みんな美味しいそばを食べて「さあ!いいかげんそろそろ走りたいなぁ!」って考えた訳ですよ。
しかし雨は幾分か落ち着いたものの、まだ降っています。
するとピナイさんが・・・
「店長!走りましょうよ!」って言い出したんですね。
「えっ?それって僕が走るならジーパンで走るっていう事を解ってて言っているんですか?」
「じゃあレーパンに履き替えたらいいじゃないですか?」
「安全ブーツを剥き出しで箱根学園の上下ジャージを着ろと?」
「そんなの誰も見ていませんよ~!」
「それなんかムカつく言い方やな~。ではブーツの中が水浸しになった気持ち悪い状態で、ランエボの運転をしろと?」
「あれもダメ、これもダメって、じゃあ店長!今回何しに来たんですか?」
「K合さんの正論は精神的にダメージ大やなぁ~!もちろん走りに来ましたよ。走りたい気持ちは変わらない!でもねぇ~。ただ雨に濡れてどうとかって問題よりも、参加者の安全面や、何かあった時の対策が出来ないと問題だから悩んでいるんじゃない!」
「でも走るとしたらY田君とA部さんはこの栂池第2駐車場前からスタートして、僕だけ本来のスタート地点まで下山してから後追いのスタートでしょ?それだとせめて店長が一緒じゃないと僕一人は辛いですよ!」
「なるほど・・・。それもわからんでもないけど、そうなるとO川さんやK原さん、今日は走るのを止めると言ったH川さんを雨の中待ちぼうけさせる訳で、それも不本意なものですから・・・僕も今日は走らずにサポート役に徹します。」
「え~っ!マジッすか?」
結局K合様との勝負を楽しみにしていたY田君は、彼の挑発に乗って走る気満々。
A部様は正直初めてのコースに対する不安から気乗りはしないけど、神戸に帰ってからN様2号にちゃんと山頂に行ってきましたよ!って報告がしたい一心でY田君と走る決心を固める。
丁度雨が上ったところで自転車を組み立てて出走前の記念撮影!
皆さん良い笑顔で写っています!
まずK合様が下山!
先ほど僕がスタート地点を直接案内しているので・・・
「ピナイさ~ん!スタート地点をズルしたらあかんで~!」って叫んでおきました(笑)
ズルはK合様の常套手段なので、念押し気味に言っておかないと、「あれ?スタート地点ってどこでしたっけ?って覚えてないフリをやらかすことは目に見えてましたから(笑)
Y田君とA部様はその後ここから出発。
一緒に協力しながら行くのかと思いきや、自転車を組み立てた際にギアを軽いギアに落としていなかったA部様が出遅れているうちにY田君が快調なスタート!
「う~ん。これはマズイな~。協力し合わないとピナイさんを甘く見たらあかんでY田君・・・」
僕は少々心配気味に2人を見送る。
第2駐車場から林道コースのゲートまでの1.8kmは道に迷う事を想定して、Y田君の脚で8分以内。A部さんの脚で10分以内と考えて、ゲートからゴールの栂池ロープウェイの自然園駅前までの11.8kmは、Y田君で60分程度、A部様で80分あれば到達できるだろう・・・という見立てでいました。
そしてK合様に関しては17.1kmのコースを確実に70~80分くらいで完走できると思うので、スタート地点までの下りと呼吸を整える準備時間込みで10分かかる事を踏まえて、トータルで80~90分を想定。
つまりA部様はK合様に捉えられる可能性が高いのですが、Y田君は何とか逃げ切れるであろう。
そして仮にY田君がK合さんに追いつかれたとしても、距離を短縮した分の余力の差で、なんとか上手く逃げ切ってくれるのではないかというのが僕の希望的願望でした。
12時にスタートしたので全員の山頂ゴールは13:30前後と考えて、とりあえず残りの4人で自然園まで先に行こうとゴンドラ乗り場へ・・・
ところがO川様の携帯電話が見つからないっていうので、しばらくO川様の車に積んだ荷物をひっくり返して、携帯電話探しをしていました。
そうこうしているうちに・・・
「えっ?早ない?もう来たの?」
僕の予想ではK合様が再び第2駐車場を通過するのは12:23分前後と見ていたのに、なんと8分も早い12:15に通過していった。
「ヒ~メ、ヒメヒメ~♪」って歌いながら(汗)、それも実業団並みのハイペース!
「こら~!ピナイ~っ!スタート地点ごまかしたやろ~!」
ちなみに全盛期の時の僕のタイムで第2駐車場前の通過タイムは11分弱。
更にゲートまでのタイムは15分35秒。
仮に第2駐車場前までの3.5kmを11分で走れたとして、下りを4分で下れるのか?
それって平均時速55km以上のスピードで下らないと、Uターンして呼吸を整える時間も作れない訳で・・・
「これはズル確定ですなぁ~。栂池のコースを熟知している僕に、そんな誤魔化しが通用すると思っているあたりが所詮ピナイさんって感じで微笑ましいんですけどね。」
12時出発で一旦下山して15分で第2駐車場まで上ってこれるのは、17.1kmのコースを50分以内で完走できる実業団やプロチームの中でもエース級のモンスターくらいです。
恐らく僕の勘では昔のスタート地点だった神社にすら届かない、棚田のある民家付近でUターンしたのであろうと想定できるので、後ほど問い質そうかと・・・(笑)
それにしても、これによってA部様はもちろんの事、Y田君までもが確実にK合様の射程圏内に入ったであろう事は明白!
「おのれピナイめ調子に乗って『恋のヒメヒメぺったんこ』なんぞ歌いやがって!ゴンドラから野次を飛ばしてやる~っ!」と4人の応援団は、阪神巨人戦の応援に向かうトラキチの如き勢いでゴンドラ乗り場のチケット売り場に行くと・・・
「申し訳ございませんが、本日は搭乗をお断りしております。」
「はっ?なぜ?このくらいの雨なら問題ないでしょ?」
「それが山頂付近で雷が発生しているそうなんです。なので上にいるお客様には下山のみロープウェイとゴンドラに乗っていただき、その他の方にも送迎バスに乗っていただいているんです。」
「マジッすか?」
つまり僕らは栂池高原のペンション街で待機するしかない訳で・・・
「これはいかん!」とすぐさま、現在先頭を走るY田君に電話!
だがY田君のスマホは電池切れ!「もう!なんでやねん!!」
次にA部様に電話!
何度かけても出ない!かなり必死に上っているのだという事が想定できる。
仕方が無いのでK合様に・・・
「あ~っ!僕あの人の携帯番号知らんわ~!」(汗)
やむを得ずK合様にはメールを送る。
「今すぐ全員に下山するように伝えて下さい!」と・・・。
4人で再び降り始めた雨の中、雨に濡れながら3人の下山を待つ。
しかし電話の返信がないのだから、きっと3人はまだ着信に気付かず上っているのだろう。
車に戻るとK原様が「何かあったら出走を許可した店長の責任ですよ!」と言わんばかりに、何か策を練れとプレッシャーをかけてくる。
今から自転車で追うにも、ジーパンで走ったのでは山頂まで追いつけないのは明らかなので、僕は再びチケット売り場まで出向き、栂の森駅や、栂大門駅、自然園駅のそれぞれに情報を募り、自転車の3人を見かけたら下山するように指示して欲しいと頼みました。
「はあ~。大丈夫かな~。」
雨に濡れて風邪を引きそうになって、皆が車に乗って待機する中、H川様だけはただ一人ゲートから林道コースを眺めながら、傘をさして3人の帰りを待ち続ける。
僕が2度目の確認でチケット売り場に行くと、「10分ほど前に自転車の人が栂の森を下山していくのを目撃したって情報が入りました!」って聞き、慌てて皆のもとに戻る。
「つまりあと10分~15分くらいで下山してきますよ!」
それが13:15頃の話。
ところが13:30を回ってもいっこうに3人が下山してこないのである。
「まさか落車でもしたんかな?それとも熊と遭遇したんかな?」
4人の心配がピークに達した13:43・・・
「あっ!A部さんから電話がきました!もしもし・・・」
「店長お疲れ様です!今ゴールしました!」
「はい?ゴールした?全員まだ山頂にいるの?」
「はい!そうですよ!!」
「もう!何してるんですか~?今すぐ下山して下さい!」
「えっ?何かあったんですか?」
「山頂付近で落雷の注意報が出ているみたいなんです。すぐにロープウェイで下山して下さい!」
「あっ!そうなんですね。解りました!」
「とりあえずゴンドラに乗り換えるタイミングでまた連絡下さい!」
「了解です!」
とりあえず3人が無事だった事に4人は皆安心する。
しかし・・・山頂の3人は冷えた身体を温める為に栂池山荘で食べ物を注文して・・・
食べ終わってから下山!
実際に呑気に写真を撮影しまくっている。
これは1番にゴールしたから記念に撮って欲しいと、K合様がY田君に何度も撮影させたうちの1枚なんですが・・・チームSKYのジャージが相当気に入っている模様で、完全に酔いしれています。
SKYのジャージはラファ(ポール・スミス)製なので、K合様曰く・・・
「ツール・ド・フランス100回記念大会を制覇した王者のチームジャージで、しかもラファ製ですよ!まさに王者のバイクであるピナレロに乗る僕に相応しいとは思いませんか?」との事です。
僕にしてみたらラファだろうがなんだろうが、所詮チームジャージのレプリカなんだから、そんな事はどうでもいい!って感じでした。
ついでに言うと1番になったはいいけど、写真を撮影している場所はゴールから600m程進んだ栂池山荘前です。
さすがピナイさん、ゴール地点も間違えてます(笑)
それよりも一刻を争うような緊急事態に・・・
まあ身体を冷やさないって意味で、暖かいものを食べるってのは正解ですが、この場合はそれ以上に雷の心配と、ロープウェイが天候の関係で、完全停止する可能性がある事を心配してくれ!って感じでしたね(苦笑)
そもそもY田君は写真を見る限りソフトクリームを食べていて、これはちょっと山を解って無さ過ぎなんじゃないかと僕はむしろそこを問題視しております(汗)
これはK合様の撮影した写真ですが、下の雨雲が雲海のようになっていて、更にその上にも雨雲が層を成しています。
そりゃ落雷の危険性も高い訳です。
美しい風景には時として恐怖が付き物です。
A部様の写真で見ても、幻想的な風景ながら危険性を感じさせる天候なのが判ります。
きっとこの厚い雨雲の中は気温も限りなく0度に近いのではないかと・・・
そもそも標高1850m程度と侮ってはいけません!
1500m以上の場所にはこのように大雪渓が残っている場所もあるのですから。
それなのにK合様はロープウェイ代が高いからといって、単独自走で下山を試みたらしく、連絡を受けた僕はさすがに激怒・・・しそうになりました。
いや・・・無事に下山さえしてくれたのならそれでいいです。
3人共無事で怪我もなかったので、本当~によかった!
僕が一緒に上れなかったので、何かと正しい判断を指示出来なかった事が反省点ではございますが、3人の充実感に満ち溢れた笑顔を見たら、無事に完走できた事を称えてあげたくなりました。
A部様は栂の森駅の手前の激坂付近で、早くもピナイさんに抜き去られてしまったそうで、その後栂大門付近からラスト3kmの区間で、Y田君とピナイさんの抜きつ抜かれつのデッドヒートが演じられたとの事。
「最後の最後でピナイさんに逃げ切られてしまいました。」と悔しそうに語る、Y田君の表情は本当に嬉しそうでした。
そしていつも再度ドライブウェイでは、何度となく地に足を着き、悔しい思いをされているA部様が、なんと最後まで足を着かずに、この栂池の上りを走り切ったというのが、まるで自分の事のように嬉しいじゃありませんか!
とにかく無事14:40に全員が合流できたところで、自転車を積んで次の目的地へ移動。
そうです!こんな天気なので、全員が観光要素を満喫する為、もう一つの美味しいおそば屋さんを尋ねることにしたのです。
待ちくたびれていたO川さんが俄然元気になりました(笑)
それでは小谷村より美麻村を目指しましょう!!
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