2019年11月3日日曜日

M籏君の初北アルプス縦走記・・・その➀『燕岳での一期一会』


9月 4日の早朝より在来線で長野県に向かっているM籏君。

青春18きっぷで北アルプスを目指すなんて、学生らしい発想というか・・・若さのなせる業ですね。

芦屋から新快速で米原まで行き、そこから名古屋まで快速で・・・

名古屋から中津川までは快速がありますが、そこから先は完全に鈍行のみ。

一人旅だと尚更タフな行程ですよね。

上の写真は中津川~塩尻間の中央本線は南木曽駅を過ぎた付近。

下を走る国道19号線(中山道)は別名『木曽路』・・・僕の好きな道路の一つです。


この写真は大桑駅を通過後に、関西電力須原発電所が見えてきたところですね。

実はその向こうに見える山が中央アルプス最高峰の木曽駒ヶ岳です。

ちなみにこれは電車の進行方向左側から撮影していますが、逆の右側にはちょうどIHI(石川島播磨重工)の工場があって、車や船舶に使うタービンを製造している場所なんです。

僕の乗っているインプレッサもIHI製タービンですし、大好きなフェラーリF40のタービンもIHI製です。

そう考えるとここって山好きだけではなく、車好きにとっても聖地みたいな所ですよね?


M籏君・・・木曽駒を撮影するポイントを下調べして中央本線に乗ったのでしょうか?

僕はこの写真を見て「あれ?」と思い地図をなぞったら、やっぱり木曽駒だった・・・みたいなもので、こんな絶好のフォトスポットがあったなんて今まで知らなかったです。


塩尻駅で特急待ちして散々待たされたのに、松本駅では大糸線の乗り換えまで更に時間が余るため途中下車。


長野県の西側を台風から守るATフィールド(エヴァンゲリオン参照)・・・それが北アルプス。

今回M籏君が向かうのは燕岳~大天井岳~常念岳~蝶ヶ岳の常念山脈。

北アルプスでは特に槍穂高連峰が悪天候のバリアーになっている為、常念山脈は比較的安全に歩きやすい人気のルートです。


松本駅に展示されていたらしい。

ギターの生産日本一・・・だったんですね?・・・知らなかった!


そしてJR大糸線に乗ったM籏君は有明駅まで向かいます。

写真右の雲の間から少し見えているのは、今僕が登ってみたい山の一つ『有明山』(信濃富士)です。

M籏君がまず目指すのは、あの有明山の裏にある中房温泉です。

ご存知の方もおられるかも知れませんが、以前当店のサイクリングツアーで『白馬&安曇野サイクリング』の際に、美術館巡りグループと別行動を取り、僕とピナイさんとヨネやんの3人で上った標高1462m地点にある温泉地です。

M籏君の最初に登る燕岳の登山口がその中房温泉なんですよね。


有明駅を降りたところでM籏君は僕と携帯電話で連絡を取りました。

時間は11時50分を回っており、そろそろお昼ご飯を食べたい頃だろうと思った僕は、M籏君に美味しいお蕎麦屋さんの名前と場所を教えてあげました。


この川は中房川など3つの支流が合流した『穂高川』です。

この流れが更に大王わさび農場の近くで犀川と合流します。


有明駅から長野県道25号線を有明山を目指すように進みます。

この先の宮城という交差点が、過去に僕とピナイさんが休んで待っていたら、ヨネやんが我々2人に気付かずに猛スピードで下って行き、はぐれて迷子になってしまった現場です。

懐かしい。


宮城交差点からは県道327号線に変わります。

M籏君はこの看板を見てドキドキしながら歩いたのかな?(笑)


これは本格的に山へ入っていく上り口の大王橋から見た中房川です。

白馬&安曇野サイクリングの中房温泉からの帰り、パンクして下りで遅れたピナイさんをここで待っていた僕は、カメラを落としそうになってキャッチしたものの、代わりに自転車を右側へ倒してしまいショックを受けた場所。

偶然この場所で写真を撮ったM籏君にも『ピナイの呪い』が及ばないか心配になってしまう写真です。(笑)

この先の『くるまや』さんで手打ち蕎麦を食べる予定のM籏君の前に、中房温泉行きのバスが現れたとかで、迷わず乗り込んだらしい!

確かにここから中房温泉までは徒歩だと2時間半~3時間くらいかかります。


で中房温泉に着いたM籏君は早速テントの設営。


温泉宿や山小屋には頼らずにテント泊です!


登山届も記入しました。

M籏君・・・ちゃんと登山保険に入っていますね!素晴らしい!


そしてご飯の準備を・・・

中房温泉の周りにはベンチやテーブルもあるので助かります。


晩御飯・・・先日のブログで僕がLEE30倍カレーのエピソードで語ったのと同じスタイルですね。(笑)

これカレーはともかくご飯が簡単には出来上がらないんですよ。

コッヘルの底が浅い事を加味すると、概ね40分以上の温めが必要じゃないでしょうか。

待っているだけでお腹が空き過ぎて死にそうになりますね!

当時きっとM籏君も苦しかったのではないかと想像できます。


そして翌朝はお餅・・・


美味しそう!「でも肉や野菜も欲しい・・・。」

そんなことを思いながら食べていたのでしょうか?(笑)

でも初めての北アルプス登山に一人で赴いて、テントやコッヘルも装備してきたM籏君は本当に成長したなぁ~って、話を聞いて僕も感動しました。

一人で旅行すること自体初めてのはずなので、M籏君にとってこれは・・・ものすごい大冒険ですよね!


9月 5日朝 4時45分頃・・・M籏君、中房温泉を出発!


中房温泉から燕山荘までは約5.5kmのルートです。


合戦尾根という尾根道を一気に登る、北アルプスの中でも三大急登の一つに数えられているハードな登りです。(といっても、もっとキツイ登りは他にいくらでもあるので、三大~の信憑性はそんなになかったりする。)

距離の長さや標高差で言えば劔岳の早月尾根が一番強烈な登りですし、僕が新穂高温泉から奥穂高岳まで登ったルートも標高差は約2100mあります。(荷継小屋跡~穂高岳山荘区間は特に凶悪で、崩れやすいガレ場を1.6km強で標高差800m弱とかなりの鬼急登です)

涸沢から北穂分岐までの上りも整備されて登りやすいとはいえ、たった1.9kmの距離で標高差750mと、なかなかえげつない急登でした。

そう思えば合戦尾根の5.5kmで1242mの標高差は・・・まだ初心者向きと言えるかな?

ただ標準コースタイムは4時間強のルートですが、5.5kmって距離は登山道って考えるとやや長め・・・しかもずっと登りなので疲労は蓄積されやすく、実のところ燕岳は北アルプスでも登山者の転倒による怪我や、体調不良からの死亡が比較的多い場所である事も事実です。


合戦尾根は所々・・・木の根っこが剥き出しの登山道なので、腰かけてこまめに休憩を取れば安全に登山ができます。

これはそこに誰かが石を積み上げてケルン状になっています。


そしてM籏君、途中で休憩を挟みながら2時間弱で合戦小屋まで登ってきました。

ここまで登ったら燕山荘までの尾根道は、随分となだらかになります!


とりあえずここでしばらく休憩です。

M籏君は今回20kg近い荷物を背負って歩いているので、そういう意味でも合戦尾根はきつかったと思います。


それに合戦小屋も営業していなかったそうなので、気軽に飲食ができなかったのは辛かったと思います。


そして間もなく槍の穂先が見えてきました。

槍ヶ岳が北アルプスの象徴(シンボル)と言われる所以は、アルプスの集合する中心にありながら、松本駅からも穂先が見えて・・・すべての山からもその姿を見る事ができる山だからであります。

きっとこの時間だと穂先の先端には、何人もの登山者が登っている事でしょう。

登山者の誰もが「一生に一度はあの頂上に登りたい!」と言わしめる山の代表格が、まさにあの槍ヶ岳なのです。

そして・・・なぜ数ある日本アルプスの中でも北アルプスエリアがダントツで登山者に人気があるのかというと、それはあの山(槍ヶ岳)を遠くに見ながら歩けるから。


標高2268mの有明山を見下ろせる所まで登ってきました。

角度から見ても標高2400mを超える高さまで登ってきたのが判ります。


そしてとうとう穂先しか見えなかった槍ヶ岳と穂高連峰までの3000m級8座が、その姿を現し始めました!(現在雲に邪魔されて槍から北穂高岳までの5座しか確認できませんが)

まもなく燕山荘です!

こうなるとしんどかった気持ちもワクワクに切り替わります!

あれこそが北アルプスのシンボルにして、長野県を台風から守る最強のバリアーです。


有明山も随分と低く見える標高まで登りました!


正面にも北アルプスの山々が広がってきました。

正面左の渓谷は湯俣川・・・高瀬渓谷の最深部ですね。

湯俣川の先には左から双六岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳と見えます。

三俣蓮華岳と鷲羽岳の間に見えるのは黒部五郎岳かな?

更に右へ行くと水晶岳が見えて、その右に赤牛岳へと続く稜線あるのですが、手前に真砂
岳と野口五郎岳があるので見えません。

当然、赤牛岳の向こうにある薬師岳(燕岳と共に北アルプスの女王と呼ばれる山)までは、ここからでは確認できない。

それにしてもM籏君、ここまで3時間弱で登ってきました。

標準タイムの70%・・・荷物を考えたら恐ろしく速いタイムですよ!


左側を向くと槍ヶ岳へ続く西鎌尾根とその向こうに笠ヶ岳が顔を出しています。

槍ヶ岳の手前には北鎌尾根も確認できます。

北鎌尾根の右が千丈沢で左が天上沢といい、北鎌尾根経由で槍ヶ岳に登る場合は、一度高瀬渓谷の天上沢へ下らないといけません。

途中山小屋もビバークできるスポットも無く、常念山脈から行く場合に下る貧乏沢も崩れやすい難所なので、余程の手練れじゃないと近付くこともままならないルートです。

さりげなくM籏君が北鎌尾根ルートに憧れを抱いていると聞いた僕はDVDでルートを勉強済みです。

彼が本気で目指すというなら、いずれ一緒に登ることもあるかも知れません。

かなり危険なルートなので命懸けになるとは思いますが。


右側を向くと燕岳山頂。

左から三ツ岳、烏帽子岳、南沢岳、不動岳ときて、燕岳との間に見えるのが針ノ木岳と蓮華岳ですね。

三ツ岳と烏帽子岳の間に見えるのはどこだろう?

五色ヶ原の辺りかな?

烏帽子岳の右には立山らしきものが見えます。

でもさすがにここからでは劔岳はハッキリ見えないですね。


道中で出会った登山者と仲良くなったM籏君が、一緒に燕岳山頂を目指します。

山では登山者同士の一期一会も楽しみの一つです!


山頂に到着!


左から前穂高岳から吊尾根を経て奥穂高岳、涸沢岳と北穂高岳が重なって、大キレットを経て南岳、中岳、大喰岳、槍ヶ岳の場所だけが、天空の要塞のような佇まいでそびえています。


M籏君が憧れの槍ヶ岳と記念撮影!


頂上の向こうに見えるのは、これまた僕が歩いてみたい山(稜線)の餓鬼岳が確認できます。

遠くに見える後立山連峰は爺ヶ岳より向こうが雲に隠れて見えません。


これは燕岳の北北東~南南西までのパノラマ写真です。


こっちは南南西~北北東までの景色ですが。

雲に邪魔はされていますけど、立山と劔岳がちゃんと見えますね!素晴らしい!

M籏君、この日は大天井岳まで歩いてテント泊予定なので、この後常念山脈の稜線を南下します。

それでは次回お楽しみに!

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