2021年8月29日日曜日

後立山連峰縦走の旅7月26日(月) ~その4~ 地獄のような稜線歩き


11:45に白馬大池山荘を出発。


出発早々に分岐点。


白馬岳には左へ進むが、右に行けば蓮華温泉に行ける。


この蓮華温泉にも初代チームユーロのエピソードがある。


北アメリカ大陸を単独、自転車で横断(サイクルスポーツ誌でもその旅行記が掲載された事がある)したというOさんこそが、僕をヒルクライムの世界へどっぷりと浸からせた張本人なのですが、この方・・・ダラダラ走るのでよければ一日中でもロードバイクにまたがっていられるっていうくらいタフな方で・・・


チームのメンバーがほとんど2~3台の車に乗合でレース会場まで行くのに対して、「私は輪行で行くので大丈夫です。また現地で会いましょう!」って、乗鞍も栂池も毎回松本駅からロードバイクで自走してくるような人。


外資系の製薬会社で働いていた方なので海外出張が多いのですが、ある時ドイツへ出張に行ったその足で空港から輪行で特急を乗り継ぎ、松本駅から自走・・・栂池高原の宿に20時過ぎに到着して、時差ボケの調整もできないまま翌朝のレースを走って、また結果発表を見た後自走で松本駅まで帰る。(栂池~松本駅は車でも通常、移動に2時間半くらいかかる)


当時の僕でもそれだけは真似はしたくないって思えるくらいストイックな方で、ある年のつがいけサイクルの際は、僕らが土曜日に現地エントリーを終えて、午後から本コースで自転車の最終調整をしている頃、Oさんは一人で蓮華温泉まで自転車で上って温泉に浸かっていたという・・・。


夕食の前にチェックインしてみんなと合流するなり「蓮華温泉よかったですよ~!」って言われた時のみんなの驚き・・・「レースの前日にそんな所まで上るか普通?」


Oさんの温泉好きのお陰で僕や幼馴染みのK君は、毎年GWになると岐阜や長野に出向いてドライブや自転車のトレーニングがてらに温泉巡りを楽しむようになる。


しかし蓮華温泉だけはタイミングが難しく、GWだと途中から雪深くなって車や自転車では近付けないのである。


つがいけサイクルの時期(6月の2週目)も積雪の多い年だと蓮華温泉は途中から雪で進めなかったりする。


だから僕は未だに自転車で蓮華温泉に辿り着いた事が無くて、いつか行ってみたいと思っています。



出発して間も無く雷鳥坂の始まりです。


笹藪も混ざっていますが、ここからはハイマツがメインの灌木帯(かんぼくたい)。



さらば天上の楽園!



向こうの丘の中央にケルンが立っているのが見えますか?


あれが先ほど通過した白馬乗鞍岳の山頂(三角点付近)です。



運が良かったらこういうハイマツ林の途切れた場所で雷鳥の家族と出くわしたりするのですが・・・今回は出会えそうもありませんね。(乗鞍岳山頂付近で撮影した雷鳥は後で写真をチェックしていて初めて気付いたので、この時点で僕はまだ雷鳥に出会えていないと思っている)



再び歩き始めて20分で身体に異変!


両脚の大腿四頭筋と大腿二頭筋が同時に攣ってしまったのだ。


まだ白馬大池山荘からこれだけしか歩いていないのに両脚が攣るとか・・・参りました。



ちなみにここまでかなりの余力を残して歩いています。


ここ最近のスケジュールが密だった事に加えて昨夜の睡眠時間が少なかった事はともかくとして、スタミナの消費とか・・・身体のマネジメントは十分やっているので、現状においてはベストな状態ではあるはずなのですが・・・。


とりあえず面倒臭いので両脚が攣ったまま歩く事にしました。


激痛ですけど放っておけばスッと引く事もあるでしょう。(痛みに耐えながらなのでスピードは遅くなる)


どうしても痛くて動けなくなったら両脚の筋肉を握り潰す勢いで無理矢理張りをほぐします。(笑)



そろそろ『船越ノ頭』に到達します。


画面左に栂池高原スキー場が見えているので、手前が自然園です。


それにしても両脚を庇いながら歩くのは意外に疲れます。(曲げても伸ばしても攣るので)



ガスっているので一瞬はヒンヤリしますが、『蒸し暑い~ヒンヤリ』にコロコロと切り替わるので、これも攣った両脚には刺激が強いのです。



振り返ったらさっきまで歩いていたところが白馬乗鞍から見えていた尖ったピークだと判ります。


写真右下には・・・



栂池自然園とスタート地点のビジターセンターが見えました。


よく見たら自然園の木道も見えています。


この写真を撮影した時間は12:24で、観光組はまだ自然園を歩いていて・・・ちょうどビジターセンターに戻るくらいのタイミングだったそうです。(12:39に栂池ヒュッテでソフトクリームを買って食べていたそうなので)



写真左上が『船越ノ頭』と思われます。



稜線を歩く道の新潟県側はこんな感じでどこまでもガレた急斜面。


一見こんな斜面を転げ落ちたって死にやしないと思うかも知れませんが、こんな程度の斜面でも一度ガレ場が崩れて滑落し加速してしまったら、あっという間に数百mは転がり落ちて性別も判らなくなるくらいの損傷で死亡する事もあるそうです。(筋肉の少ない人などは首や手足が千切れてバラバラになる事もあるとか)



『船越ノ頭』(標高2612m)に到着しました!



時間は12:30ジャストです!


黄色い花はニッコウキスゲかな?


ここから栂池自然園までの標高差は六甲山頂から芦屋ロックガーデンの登山口を見下ろすようなものでしょうか?


しかしまぁ、歩く距離も絶対的な標高も違うので、疲労度は比較になりませんよね。




小蓮華山の山頂がガスってよく見えません。


ダラダラとした緩やかなアップダウンの連続に見えますが路面は良くないので・・・まあまあ疲れます。



雲が少し晴れました!


小蓮華山の山頂が薄っすら見えてきましたね。


稜線を歩いている人がいるのは心強いです。


ペースメーカーや目標にしながら歩けます!



一人で歩いていると谷の下から吹き上げてくる冷たい風とガスに妙な不安感や恐怖を植え付けられてしまうので、目印になる登山者の存在はありがたい!



まだ山頂ではありませんよ!



また両脚が攣ってきました。こんなところで悶絶していたら白馬岳の山頂なんて到底登れません!


ちょっと不安になる。(汗)



小蓮華山の山頂は雲の中。


しかしあと少しである事は間違いない!



山頂がやっと見えてきた!


思っていた以上に小蓮華山の稜線が長い!


サクッと山頂に到着しないものだろうか?(笑)



今度こそ小蓮華山山頂か?




「何っ?ま・・・まだ登るの?」(笑)



ん~っ。きっと向こうの雪田のある方が山頂かな?


しかし両脚を労わりながらここまで休まずに歩き続けたらさすがに疲れました。



白馬大池山荘からここまで1時間半もかかりました。


ここで補給食のゼリーを頂いて、更に両脚をストレッチ&マッサージする事にしました。


小蓮華山なんかでしんどいなんて言っていたら白馬岳なんて登れるんでしょうか?


そして実際のところ、この後姿を露わにする白馬岳の上りは想像以上に凶悪なラスボスでした。(笑)


いよいよ次回、登山初日のクライマックスです!

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