天気も晴れてきたところで、7台の自転車を組む。
現在12:50・・・
まあまあここまでは予定通りだろう。
ただし、今回スケジュールを少し変更している。
H川様の希望で松本市内の観光を少し加えたいとの事!
松本城見学は17:00までなので、16:30までの入場でなければならない。
「そうなると15:30までに、このこねこねハウス駐車場に戻って来ないと難しいので、2時間半のサイクリングで頑張るしかないですね。」
美術館巡り組は45~60分のサイクリングプラス、2~3軒の美術館を回れるかどうか・・・
中房温泉組は1時間30分で上って15分で入浴、45分で下山・・・
結構カツカツのスケジュールじゃないか(汗)
とりあえず着替えも済ませて、自転車を組み上げたら空気圧のチェック!
「ピナイさんとA部さん!自転車を逆さまにして作業しない!」
「えっ?ダメなんですか?」
「ハンドルとサドルに傷が入ったり変形したりするでしょ?自分の命を支える神聖な場所を何だと心得るんですか?」
「はい。すみません!」
家の中でこっそり作業する際に、座布団やクッションを敷いて逆さまにするならまだしも・・・
僕は若かりし頃、下に緩和材を敷いていたのに、それでも先輩から車体を逆さまにして作業している事を激怒された経験があります。
「自転車乗りとしての意識と、プロとしての意識が低い!」って罵られて悔しかった覚えがあるので、以降そういった部分にも気を遣うようになりました。
そして走る事と、バスに乗り込む事に関してはメチャクチャ速いけど、準備が遅くてかなわないのがK合様なんです。
「ちょっと!いつまでかかってるの?出発するで!」
とりあえずK合様が空気圧を入れて、ポンプをO川様の車に積んだ所で出発!
そして駐車場を出て右折!
JR大糸線の穂高駅方面へ緩やかな坂道を上っていく。
一応途中までは全員で行ってもいいやん!って話で、ここはポタリングのスピードで、クロスバイク初心者のK原様に感覚を慣れて頂くことに・・・。
ちなみに僕が自分のヘルメットとシューズに加えて、K原様にお貸しするヘルメットも忘れた事から、ありがたい事にH川様が自分のヘルメットをK原様にお貸しして、自身はバンダナだけで走る選択をして下さいました。
そんな男気のあるメンバーもいれば・・・
「ちょっとK合さん!何を自分だけ上下ウェアをバッチリ決めて、ビンディングシューズなんて履いてるの?僕は安全靴やし、Y田君もランニングシューズやねんで?っていうかポタリングにビンディングとかKY過ぎへん?」
「いやいや・・・待って下さいよ!店長がシューズを忘れたのは自業自得じゃないですか!」
「そりゃそうやけど、Y田君もビンディングやないねんで?なんかこう・・・条件を揃えて勝負しようとかいうような美学とか、スポーツマンシップ精神はないのかねぇ?」
「何ですかそれ?店長の都合のいいペースに引き込まないで下さいよ!」
「うわ~。K合さんは容赦なしやなぁ~!まあ忘れ物をした僕には偉そうにお願いする資格もございませんが、いや~『獅子は兎を狩るにも全力を尽くす』とはよく言いますが、まさに必死ですな!」
「そもそもピナイさんはせこいんですよ。」とY田君。
そこまで言われても頑なに本気モードを崩さないで、勝利にこだわる男もいる訳ですよ(笑)
「仕方ないな~!まあいいですよ。ジーパンで安全ブーツのまま走るくらいが丁度いいハンディキャップになるでしょ?」
「いいましたね店長!」
「まあこんな条件の僕に負けるようじゃダメですよ。」
そんな会話を交わしていた本気モードのK合様が・・・迷子。
国道147号線まででたところで振り返ったら、縦一列に伸びて・・・
「後ろ・・・大丈夫?」
「K原さんがいるからもたついているのでは?」
「いや、K原さんなら心配しなくても大丈夫ですよ。彼女意外と乗れますから。」
「じゃあ安心ですね。」
「でも何か人数が足りへんな~?」
「あっ!K合さんが居てません。」
「はあ?何してるのあの人は?」
すると携帯電話が鳴って・・・
「店長~!今どこですか~?」
「何してるの~?なんでみんなを見失うような事になるの?」
「すみませ~ん。」
「駐車場の出入り口に『そば処』ののぼりが立っていたでしょ?そこを右折して真っ直ぐ上って来て下さい。さあ急いで!」
そして心配になったO川様が様子を見に逆戻り・・・
間も無く2人で戻って来ました。
全くお騒がせにも程があります。
ここで時間は13:10を回りました。
予定を少し押しています・・・
「貴重な時間でしたが、何とか挽回しましょう。」
僕は出来るだけJR沿線に近い道を走るつもりで国道147号線の1本西の道を走り、まずは碌山美術館前を経て、ジャンセン美術館まで7人で行くつもりでした。
そこで僕とY田君、K合様の3人だけ中房温泉を目指す段取りだったのです。
美術館巡りのメンバーはジャンセン美術館とちひろ美術館をメインの目的地にして、予備候補でアートヒルズミュージアム、絵本美術館、碌山美術館を予定していました。
ところがあろう事か素直に147号線から行かなかったからなのか、思い切って線路沿いを走らなかったからなのか、曲がる交差点を通り越してしまい・・・
有明駅前まで行ってしまいました(汗)
そこからは県道25号線(途中から327号線)を上れば中房温泉なので、美術館組にはごめんなさいして、途中の有明交差点で二手に別れる。
しかしさすが常念岳や燕岳方面へ上る道だけに、有明の交差点まで上るだけでもジワジワと坂道を上る訳で、さすがにK原様の事が心配になるが、4人いるので何とかサポートしてくれる事を祈って僕ら3人は中房温泉に向けて更なる上りを走る。
GoogleMapのストリートビューでは、『割烹旅館山のたこ平』付近から本格的な上りになる見込みでしたが・・・
そこに行くまでにもジワジワと体力を奪います。
僕が概ね時速20km程で上っていたら後ろからK合様が・・・
「店長!Y田君が苦しそうです。」
「えっ?Y田君!このペースはしんどいか?」
「店長は気にしないで行って下さい!僕は頑張って自分のペースで上ります!」
「何を言ってるねん!まだ序盤やぞ。それならこのくらいのペースならどうや?」
時速15km弱くらいで走る。
「これなら何とかついて行けそうです。」
「よっしゃ!まだまだ先は長いから頑張ってついて来いよ!」
「わかりました!」
それにしても保健センターやカイザーベルクの周辺で既にしんどいんですけど(笑)
ニホンザルは歩いているし、傾斜は見立てで軽く10%オーバー。
「平均5%弱の坂じゃなかったか?」
いきなり洗礼を浴びた気分でした。
「確かにOさん(1号)が中房はきついよ~!って言っていたけど、ホンマやったな~。」
でもしばらく行くとちょっと傾斜が優しくなって・・・
変電所らしき建物の辺りまでは比較的穏やかに上る。
とはいえ僕は既に汗でジーパンがベッタリと太ももの筋肉に纏わりついており・・・
しかも上れば上るほど小雨が降ってきて・・・
「あかん!太もも周りの筋肉が上手く使えない!」
その上安全ブーツの底は薄く柔らかいので、ダイレクトなペダリングも一切出来ません。
残り9.5km辺りから再び本格的な上りになってきました。
明らかに7%~14%の傾斜です。
最初の九十九折でいきなり両脚のふくらはぎが攣ってしまう。
ジーパンがひっついて効率のいいペダリングが出来なくて、更にサドルは前乗り気味でつま先に力が入り過ぎたのが原因です。
「こんな所で力尽きたら、猿の群れの良いカモにされてまうわ!」って必死に痛みを堪えて上る。
鳴子章吉君のスプリントクライムじゃないけど、九十九折のカーブの度に傾斜がきつくなる辺りなどは、勢いで上って・・・直線はその勢いを維持してナンボです。
ついでに言うとピナイさんは13%以上の傾斜ではトルク不足で苦しい模様。
「うお~っ!」とか「あ~~~っ!」って喘いだり叫んだりして上っていましたので・・・
九十九折では確実に僕の方がスピードが速かったですね。
ただ・・・Y田君も九十九折でペースが落ちるので、徐々に離れていくのが判りました。
僕は見ての通りジーパンが汗と雨で濡れて太ももにひっついているので、間接の駆動域が小さくなり・・・まるでTTバイクにでも乗っているみたいに、出来る限り全体的に小さくなってこいでいます。
逆にY田君は息が上がっているようで、上体が完全に起きてしまっています。
こうやって見るとフォームの違いや、傾斜のきつさが伝わりますね!
意外にもK合様が素晴らしい撮影を・・・
そしてY田君が千切れる度に、「店長!Y田君が遅れたので援護に行ってきます!」って・・・
いつからそんな先輩風を吹かすようになったんだろう?
その度に僕はペースを落として2人が復帰するのを走りながら待つ。
しかし後半に入っていきなり13%以上の下りを一気に下り・・・
そこからまた強烈な上りが続く。
「これをまた帰りに上るのも辛いが、何よりもせっかく上って来たのに、また標高が下がって・・・ここからまた上るの?もう勘弁してよ!」そこからは僕もK合様も真剣モード。
傾斜がきつくなる度に僕はK合様を引き離し・・・
だらだら続く直線でまた追いつかれ・・・
そんな感じでようやく残り1kmの看板が見えてきました。
「ここから一気にアタックを決めるか?」
そう考えた瞬間、目の前に現れたのは、とことん反り上がった激坂。
さすがの僕もK合様も心が折れて・・・
「ラスト1kmでこんなにも強烈なボディブローを食らったのは初めて・・・。」
思わず2人とも地に足が着いてしまう。
「ゴメンK合さん。脚を止めるのは不本意やけど、もう15時前やねん。美術館組に連絡させて!」
「そうですね。これじゃあ遅れてしまいますもんね。」
すぐに電話をしたが、誰も出なくて・・・K原様とようやくつながる。
「ごめんなさい!今中房温泉郷に入ったばかりで、これから更に1km進んで入浴して帰るから、16時を少し回ります。」
「解りました!・・・それではこちらもあと1軒どこかに寄ってから帰ります。」
そして再び僕とK合様が走り出した時、後ろを振り向いたらY田君のヘルメットが見えた。
そこからあっと言う間に追いついたY田君は、「うお~!」っとまるでI藤様のような勢いで強烈なアタック!
そしてK合様はすかさず反応。
「おいおい!マジかよ。確かにK合さんを打ち負かすには、追いかける気力が湧かないくらいのスピードで、アタックを仕掛けないと無理だとは教えたけど・・・仕掛けるのが早過ぎるやろ!」
案の定200mも進まないうちにY田君は失速。
僕は有明山荘前でY田君をパスしながら、「ちょっと焦り過ぎじゃない?」って声をかける。
そしてK合様は勢いに乗ってドンドン行く。
「あ~っ!面倒くさいな~!」って僕もそれを追う。
ゴールの500m手前にかかっている橋の手前で一瞬分かれ道に迷ったが、とりあえずK合様を追いつめる!
「残り400mが勝負じゃ!」
そう思って残り400mで射程に入れた瞬間、K合様が振り向いて僕の接近に気付き加速する。
「くそっ!まだそんな力を残していたんか!」
しかしラスト400mは本当に辛かった、ずっと13%以上の傾斜が続いたんです。
僕の脚がもう少し自由に動かせれば一瞬で逆転できたはずなのに・・・
結局K合様には逃げ切られ、5秒近い差をつけられてしまいました。
何はともあれ無事に中房温泉に到着しました。
更に1分半後にフラフラになったY田君もゴール!
皆さんお疲れ様でした!
「さあ!温泉に入るぞ~!」
「あっ!店長。僕は外で自転車の番をしています。」
「はあ?何言ってるのピナイさん。せっかくここまで上って来たのに!」
「いや・・・ゆっくり浸かれない事を考えると入浴料が勿体無くて。」
「入らへん事の方が勿体無いわ!」
まあそうは言っても無理強いはできないので、僕とY田君で入ってきました。
僕らの前に女子高生風の女の子が入っていったので、混浴だったらどうしよう?なんて思いましたが、そこは見事に男女別でした(笑)
ゴールまで残り3km地点から臭っていた硫黄の香りは伊達じゃなかったですね。
「うわ~!お湯がヌルヌルで熱くて最高!一気に身体の疲れが抜けるみたいや~!」
「ホンマですね~!すごく気持ちいい~!」
「これを入らなかったピナイさんは勿体無いよな~!」
「ホントですよ!ピナイさんはバカですよ!」
露天風呂からK合様に聞こえるよう、これ見よがしに大声でしゃべってたんですけど・・・
結局K合様は入って来なかったですね(笑)
もし混浴だったら入っていたかな?
とりあえず入浴料700円は高いようで、いやいや!十分価値ある温泉でしたよ!!
それでは次回、美術館巡り組の話と、僕らの下山でのあんな事やこんな事についてのお話です。
どうぞお楽しみに!!
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