2021年9月7日火曜日

後立山連峰縦走の旅7月26日(月) ~その7~ 想定外のごちそう!村営白馬岳頂上宿舎の夜


小学生の頃から八方尾根でスキーをしていて白馬という土地に馴染みのある僕としては、いつかここに立ちたいという気持ちをずっと抱いていた訳です。



それにしても山頂から覗き込んだ景色はゾッとします。

西側から吹き付ける風に、降り積もった雪が崩れ落ち、それによって浸食された独特の地形なんですけど、本当に切れ落ちていて・・・場所によっては下手に覗き込みに行ったら足場が崩れて落下する恐れがあるので、近付かないようにロープを張っています。

くどいようですが、ここは落下したら120%死にます。



僕より先に山頂で寛いでいたグループです。


僕の登頂写真の撮影も彼らにお願いして写して頂きました。



栂池自然園からここまでのタイムを伝えると「そんな時間に出発して来れちゃうの?早いねぇ~それは。」と随分驚かれました。


だがしかし僕はもう既にボロボロです。


全身を搾っても何も出てこないくらい疲れ切っています。



稜線歩きなんてそんなにしんどくない!って言いたいところですが、ずっとガレ場を歩いていたら足は思いのほか疲労を蓄積します。(実は最近足底筋膜炎に悩んでいて、毎朝起きたら足の裏が痛くて歩けない症状が続いている)


そして何より肌寒い!


ここは間も無く標高3000mに届こうって場所なので、当然気温は下界よりも低くこの付近の気温は15℃程度。


そこに風も出てきたので体感温度は10℃以下といったところでしょうか。


雲の中に入ったら更に5~10℃は気温が下ります。


スタートから白馬乗鞍岳山頂を登るまでは蒸し暑い状況で歩いていましたが、その後肌寒くなったり陽が照って暑くなったりの繰り返しで、ちょっと気分が悪くなってきました。


暑くてもウインドブレーカーを着ておくべきだったかも知れません。


僕は首を冷やすと覿面に肩こりと頭痛が酷くなって、人としての機能が低下します。(苦笑)



雲の狭間に白馬山荘が見えてきました。


山頂よりも標高を100m近く下った場所に建っています。



しかし今夜僕が宿泊するのはその更に向こうに見えた村営白馬岳頂上宿舎の方なので、更に標高を100m以上余分に下らないといけない。


見えている場所なのに遠く感じます。(翌日行く予定の不帰ノ嶮は天狗の頭より一気に標高を400mも下ってからの登り返しなので、その下りに比べたらマシではあるが・・・


もう完全にグロッキー!(笑)



白馬山荘は築115年という歴史もすごいが、収容人数が北アルプスでも最大の宿泊施設でなんと槍ヶ岳山荘の倍の800名の宿泊が可能という。



僕の泊る村営白馬岳頂上宿舎はまだあんなに遠い。


白馬山荘にも一度は泊まってみたいので、もうここでギブアップしたい!


でも翌日のスタート地点が少しでもゴールに近い方が良いでしょ?


それに今はコロナの影響でどこの山荘も事前予約制なのです。


今更キャンセルとか予約し直しなんて都合よくできません!


頑張ってまだ歩きます。



さっきから写真で見ていたら緩やかな稜線に見えるでしょ?


んな訳あるか~い!


白馬岳山頂から頂上宿舎までは距離800mで標高差200mの道程ですが、当然の如く距離800mとは直角三角形の斜辺の距離を示しているので、水平換算すると距離は約774.6mという事になり、ざっくりと計算すると平均傾斜は約25.8%ございます。


下界では25.8%の傾斜角だとアスファルトではなくコンクリートの滑り止めサークル付き道路にされる事が大半の激坂です。


ガレているので足首もしょっちゅう捻ります。


という訳で・・・写真で見る以上に険しい下り坂です。(苦笑)



右手を見たら旭岳方面です。


雪渓を斜めに横断している踏み跡がここからでもクッキリ見えますね。



ここまで近付きましたがショートカットは出来ません。(汗)


直線距離は近いのに回り込まなきゃいけない模様!



分岐点が見えました。

右に行けば旭岳~清水岳方面。

左に下れば頂上宿舎経由で白馬大雪渓。

真っ直ぐ行けば杓子岳~白馬鑓ヶ岳~不帰ノ嶮~唐松岳。


足の裏の痛みも限界に近付いてきましたが、最後の気力で石段を下りて頂上宿舎に到着しました。


入口が判りにくいですよね?(笑)


写真中央の屋根付き階段に侵入して右を向いたら玄関でした。


時間は15:38と、白馬岳山頂からここまで27分もかかってしまいました。


予約していたのですんなりとチェックインできましたが、初めて泊まる山小屋って緊張しますね。


山小屋ごとのルールとか使い勝手の違いがあるので、判らない事は最初にあれこれ質問しておいた方が良いです。


いつも泊まる穂高岳山荘や涸沢小屋などはかなり親切で判りやすい部類で、携帯電話の充電もできるのでとっても便利ですが、村営白馬岳頂上宿舎には携帯電話の充電コーナーなどが無くて、受付で申告しないと充電を受けてくれないのかも知れません。


今回僕は外付けバッテリーを持って行ったので、何とかこの日の夜は施設に頼らずに十分な充電ができました。



同じ部屋に宿泊者は僕を入れて3名。


通常は2~3名で使うブロックを1人で贅沢に使えます。


2階建てベッドになっていますが上階のブロックは誰も使用せず!


ところがここで僕の体調が急変。


いつもなら高山病になっても耐えているのに、今回は我慢できずに吐いてしまいました。


ただし布団も荷物も汚していません!


思いのほか出るものが無かったみたいで、ウエッティーで拭き取って処理できる程度で済みました。


ただ、なかなか苦しい嗚咽だったので焦りました。


そしてそのせいで3人が仲良く会話する事がなくなりました~!(ごめんなさい!)




こんな時はコーラを飲んで生き返りましょう!(笑)


やっぱり登山の後のコカ・コーラは最高~っ!


とりあえず今回は高山病ではなく、寒暖差と気温の変化の激しい中で首を冷やしてしまった事が原因っぽいです。


あんまりトレーニングもしていなかったし、最近仕事(神戸の店)以外のスケジュールも密過ぎて身体が悲鳴をあげそうなんで・・・まあ致し方なしってところでしょうか。



そして待ちに待った夕食タイムですが・・・


何と!村営白馬岳頂上宿舎の夕食はビュッフェ形式!


疲れた身体に優しいメニューが目白押し!


食べたいものだけ選ぶも良し!


バランスよく全部食べるも良し!


豚の角煮がメニューに入っているのも感動モノ。


やや塩分は多めかも知れませんが、登山後には丁度良く・・・


山荘ごはんがこんなにご馳走で本当に良いの?って、信じられないくらいの感動でした。


デザートのケーキもホワイトチョコのケーキはアイスになっていて絶品でした。



白馬岳方面を見上げると雪渓の上に、まるで登山基地のように白馬山荘が建っている。


かっこええわぁ~!



西の空はそろそろ夕暮れのタイミング!


見に行きたいのは山々ですが、もうここから30mの標高差を登るだけでも気力が湧きません!(笑)


明日の早朝までに身体を復活させなくてはならないので、今日はもう無理をしない方が良さそうです。


雲がまるで生き物のようにうねっていますね。



向きは変わって白馬大雪渓方面。


向こうに見える山は戸隠方面と、その向こうは志賀高原だろうか?


複数のレンズ雲が・・・小さいけど気になるなぁ~。



頂上宿舎越しに杓子岳(標高2812m)と白馬鑓ヶ岳(標高2903m)を望む。



そうそう!あの白馬鑓ヶ岳こそが、明日の最初の難関!


あそこで脚を使ったら不帰ノ嶮は苦痛でしかありません。


肉眼でルートが見えているので、傾斜がきついのは十分判断できます。



施設内の案内板。



マジか?


「さっき栂池ロープウェイで搭乗員のお兄さんが普通に鑓温泉は素晴らしいですよ!って自信満々に案内してたやん!」(苦笑)


すなわち翌日は台風接近で天候がどうなるか判らない中スケジュールを強行したとして、万が一『天狗の頭』まで行って天狗の大下りより先が進めそうもない状況だと判断しても、都合よく鑓温泉ルートにエスケープする事ができないって事!


どうしても撤退を余儀なくされた場合は、再びこの頂上宿舎まで戻って来なければ絶対に下山ができないのである。


逃げ道がないだけでもプレッシャーなのに、台風が接近してきている訳だから・・・不安。


尚、この地図の現在地は天狗山荘になっています。(僕の泊っている頂上山荘はもう少し北側の十字路になっている所です)


頂上宿舎には簡易郵便局が入っています。


ここで白馬岳のスタンプを押して記念のお便りを送ろう!って事ですが・・・


僕にしてみたら明日死んでもいいように辞世の句でも書いて店と実家に送れと言っているようなもの。


辞世の句・・・思いつかん!



これは白馬山荘の灯りと星空。

スマホのカメラではこれが限界。

というより星空撮影用のアプリを入れていたのですが、電波が弱いので使えず・・・。

こんな場所で使えないアプリって意味ないやん!


逆さまに向いた北斗七星と真横を向いたオリオン座が大接近!

実際には10倍以上の無数の星が肉眼で見えている。


白馬の街を望む。


頂上山荘と星空。


部屋の窓から月と白馬の夜景。


嵐の前の静けさなのか星空は美しく、肉眼ではたっぷりと満天の星空ってやつを楽しめました。


毎回台風に邪魔される僕の翌日の運命は如何に?


次回お楽しみに!

0 件のコメント:

コメントを投稿