2018年7月3日火曜日

シェアバイク(シェアサイクル)について・・・

最近はタイムズ等のシェアカーを街中で見かけるシーンが増えています。

確かにたまにしか車に乗らない人は買うと購入費だけではなく、毎年の自動車税や2~3年毎の車検費用に、毎月の駐車場代と、あれこれ諸費用がかさむので、デメリットの方が大きいのかも知れません。

最近は車検の規制も厳しくなって、年式の新しい車になるほどカスタマイズもしにくくなって、以前に比べたら面白みのある車も少なくなりましたね。

そんな世の中になって『シェアバイク』っていうのはどうなの?って動きも3年ほど前から出てきています。

オートバイなどは転倒のリスクが多いのでシェア化は難しいのですが、自転車は少々転倒したくらいでは壊れません。

中国ではそんなシェアバイクのビジネスが一気に広がって、日本にまで進出してきています。

「シェアバイクってどうなの?」

年始の組合の会合で挙がった言葉です。

僕は断固反対なので意見書を記入して提出しました。

それなのに先日の会議でも、シェアバイクを反対するヤマダサイクルセンターのオヤジさんの意見に対して、理事会側の意見としては、「あらゆる検証を踏まえて今後どう対応するかを考えたい。」という、状況次第では容認する可能性すら含めた回答だったので、あえてこの件についてブログに書かせてもらう事にしました。

まず単純に言えば・・・ある条件を満たしていれば、誰でも自由に貸し出しが出来る自転車であります。

ある条件とは、例えばその地方の自治体が指定した鉄道やバスをご利用の方、宿泊施設を利用した方々が無料、或いは安価で自転車を利用できる。

これは観光旅行者の誘致には有効なツールなので、旅行会社や役人さんはメリットに感じるかも知れません。

あと実は当店において、既にシェアバイクの販売やメンテナンスを経験済みなんですが・・・

例えば某国際コミュニティ施設では、海外から訪れた施設利用者用に20台以上のシェアバイクを用意しています。

同じく分譲マンションのエリアでは、マンション管理費の中に施設内設備に導入する雑費が含まれており、数ある雑費の中には住民専用のシェアバイク管理費が含まれています。

この場合はいずれも管理事務所に申請すれば、無料で貸し出しがされるというものになります。

使いたい時だけ自転車を必要とする方にとっては、願ったり叶ったりなのかも知れません。

しかしマンションの件に至っては、シェアバイクを利用しない人の方が圧倒的に多く、そういう住民の意見とすれば、「使う人間だけが使用料を払って、それを貯蓄して車両維持費にすればいい!その分だけでも管理費や修繕積立金を安くしてくれよ!」って話も出てくる訳ですよ。

勿論シェアバイクの5台や10台なんて、世帯数で割り算したらせいぜい3年間で数百円の話です。

それでもそういった気持ちの問題による、トラブルが発生する案件だったりするのです。



次に僕が反対する根拠を述べたいと思います。

まず中国ではシェアバイクを返却せずに売り飛ばしたって話や、ごみ捨て場や川に投げ込んで捨てたなんて話や映像までもが出回っています。



そういった事情もあって、現在中国のシェアバイクビジネスは3割ほど運営会社が撤退したという情報も耳に入っています。


「日本ではさすがにそこまで酷い扱いはされないだろう。」

そんな意見も出ていますが・・・

何も利用するのが日本人ばかりとは限らないでしょ?

某国際コミュニティ施設の自転車たちは、それはもう可哀想な自転車が多いです。

海外の方々って身体の大きな方が多いですし、脚力も半端ない訳ですよ。

そのペダリングパワーに負けてBB(ボトムブラケット=フレームの底にある左右のクランクを繋ぐベアリングシャフトの事)が緩んでがたつき、酷い場合は中のボールベアリングが潰れて転がらなくなっている。

後輪のスポークはパワーと重量に負けて、中心側の首の部分が、金属疲労で飛んでしまう。

海外の方はスポーツバイクに乗りなれている人が多いので、ママチャリであってもアグレッシブな乗り方をするので、後輪タイヤはブレーキのロックで偏った減り方をしている。

前輪はリム打ちパンクで収まれば可愛い方で、リム打ちによるホイールの変形とかスポーク折れや振れ等は日常茶飯事です。

信号のスロープや段差を躊躇なく、ガンガンと果敢に突き進んで行くのです!

ヘッドのがたつきが出ている車両や、何かにぶつかったのかフロントフォークが曲がっている車両も何台か・・・

そういえば一番ショックだったのは12台ほど新車に入れ替えて頂いたのですが、新車で最初に貸し出した外国人利用者にいきなりフロントフォークを曲げられた1台があって、1ヶ月後に伺った初回無料点検の際に、その車両を見た時はショックで言葉を失いました。

1台1台の自転車をきっちり精度を出す為に、組み直しするようにしている当店の場合は、商品に対する想いも強いので、雑な扱いをされている車両は見たくないものなんです。

「タダで借りれる。」

「所詮は施設(他人)の自転車。」

「愛着のない借り物。」

多くの場合がそういう意識でしか見れない訳で、物を大切に扱おうという意識の出来ない人を、ますますこの世に増やしてしまう悪循環を作り出す。

結局のところ日本人も、勝手に売却したり川やゴミ捨て場に放置するようなモラルの低い人が少ないってだけで、扱いは雑そのもの。

分譲マンションのシェアバイクはそんな感じ。

自分のお金で購入した自転車と、そういったシェアバイクだと、同じ年月を経過した時の劣化の具合が天地の差なのです。

某分譲マンションのシェアバイクも1年前に3台程、当店で新車に入れ替えしていたのですが、先日の1年点検で見た際の扱いの酷い事。

3台のうち2台は女性用に貸し出しているそうですが、もう1台は男性用に貸していたそうです。

しかし男性用は滅多に人が乗らないとかで、タイヤの空気も入れずに放置していたんでしょうね、ある時借りた男性が「この自転車は何か重くて進まない!」ってクレームを出したらしく、女性の自転車を借り直して使用したらしい。

どうもその男性は大柄な方だったというのが後で聞いて判った事なのだけど・・・

まず1年点検で持ってきた事務員さんが、「3台とも買った時からサドルの角度がおかしい!」と言って持ってきたので確認をしたら、3台中確かに2台は攻撃的な角度になっていたのです。

しかしいくら何でも僕は当然ですが、留美さんもM籏君もサドルの調整の際は水平器を使って適切な角度に合わせています。

その後に男性用の自転車が重くて進まない・・・って話を聞いて、その話の流れと結論を精査したところ、まず男性用自転車は空気圧が極端に低くなっていたので、空気を入れずに乗ったなら重くて進まないのは当然という事が判明。

そしてその男性が次に借り直した女性用の自転車と、計2台が共通してサドルの角度が変わっていた事実。

つまりその方の体重が重すぎたのか、乗り方が極端に荒かったのか、故意に自分の好みの角度に調整してそのまま返却したのか・・・そういういくつかの可能性がある事が判明したのです。

当店の組み立て時に・・・なんて話は濡れ衣だって事が判り、少しだけホッとしました。

結局点検調整の結果、3台とも大きな異常はなかったのですが、メンテナンスをせずにこのままだった場合、本来3~5年は大きなトラブルもなく乗れるはずの自転車が、あと半年(即ち購入からたったの1年半)もしないうちに、少なくとも3台中2台は壊されていたかも知れないという推論に至ったのです。

更に言うと分譲マンションにはシェアバイク以外に空気入れまで複数用意しているのですが、これに至っては10本用意して半年で半分壊され、更には3本盗まれ・・・

そんな事もあって時々追加でポンプを買いに来て頂いています。

本当にお金を出さない人の扱いとか、考え方って身勝手極まりないというか・・・

もっと大切に扱えないものでしょうかね?

そういうのを目の当たりにしているので、中国の事情も踏まえると僕からすればシェアバイクのメリットなんて微塵も感じられないのです。


レンタサイクルですら扱いの酷さって尋常じゃありませんよね?

当店もレンタサイクルを滅茶苦茶にされた事が何度かありますし、しまなみ海道のレンタサイクルの状態の悪さも散々見てきているので、例えレンタルであっても採算が取れないようならするべきではないのです。


そもそも自転車屋にとってシェアバイクが一般化すれば、当然のことながら売上が大幅に下がります。

一般ユーザーの感覚が「自転車なんてお金を出してまで買うものじゃない!」って価値観に仕上がるので・・・

今でさえホームセンターのお陰で「自転車なんて1万円も出せば新車が買えるやろ?」って思っている人が10人中3人くらいはいるようなので、今後それ以上に日本国民の価値観レベルを下げてしまったら、もう自転車に限らず小売業界は完全に破綻しますよ。

これは国を挙げて経済の活性化の何たるかを考え直して頂かないと!

ちなみに昨年末ぐらいに中国の企業から当店に、「京都と奈良でシェアバイクを展開したい。とりあえず自転車100台分の防犯登録をお願いできないか?」という、失礼極まりない依頼が来たのでお断りしました。

当店は登録屋ではなく自転車屋ですし、100台分の安全点検はしないのか?って疑問や、登録するにしてもその出張手数料とかも安く済ませたいような感じでお願いされたので、そんな迷惑な話はないだろ?ってね。

正直コベリンとかって神戸市内の観光を支えるレンタサイクルですら、色々と合点のいかない問題がある。

購入と登録は東京の業者が行なっているらしいのだ。

つまり神戸市の事なのに、市内の業者には仕事が依頼されていないのである。

そしてメンテナンスはどうなっているのでしょうね?

兵庫県の組合ではその辺の事も把握できていないような話を聞きました。

少なくとも県立美術館前やハーバーランドなどで、チラッと目視させて頂いた限りでは、そろそろヤバイかもなぁ~って車両も徐々に増えてきている感じです。

まあ3年以上経っていますし、初期に導入された車両であれば、間違いなくガタのきている車両はあるはずなんです。

誰も事故でけがをしたり死んだりしなきゃいいのですが・・・と祈るばかりの状況であることを、どうか皆さんも認識しておいて下さい。

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