2013年3月20日水曜日

さらばビアンキ!

と言っても、まだしばらくは店頭に展示しています。

このビアンキ『ALU-MEGA PRO-L』は元々以前の『TEAM EURO』でチームメイトだった友人の自転車で、長い間乗ってなかった事もあって、当店の看板として預かっていた訳なんです。

何しろ当店の名前でもある『ラルプデュエズ』の最速記録を持っている、世界最速のヒルクライマー故マルコ・パンターニが1998年にジロ・デ・イタリア(イタリア半島1週レース)とツール・ド・フランスの両方を優勝(ダブルツール)した時に乗っていた『MEGA PRO-XL』のレプリカですから、『ラルプデュエズ』=『パンターニ』=『ダブルツール』=『ビアンキ』という関連性で、僕としてもお宝として展示していたんですね。

ところがご近所のお客様で、どうしてもこの自転車が欲しいとおっしゃる方がいまして・・・

最初はお断りしました。

中には「XLでもXL2でもXL2EVOでもないのに調子に乗るな!」と腐して帰る、感じの悪いなんちゃってマニアもいたくらいなので、僕としては本当にこの自転車の価値をわかる人にしか売るつもりがなかった訳ですよ。

しかしこのご近所のお客様はその後も色々な自転車を、これまた色々なお店を渡り歩いて試乗したり、見て回ったりしたそうなんです。

そして散々見て回った上で、「やっぱりこれしかない!」と思って下さったそうなんです。

もう購入してから14年近くもなり、保存状態も決して良くない自転車なのに、それでも輝きを放つ存在感があると言っていただけた事が、心から嬉しいと思いました。

間違いなくこの自転車は名車ですよ!

XLとLの違いは単に7005アルミにレアメタルを合金したSC61.10か普通の7005アルミかの違いであり、いずれもデダチャイ社製のチューブであることには変わりません。

しかもSC61.10は少し軽量化できる代わりに、硬すぎてホビーライダーが乗るにはスパルタン過ぎる性質です。

なのでMEGA PRO-Lの程よく硬くて反応がよく、バランスの取れたフレームの方が乗りやすいし、また十分過ぎるくらいスパルタンでじゃじゃ馬です。

これ程ワクワクして乗れる自転車は最近のモデルではまず存在しません。

また当時のビアンキのMEGA PROシリーズの特徴としては、全てのグレードにおいて希少性が存在していた事が挙げられます。

シートステーのデダチャイのデカールの有無とか、ヘッドチューブの太さとか、チェーンステーの断面形状とか、素材やフロントフォークの組み合わせとか・・・

同じモデルでも様々なパターンが存在するらしく、そこがまたマニアの触手をくすぐる所以でもあります。

まあそんな訳で持ち主である友人に「買いたいって人が現れたんだけどいい?」って聞いたら、「君が売ってもいいって思えたお客さんなんだったらまったく文句はないよ!」って許しを頂きまして・・・

で、本日その友人が当店に足を運んでくれて、一緒にビアンキと共に記念撮影をしました(笑)
彼は元々バネストチームカラーのピナレロ(といってもセラミック製のケラルライトではなくスチール製のベネトですが)に乗っていたのですが、1996年頃だと海外ブランドのロードバイクには、まだ490サイズのフレームしか小さいサイズがなくて、身長160センチの友人にはそれでも結構大きかったんですよ。

当時はそれ以下のサイズだと650Cのタイヤサイズにしないと、まずピッタリ合うフレームが見つからない時代でしたから。

しかしこのビアンキから480サイズが登場し、後にスローピングフレームの立役者として名車列伝に刻まれる訳ですが、この自転車の登場で彼の走りも変わりました!

それまで長野県で行なわれる『つがいけサイクル』というヒルクライムレースでは、距離18.1km、高低差1200mのコースで、1時間40分以上もかかっていた彼がこのビアンキに乗り換えた途端1時間28分で上った事は、今でも鮮明に覚えています。

そんな最高の自転車ですので、これからも大切に乗って欲しいな~っとしみじみ思っちゃう今日この頃でした(笑)

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