どうやらSTIレバーのフロント変速側がアウターに入ったまま、インナーへシフトダウンできないという症状のようでした。
5600系のシマノ・105を装着していましたが、5600系まではシフトワイヤーはアウターケーブル外出しの所謂『触角タイプ』なので、レバー内部でインナーケーブルが摩擦で破断するタイプのトラブルは稀なんですよね。
そうなると旧型に良くありがちのグリスが硬化して・・・ってあれかな?と思ったのですが、実際にはSTIレバーのラチェットに癖が出来ていて、インナーからアウターへ引っ張り上げた後に、更にもう一度アウターへ引っ張り上げる動作をすると、カチッ!とラチェットがもう一段階巻き込む症状になっていて・・・
そこまでやっちゃうとラチェットの解除が引っかかって、レバーが固くなるという現象が起こるので、お客様的には「壊れたんじゃないだろうか?」って心配になってしまう訳ですね。
一応レバー内をグリスアップして、いくらかは操作が滑らかになりましたし、ディレーラーの可動域も合ってなかったので、ついでに調整して・・・
要するにアウタートップの際にフロントディレーラーとチェーンが擦ってしまうのが嫌だったりすると、ついアウター側へ目一杯レバーを引っ張ってしまう心理状況に陥ってしまいますので、今回はストレスにならないようにチェーンが絶対に擦らないようにセッティング。
リアディレーラーのインナーケーブルもやや伸びていたので、それもテンションを調整し、気持ちよく変速が出来るようになったお客様は喜んで帰られました。
当店と同じ名前の自転車なので僕も嬉しい気持ちになりました。
久しぶりにロードバイクに乗られる方に気を付けて頂きたいのは、例えばSTIレバーの場合、特に7400系とか最近では7700系のデュラエースや、その同世代のコンポーネントによく見られる症状として、ラチェットが引っかからない(特にリアの変速)ってパターンが多いです。
そういう場合は主に古くなったグリスが悪さをしている場合が大半なので、STIレバーを外し(ブラケットカバーも外して)イノテック105に浸けておくと、翌日までには生き返っているはずです。
イノテックが高いと思われる方はミシンオイルのような、粘度の低いオイルに浸けておいても効果的です。
ただイノテックは揮発性が高いので、クリーニングが楽でいいのです。
低予算で揮発性の高い・・・となるとパーツクリーナーに浸けるっていうのも有りです。
その代わりイノテックが元々チェーンの動きを滑らかにする効果があるので、同様にSTIレバーの動きを良くする効果があるのに対して、パーツクリーナーは汚れを除去するのみなので、必ず仕上げにグリスアップをして下さい。
尚、7800系デュラエース以降の世代になって、ワイヤーをアウターケーブルごと内蔵式にしたものについては、摩擦が増えて・・・特にインナーケーブルの頭が飛ぶような破断が多いです。
その場合STIレバー内に切れてほつれたインナーケーブルが引っかかり、それが原因でレバーそのものも動かない場合があるので、無理やり動かさないように注意して下さい。
STIレバーにはインナーケーブルの頭を引っ張り出すポケットが付いているので、そのポケットの蓋を開けて頂くと大丈夫です。
シマノがどんなに今のインナーケーブルの摩擦係数が低いと言い張ろうが、それを鵜呑みにしないで・・・STIレバーのインナーが擦れる部分には必ずグリスアップするようにして下さい。
それ以外ではチェーンの伸びやヘッドのがたつき、ブレーキシューのゴムが硬化していないか・・・あとはタイヤとチューブの状態をチェックして下さい。
「変速の入りが悪くなって気分が悪いから乗らなくなって・・・。」
そんな方が疑って欲しいのはシフトインナーの伸び。
初期伸びを放置して乗っている方も多いので、まずはそこを疑う。
次にディレーラーハンガーが内側へ曲がっていないか?
曲がっていたら変速性能は著しく低下します。
上り坂に差し掛かってから慌ててシフトダウン・・・ガチャガチャン!って雑な変速になりつつ、その上ダンシングでペダルに大きな負荷をかけていたりすると、ディレーラーハンガーやリアディレーラーに応力が加わって破損に繋がることがあります。
変速機に優しい乗り方を心掛けて頂きたいポイントです。
曲がったハンガーは修正できる場合もありますが、何度も修正すると金属疲労で折れてしまう場合もあるので、予備のディレーラーハンガーを1~2個用意しておいても良いかと思われます。
右側へ落車(風で倒された場合も含む)した場合もそうなっている可能性が高いので、是非疑ってみて下さい。
それらが問題ないのに違和感がある・・・
例えばリアの変速がトップに行くほど入りが悪い場合。
①ワイヤーのテンションが高すぎる。(上記の初期伸び対策で引っ張りすぎている)
②リアディレーラーの可動域(H側)が狭い
次にロー側へのシフトダウンでチェーンがスプロケの内側に落ちてしまう。
これはリアディレーラーの可動域(L側)を狭める必要性がある
フロントディレーラーについては無理をせず自転車屋さんに任せて下さい。
あとタイヤはしばらく空気が抜けたまま保管していた場合、タイヤのビードとリムの間にチューブが挟まっている可能性があるので、必ず1周グルっと確認してから空気圧を上げるようにして下さい。
チューブが噛んだまま空気圧を上げるとバーストします。
タイヤのひび割れや硬化(劣化)も確認して、必要と感じたら惜しまずにタイヤは新調して下さい。
以上、久々にロードバイクを引っ張り出して乗る方々にお伝えさせて頂きます。
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