷壁!

やはり見渡しても、さっきの青いウインドブレーカーの人(N村さんと思われる人)の姿は見えません。

ここはトレイルとかってレベルの道ではないので、いくら歩くのが速くても、時間差や相対速度的に考えたらまだあの滝谷ドームの取り付き付近に見えるはずです。

誰も歩いていません。

見渡す限り涸沢岳方面にも登山者らしき姿は誰も見えません。

そりゃこんなコンディションで、この縦走路を歩こうなんて言うのは狂気の沙汰です。


この先足を滑らせたらこの絶壁を墜落する事になります。

怖くなってきました。


南稜ルートに戻るなら今が最後のチャンスです。


今からここを垂直に下ります。

岩はどこも霜を帯びて凍っています。

何度も言いますが滑ったら最後です。


僕が悩んでいた頃、実は本物のN村さんはここにいました。

もうすぐ僕に追いつくところです。


僕が意を決して1段階下りたところで声がしました。

振り向くとN村さん!

僕は内心「このまま誰も歩いていないとんでもルートで、人知れず死ぬかも知れない。」って覚悟しつつも、実はとっても落ち込んでいたところだったので本当に嬉しかったです。

それにしてもN村さん、ここを降りてくるスピードがおかしい。

1分とか・・・速過ぎる!


もし滑落していたらここを真っ逆さまに落ちます。

普通はこの高度感だと、慎重に下りますよね?

N村さんは強心臓の持ち主です。

とりあえず合流成功!(12:20)


N村さん撮影の滝谷ドーム。

ペイントが画面右下の〇印までしか確認できません。

恐らくあのドームの割れ目に向かって伸びている斜めの筋がルート(ドーム頂上までは行かずに、途中で凍った岩場を登って長野県側に巻く)に思えるので、そこを手前に辿ってくると、このままあと20m程ガレ場を下るようにも見えます。

僕が偵察に一度下ってペイントを探しに行きますが・・・見当たりません。

実は左の真っ白に凍った岩にペイントがされていたのですが、雪で見えなくなっていただけなんです。

危なかった~。


こんな際どい所を進みます。

っていうかN村さんは指貫きグローブですか?(そこに驚く)

本来はオーバーハングしている左の大岩に抱きつきながらトラバースするんでしょうけど、凍っているから抱きつけません。


ドームまでの道は足元もこんな具合に雪と氷で滑りますから。


っていうかN村さん速過ぎ!

もうドームの取り付きまで歩いている。(写真の少し右に外れた辺りにいます)

追う方は必死!

N村さんが長野県側へ巻くルートを探している間に何とか追いつく。

先頭はルートファインディングする手間があるので・・・

で滑りやすい凍った岩を登っていたら上に一人登山者Xさんが休憩していました。

穂高岳山荘側から歩いてきたそうです。

Xさん「こんにちは!お疲れ様です!」

僕・N村さん「お疲れ様です!穂高岳山荘からですか?」

Xさん「はい、そうですよ。道中めちゃくちゃ凍ってました。ずっと氷!」

僕「えぇ~っ!ずっと氷ですか?」

Xさん「涸沢岳はやばいよ!出来るだけハシゴとかの雪や氷は払ってきたけど。」

僕「僕らが今来た道もところどころやばかったですけど、そっか~この先もっとやばいんかぁ~。」

N村さん「普通に歩けることは歩けるのかな?」

Xさん「ああ、歩けることは歩けますね、むしろ登りの方が楽かも。僕は下るのは怖かったけど、登りだったら良かったのにな!と思えたくらいなので大丈夫だと思いますよ。」

N村さん「氷の区間は長いのですか?」

Xさん「ちなみに今回はどこから登って来られたんですか?」

僕・N村さん「今朝涸沢から南稜を登って北穂高岳から歩いてきましたよ。」

Xさん「南稜は特にやばい所はなかったですか?」

僕「ええ、南稜は特に問題ないですよ。雪も気になるところは無いですし登りやすかったですよね?しんどいだけで・・・」

N村さん「そうですね確かに南稜は問題なかったですよ。」

Xさん「ああそれなら大丈夫ですよ。」

僕・N村さん「へっ!?」

Xさん「いや・・・南稜で怖かったとか、やばかったとか言う人だったら、もうここで引き返した方が良いんじゃないかと思って聞いてみたんです。逆にジャンダルムとか登るような人だったら絶対に大丈夫ですから、是非頑張って下さい!」

なるほど・・・

ベテラン登山者はそうやってさりげない会話から、他人の適正とかレベルを判断するのかぁ~。

そういう意味では僕も一応合格ってところで・・・頑張りますよ!


そしてドームの斜面から3人で眺めていた槍ヶ岳。

そこにもう一人穂高岳山荘側から歩いてきた超ベテラン風の男性がやってくる。

これでこのルートには僕とN村さんを含めて4人が歩いている事になる。

しばし会話を楽しんでから再出発。


奥壁バンドの目印になる岩盤が現れました。

ここまで近づいて見たら涸沢岳の登りは完全に凍結していますね。

ここまで来たからには行くしかないと覚悟していますが、やっぱり緊張もしているので武者震いします。

そしてこのまま岩盤の辺りまで歩いて行けるのかと思ったら・・・


一旦岐阜県側へ巻いてから戻るそうで・・・

なんでわざわざこんなところ下りないといけないの?って言いたくなる。

当然の事ですが、こんなレベルの岩壁を下りるくらいでは、鎖には頼りません。


また長野県側に出てきて先ほど確認した岩盤の横を通ります。

そしてN村さん・・・速い!

置いて行かれそうです。(笑)


N村さんが見えなくなって、僕はここでルートに戸惑う。


その頃N村さんはその先でまたこんなところを下って、すれ違った5人目の登山者が岩壁を登る姿を撮影していました。

ここは鎖も無いので、しっかりと安定した岩を探して昇降します。

直後に僕はこの5人目の登山者が登り切るのを待って、ここを下ります。


更に斜面を下ってきたところで振り返って撮影しています。



実は僕・・・ここで滑落しました。(苦笑)



『滑落しました記念撮影!』と言ったところでしょうか・・・(汗)

ここは奥壁バンドと呼ばれる区間の核心部。

N村さんとの遅れを取り戻そうとしていたのですが、さっきからメールはバンバン入ってくるし、電話の着信は何度もくるし・・・で、携帯電話を手に取った瞬間滑りました。

標高3000m以上あるのにやたらと電波が良すぎる環境ってどうなの?

確かに緊急時には助かるけれど・・・

メールは迷惑メールばかりだし、電話は銀行だったり留美さんだったり・・・

しかも留美さんはこの時僕に電話をしたつもりはなかったそうで、誤発信!?

「もしもし?もしもし?・・・おい!ふざけてんのか!なんてタイミングで電話してくるんだよ!死ぬところだったじゃねぇか!」

普通に会話が成立していたならまだしも、問いかけても無言なのでさすがに怒鳴ってしまいました。

用事がある時はこちらから電話をするので、お願いだからこんな山を歩いている時に電話なんてしないでくれ~!

左手に携帯電話を握っていたので、右手でとっさに岩を掴んで・・・

右ひざと右足首を飛び出た岩に強打して、20秒くらい動けなくなった。


カインズホームであれこれ試着して選んだこのグローブ。

このグローブを装着していなかったら完全に墜落していました。

凍っている岩でもしっかりとグリップしてくれ、しかも意外に温かい!

今回の僕の装備品の中でも最も優秀な働きをしてくれたと言っても過言ではないグローブ君です。

完全に擬人化してもいいレベルです。感謝!

素手だったら・・・いくら反射神経が良くても太刀打ちできなかったはずです。

それにこの後もっととんでもない氷壁を登るので、素手ではかじかんで握力が活かせなかったでしょう。


さっきまでN村さんが見えていたのに、完全に置いて行かれました!(涙)

後でN村さんが全く同じ地点で撮った写真を見たら、僕が滑落後・・・この写真を撮った時点で4分の遅れを取っていた事になります。

果たして今から追いつけるでしょうか?

N村さんは当然僕が滑落した事など知りません。

知っていたらきっと助けに戻って来てくれたと思います。


ルートは再び涸沢カール側(長野県側)に切り替わります。

南稜がもうあんなに遠くに見えます。

この辺だったら落ちても死なない自信はあります。

あくまでここが唯一、何かあった場合に涸沢カールまで滑り下りれそうな、場所だからです(笑)


ああ・・・でも落石がきたら嫌だな・・・(もう転落している気で妄想に耽る)


「いかん!いかん!追いつかないと!」

だんだんガスが出てきました。

これで完全にN村さんを見失ったら、僕の心は完全に折れてしまう!


ガスが濃くて先の方が見えない。


これは『涸沢のコル』(最低コル)だろうか?

だとすればあの岩山は『亀岩』という事になる。

通常なら涸沢のコルは休憩ポイントなのだけど・・・

よく見たら亀岩の上にN村さんが登った所である。

頑張って追いつかなければ!


亀岩の登り!


登った所で涸沢カールを撮影。

ここのなだらかな侵食地形は高度感を和らげる役割を果たしています。

が、しかし・・・


ここは真下に落ちたらやばいですよ!

この写真で見たら砂場にジャンプする程度の感覚に見えるかも知れませんが、手前のハイマツが茂った緑のところまで軽く200~300mくらいの落差があります。

東京タワーやエッフェル塔の展望台から飛び降りたらどうなると思います?

そういうレベルの話です。

周りに転がっている石ころは、実際には人よりも大きな岩の塊です。

遠近感・・・麻痺しますよね。

写真の奥に見えているのが涸沢ヒュッテ(標高2309m)ですよ。


今立っているところから振り返って、北穂高岳(標高3106m)を見ています。

帰ってから等高線マップを見たら、ここの標高は概ね3020mくらいでした。


そして僕が撮影を終えてウエストポーチに携帯電話(カメラ)をしまいながら歩いているところをN村さんが撮影していました。

まだこんなに離れています。(苦笑)

ちょうど僕は『ニセ涸沢のコル』に差し掛かっています。


そしてこれもN村さんの撮影・・・

一瞬槍ヶ岳が見えたそうなのですが、すぐにガスが濃くなってきました。


いよいよ僕も涸沢槍に取り付きました。

N村さんはこの1段階上に登った所にいます。


僕が最初の第一段階の棚まで登った所で上を見上げたら、N村さんと誰かが会話をしています。

これはN村さんが撮影した写真ですが、涸沢槍の核心部が完全に凍結して真っ白なので撮影したら、上で動けなくなって助けを待っている女性が手を振ったところの絵です。

女性(Tさん)とN村さんが、お互い動けない状態で「ここをどうやって攻略したら良いだろうか・・・。」という内容の会話をしており、そこに僕もようやく追いつく。

僕が登りながら見ている限りでは、時々Tさんはあの真っ白に凍結した岩にしがみついて足場を探すのですが、どこにも足を掛ける場所が無く、だからと言って凍結したこのコンディションでハシゴのあるステップまで飛び移るなんて出来ないし・・・といった感じでした。

追いつき様に僕が遠目で付近の岩を観察していたら、Tさんの立っている岩の側面にボルトが5~6本打ち込んであるのが見えたので、N村さんに「ここを使って鎖と合わせたら登れそうですよ。」って伝える。

すぐにN村さんが「先に我々が上ってから指示しますので、一度失礼します!」と言って登る。

次に僕も登る。

悔しいけど・・・さすがにここだけは鎖を(切っ掛け作りに)掴んで登りました。

どこまでも・・・どこまでも不本意ですが。(笑)

次にTさんが向こう側へ上手く下りれるように、鎖を持って頂いて・・・

足を置くボルトの位置や、掴む岩の位置、脚を伸ばす位置を指示して、何とかTさんも無事にハシゴに取り付く。

女性のお一人様がこんなやばいルートを行くなんて、ものすごい勇気ですがちょっと心配です。

しかしどうやらN村さんとTさんとは9月30日の夜に前泊で泊まった平湯温泉でご一緒だったそうで、しかも10月 1日のバスでも同じバスだったとかで面識もあり、ルートとかの会話もしていたそうで、N村さん曰く「あの女性なら大丈夫だと思いますよ。一番危険な箇所がここだと思えば、あとは何とかなりますよ!」とのこと。

まあ確かに難易度は今の箇所が一番だと思うので、何とか無事を祈るくらいしかできません。


そして我々も涸沢槍の攻略はまだ終わった訳ではありません。

更に鎖場を登ります。

真っ直ぐでも登れますが、基本的には鎖を跨ぎながら左右へジグザグに動きながら登ったと思います。

もちろん鎖なんて使ってませんよ。(笑)


そして涸沢槍を登った所で、先ほどのTさんが無事に亀岩方面に下りたかどうかを確認したのですが、まだ下り切っていないようです。

しばらく様子を見ようと思ったのですが、僕もN村さんに置いて行かれたくないので、先を急ぐことに・・・

そしてここでもブロッケン現象に出会ったのですが、写真を撮った瞬間携帯電話の電池容量不足でデータが消えてしまいました。

「まだ昼の2時前やぞ!今朝の段階で電池満タンやったのに!」

写真の撮り過ぎもあるけど、やっぱり通話とか着信が多かったからねぇ~。

「ここまできて写真が撮れないなんてアホやんけ~!」と悲しんでいたら・・・

するとN村さんが「ここからは僕が撮影して、後日メールで送りますよ!」って申し出て下さり・・・「あぁ・・・なんて良い人なんや、もはや神様や~。」って感動!


これは『D沢のコル』から見上げた『ダイヤモンド涸沢岳』!

まぶしい!溶ける~!

そしていよいよ最後の登攀である。

ここからまず『オダマキのコル』まで登ります。


序盤は長野県側から巻くように登ります。

こちらは岩が凍っていないのでまだ楽ちんですが、高度感は半端ないので高所恐怖症には地獄です。


そして『オダマキのコル』を過ぎてからは涸沢岳の登りの核心部分・・・

意地でも鎖は使わない!

途中足を掛ける場所が無くて、跨ぐようにひざを乗せてから、次の岩を掴んで登る箇所もあったので、身長の低い人だったら昇降共に難所と思われます。


涸沢岳の登り最後の難所は、狭い岩の間を抜ける直登。

ここは大きなザックにあれこれ荷物をくくり付けた状態で登ってくると、引っかかって身動き取れなくなるという、冗談のような難所です。

良く大阪環状線の高架下で、高さ制限の表記を見ないで潜ろうとした、トラックが自爆する事故ってありますよね?

まさにそんな場所。

これを登り切ったら涸沢岳の三角点がある標高3103m地点です。

14:15 涸沢岳三角点に到着。

山頂はこの先4分程進んだ先です。


三角点を過ぎてから間もなく長野県側が切れ落ちた幅50~60cm程の細い道があるのですが、そこからまたブロッケン現象が見えました。

本日3ヵ所目のブロッケン!


そして涸沢岳山頂(標高3110m)に登頂しました!

本日2峰目の3000m級達成です。

奥穂高岳の雪は随分と解けた模様。

でも馬の背~ノバの耳~ジャンダルム付近は怖そうですね。

このコンディションで天狗の頭~間ノ岳は滑りそうな感じがします。

さすがにこの日の奥穂~西穂の縦走路は、命知らずのド変態しか歩いていないでしょうね。


奥穂高岳山頂(標高3190m)には3人くらい登山者が確認できます。

それだけでも変態ですよね。


しかしさすがにジャンダルムには誰もいません。

間もなく2時半って事を考えたら当然なのかも知れませんね。

何となくロバの耳の逆層スラブを登った辺りに人影らしきものは見えるのですが・・・

あれを下りてからのトラバースが地獄ですね。


とりあえず奥穂高岳~ジャンダルムをバックに撮影をしてもらっていたら、先に涸沢岳山頂に来ていた登山者の方に「良かったら撮影いたしますよ!」と声を掛けて頂き・・・


本日、共に氷地獄を踏破したN村さんとツーショットで記念撮影!

N村さんも今回、北穂高岳から穂高岳山荘までのルートは初めてと言っていましたが、「元々国内でも最難関ルートのはずだけど、今回は雪と氷のせいで難易度が余計に増していたと思います。ある意味こんな日に歩けてラッキーでしたね。」って・・・

完全にレッドゾーンへ入っている人の発言ですね!(笑)

実際僕も楽しくて楽しくて・・・堪らなかったです。

でも本当にN村さんがいてくれて助かりました。

僕一人だったら本当に心が折れていたであろう箇所が、少なくとも2ヵ所はあったと思います。


これは奥穂高岳と前穂高岳、そして穂高岳山荘が入るように撮影した写真です。


奥穂高岳から3人組が下りてきています。

でも山頂にはまだ登山者がいますね~。

意外と登っている方が多いみたいです。

僕が通った北穂高岳~穂高岳山荘のルートは、確認できた限りでは我々を含む6名しか歩いていませんでした。


そして今歩いてきた方向は完全に雲に隠れてしまいましたが、槍ヶ岳(標高3180m)の先端だけは雲を貫いて顔を出していました。

「雲・・・もしかして!」

そう思って僕が涸沢カール側を覗き込んだら・・・


はい!本日4か所目のブロッケンスポット発見!

これにて僕の通り名は『ブロッケン探しの名人』と命名されました。(笑)


槍ヶ岳が更にハッキリと見えました。


そして涸沢岳山頂の看板とも記念撮影!

涸沢岳の山頂で15分程楽しんだところで・・・


ジャンダルムの雄姿を見ながら穂高岳山荘に向けて下山。

この下山の最中、僕はある人達に出会って驚愕する!

北穂高岳南稜に向けて登っている際に、僕に伝言をお願いしたご婦人とその仲間のパーティが穂高岳山荘側から登ってきたのである。

「えっ?えっ?え~っ!?何でここにいるんですか?」

「あら!またお会いしましたね。」

「まさか下山して、そこからザイテングラート経由で登ってきたんですか?」

「そうですよ~。」

南稜を往復して、更にザイテングラートを登ってきたら、普通そこで疲れて穂高岳山荘でチェックインして「本日終了!」ってなりますよね?

なんでそこからまた涸沢岳の山頂に登れるの?

恐ろしく健脚なご婦人たちだ!

我々が縦走して来た事を「え~っ!すごいですねぇ~。」と驚いていたが・・・

内心「いやいや・・・あなた達のバイタリティーの方がよっぽど恐いわ!」と感服。

僕はもう安心しきっていたのですが、N村さんが「そういう時ほどケガや骨折に繋がる事故を起こすので、最後まで油断禁物ですよ!」っておっしゃり、思わず「はっ!?」っとさせられ、気を引き締めながら下山。


僕はこの日のゴールがここ(穂高岳山荘)なので、涸沢カールのテント村へ戻るN村さんとはここでお別れ!

連絡のやり取りができるようにだけして・・・

N村さんはザイテングラートを下って行きました。

お見送りの際の写真を撮影したかったのですが・・・

使えない携帯カメラ・・・(涙)

とりあえず無事にチェックイン完了!(15:00)

そして靴を脱ごうとしたら・・・

「あれ?脱げない!」


僕が滑落して岩に強打した時に、靴ひもを引っ掛ける金具が曲がってしまったようなのだ。

穂高岳山荘でマイナスドライバーをお借りして何とかこじ開けた。

靴ひもは金具と岩の間に挟まれて切断しかけていました。

まあ翌日歩くのに支障がある訳ではないので、ノープロブレムという事で・・・

早速カウンター横で携帯電話を充電させてもらい(200円)しばし休憩!

今回宿泊する部屋は前回泊まった『御岳』ではなく、隣の『乗鞍』でした。

まあでも階段の近くなので、宿泊人数が多いとうるさい部屋になるかも知れません。

今回も通路側の席で寝るので・・・夜は心配です。(苦笑)

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