今は大半の自転車がシマノの変速ユニットを使用している世の中ですが、一昔前の自転車には写真のように中野鉄工所の内装変速ユニットハブを使用している自転車もある。
もう20年以上乗り続けているブリヂストンの小径車だ。
そろそろハブのベアリングがガタついて、走れなくなる日も遠くない。
変速ワイヤーの取り回しがシマノとは逆。
しかもフレームもこの変速システムに合わせた構造。
現行のシマノの変速ユニットに交換する事は不可能ではない。
しかしそれはそれでやり方は邪道。
この自転車はVブレーキなので、通常の内装3段ハブを取付するには工夫が必要。
Vブレーキを殺してローラーブレーキ化するにしてもフレームのエンド幅が微妙に違っていたり、アルミフレームだとエンド幅を閉じたり開いたりすれば、溶接箇所から割れる可能性もある為そうそう気軽に請け負える仕事ではない。
中野鉄工所は今もエアハブなど、特殊な自転車用部品を製造販売している会社ですが、さすがにこの内装3段ユニットハブは製造もしていなければ在庫も残っていないそうだ。
同じくレアな変速と言えば、シマノの中でも左側にプッシュロッドを差し込む旧型の内装変速もあるし、プッシュロッド方式以外にもワイヤーを引っかけるタイプもある。
更にはこれもレアなパターンではあるけれど、イギリスのスターメーアーチャー社製の内装変速を装備した自転車が修理で来る場合もある。
自転車屋で働くスタッフといえば、ロードバイクやフルサスペンションのマウンテンバイクの組み立てができる事が花形の仕事で、それを「メカニックとして優れている。」と考えている人が、スタッフ側にもお客様側にも少なくないと思います。
ところが昔の実用車でロッドブレーキの修理をして欲しい!とか、30年以上乗っている自分にとっては身体の一部のような自転車なんだ!っていう人の愛車も触らないといけないのがこの商売なので・・・
部品の仕入れができるか否か?修理で対応できる状態なのか?ワンオフで代用できる部品を即席で製造できるのか?など、実際にはそういう悩ましい相談や修理も少なくないので、消費者の方々にはスポーツ車ばかり扱っているお店がプロショップなのではなく、臨機応変に対応できる事がプロショップたる所以である事をご理解頂きたい。
そして愛着ある愛車を長く乗る事、ビンテージバイクを所有する事は、補修部品一つ用意するだけでも苦労をする事があるという覚悟を持って欲しいのです。
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