2021年8月7日土曜日

2021年5月下旬~6月初旬『トンデモ自転車』メンテナンス特集~その3~「おお~っ!マジか~っ?な自転車たち」

 知人に譲るので自転車をメンテナンスして欲しいというご相談がありました。


ご予算は5000円以内でというお話で自転車を持って来て頂きました。


この自転車ですね。

結論から言って『無理です』とお断りさせて頂きました。


積もったホコリがマット塗装のようになっています。チェーンの錆具合といい保管状況はかなり悪いと判断できます。


サドルの劣化具合はある意味芸術的だったのですが、知人とはいえこのまま渡すのは普通気が引けます。

サドル交換だけで部品代と工賃で4~5千円コースです。


チェーンだけではなくスプロケも見事に錆びていますね。

スポークも総替えしたいレベルの劣化です。

フレームのホコリや錆磨きだけでもこの状態なら4~5千円はもらわないと割に合わないでしょう。

恐らく車体のクリーニングだけで45分以上の時間はかかりそうです。

更に前後ハブの中も洗浄&研磨してグリスアップするなら、プラス8000円コースです。


何よりこのフロントサスペンションの錆具合を見たら、「お願いですから他人に譲渡なんてしないで下さい!」ってお願いするしかないという判断になります。


ラピッドファイヤーも変速できません。

中のグリスが固まっている為かラチェットがかからないのです。

これを外して内部の洗浄とグリスアップとなれば3000円以上は頂きます。


ホイールのリムサイドも研磨したいですね。

消耗部品の交換も含めたら最低限の修理に3万円前後はかかるだろうという事と、サスペンションの状態から考えて万が一の事故が怖いので知人へ譲渡して欲しくないと感じた事。

少なくとも今後どんなトラブルがあっても当店としたら責任を擦り付けられたくないという判断に及びまして・・・丁重にお断りをさせて頂きました。

コロナ渦において自転車の需要は確かに増えています。

そんな中で親戚やご友人に自転車を譲るとか譲り受けたとかいう話も多く、当店でもこの自転車以外にも数多くのヤバい自転車がたくさん持ち込まれました。

素人だから自転車の状態がどんなものか判らないっていう言い訳はよく聞きますが、ブレーキ、ワイヤー類、タイヤ、ドライブトレイン、変速機、サスペンション・・・これらの状態が悪い時点で譲渡していい自転車ではないという事を深くご理解頂きたいものだと思います。




次は2020年9月末頃、右側に転倒して「変速機が壊れたので交換して欲しい!」とお越しになった方の自転車の修理ですが・・・

10月7日に部品が届きました!と連絡してから全然そのお客様が来てくれなくて・・・

やっと来てくれたのが2021年5月27日です。

他にも注文したり部品の取り置きをしておきながら半年以上放置しているお客様がいて迷惑しています。

一番酷い奴は当店の元スタッフのNで連絡しても出ないし、一体この部品どうすればいいねん?って思いながら6年半も放置されています。

早く買い取ってもらいたいです。

チームユーロのメンバーにも2018年からタイヤを取り置きして丸3年放置されている方がいます。(笑)

とまあ、自転車業界は買い手がキャンセルになったからと言って商品を返品できるシステムが存在しないので、すべて店の買い取りなんですよ。

その辺をもう少しご考慮頂けないものかと思う訳なんですが・・・。


これが交換前のリアディレーラー(変速機)ですが・・・

これはまた転倒しているなぁ~。(汗)

実は変速機自体の歪みがあるので完璧ではないものの、とりあえず全てのギアを使えるように修正はしてあげていたんですよ。

それがまたここまで変形しているなんて酷過ぎる!(涙)


当店でも扱っている最近話題のネストですが、当店で販売した自転車ではございません。

僕はワイヤー錠をこんな風にハンドルに引っかけて自転車に乗る事を推奨はしていません。

理由は塗装が削れたり、咄嗟の時にハンドリングに影響する可能性があるからです。


そして最も驚いたのはこれ!

「なんじゃこりゃ~!」ってジーパン刑事みたいに倒れそうになりました。

何がどうなったらこうなるの?


落車した時の影響だと判るのがこのサドル。

人が乗っていて落車した場合はライダーがもがく事が多いので、このようにサドルが曲がっている事が多いのです。

たまに何故か「風の強い日に倒れていた事があって・・・。」と嘘をつく方もいます。

自分が転倒した事が知られると恥ずかしいって心理かも知れませんが、正直に言ってもらった方が、体重や応力のかかり方から状況の想定がしやすくなるので、修理すべきか否か、また点検箇所を正確に知る事ができるので助かります。


サイクルコンピューターはご自身でつけたそうですが、インシュロック(ナイロンバンド)のカットもせずに乗っていました。


センサー側はもっと酷い。


ゆるゆるで先端までずれ降りていました。

とりあえずセンサーを左側に付けている事も気になりましたが、まずは正常に安全に使えるようにして、インシュロックのカット後もヤスリ掛けして綺麗にしておきました。


同じ型のラピッドファイヤーブレーキレバーがすぐに手に入りそうもなかった(仮に注文&入荷しても、次にこの方が交換に来てくれるのが半年後か?1年後か?って思ったら怖くて注文できない)ので、ドライヤーで熱しながら何とかレバーの形状を可能な所まで戻しました。

ついでにほつれていたシフトワイヤーも交換。


新しいリアディレーラーに交換。

ディレーラーハンガーも完全に修復できないレベルまで曲がっていたのですが、ここまで頑張って変速が綺麗に入るレベルにはできました。



因みになぜかは知らないけどスプロケのロックリングが弛んでいてギアがグラグラだったので、それも外して洗浄してから組み直しました。

本当にありえないくらい無茶苦茶なコンディションでした。

オーナーさんを本気で説教したいくらい酷かったです。(涙)


ペダルのシャフトもグラグラでガタガタ。

中のベアリングが潰れている模様。

「早めに交換した方がいいですよ!」って案内したけど、きっとまた完全に壊れるまで当店にはお越しにならないでしょう。


前輪の振れはもちろんセンターも狂っていたので、単純にオーナーさんの乗り方がアグレッシブなだけではなく、元々の販売店の組み付けが適当だったことも疑われます。

連日こんな自転車ばかりが修理に来ると、時間と手間ばかりで儲けになりません。(苦笑)

頼むから販売店はきっちり精度を出してから自転車を販売して欲しいものです。

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