2021年2月22日月曜日

自転車の相場価格・・・販売ポリシーについて改めて語る。

 先日「普通の自転車って扱っていますか?」と自転車を見に来られた夫婦がいましたが、予算を聞くと「7~8千円くらいで・・・。」って・・・


未だにそんな事言う人がいるんですね?


「そんな金額じゃドン・キホーテでも無理やから!」とお伝えして差し上げた方が親切だったかな?


7~8千円じゃリサイクルショップで売っている中古自転車でさえガタガタのボロボロ・・・最悪事故車を掴まされる可能性すらあります!


結局消耗部品(タイヤやブレーキシュー、ワイヤー類)を交換するなどしたら、たちまち総額2万円以上の出費になり、それなら新車で買った方が値段も安いし安全でしょ?って話になる。


そもそもそんな低予算で物を買う人は、ケチってコストを抑えようとするから結果的に無駄な出費がかさみ、損な人生を歩んでいる可能性が高いという事に気付いた方が良いと思う。


例え新車であってもディスカウントストアーやホームセンターの自転車は専門店ではないので、形は何となくできているけど、ボルトやナットの締め付けトルクが適正でなかったり、ホイールやブレーキのセンタリングが狂っていたり、変速がちゃんと調整できてなかったり、タイヤとリムの間にチューブが噛んだまま空気を入れて渡されたり・・・酷いものだと品質も劣悪で、購入後間も無くチェーンが切れた車体を実際に見た事がある。


何しろ海外の格安で請け負ってくれる工場で大量に生産して、そこで流れ作業で部品を組みつけたものを船で運び・・・


それが日本の港に着いてから倉庫に運ばれ、各店舗に振り分けされたものを、梱包材を剥がして配送上の理由で横に向けていたハンドルを真っ直ぐ起こしただけの商品が店頭に陳列されている訳だ。


そこに絶対安全な乗り物だと胸を張って言えるお店なんて絶対に存在しない。


絶対なんて言葉を使うなんて余程の事だけど、もう一度言おう!


100%安全な自転車ばかりです!なんて絶対に保証できないのが量販店の自転車である。


某チェーン店も然り。


やはり先日、近くのチェーン店には大量の新車が入荷していましたが、唯一の社員である店長一人であの台数は完璧に組み直せないし、チェーン店は何よりも販売効率(費用対効果)を求められるので、一台一台の仕上げに何十分も何時間もかけるなんてあり得ないし、むしろ彼らの組織では1台1台の自転車に時間をかけて仕上げる事は御法度のはずです。


更にチェーン店のように店舗が多い組織は、店によって優秀なスタッフが揃っている店は稀で、概ねバイト感覚の意識の低いスタッフが「梱包を剥がすだけ。」「ハンドルを起こすだけ。」の作業に準じている可能性が高いとよく言われておりますが、これも残念ながらそういうクオリティーの店舗が増えているのは確かなようです。


自転車が好きだからって動機で働く事は決して間違ってはいないけど、好きと仕事ができるはイコールじゃないし、そもそも他人様の自転車を触る事の責任感とか、店をどんどん人気のある繁盛店にする為に自分のできる事・・・そんな意識を持って仕事をする人なんてかなり低い確率でしか現れませんから・・・。


だから尚更チェーン店やディスカウントストアでは、無駄に手間をかけない!不良品は製造元の責任!何よりも効率重視なので、スタッフは販売に関する最低限の業務ができればそれでいい!と半ば個人の成長を諦めてさえいるように思える事がある。


まあ「出世したい人や給料を上げて欲しい人だけが意識して頑張ればいい!残りは限界を感じたら勝手に辞めるだろう?」と言わんばかり。


そういった事情から上記の自転車たちは、安いものもあれば普通の価格の物もあるが、結局製造から組み立てまで外注しており、それでいてチェーン店ならではのスケールメリットから高い粗利率を実現できるので、彼らが儲かっているのはそういう理由。


結局コストをかけて安全で長く使える商品を販売しようというスタンスではなく、3~5年で乗り潰してまた買い替えてもらえればいい!そして球数さえ売り捌けば数十台に1台くらい不良品が混ざっていても、十分な粗利があるので大きな損失にはならず、むしろ製造元に責任を押し付ければそれでいい。


盗難補償にしても通常は盗まれた人が30%程度負担すれば新しい自転車が買い直せるというものだが、メーカーの場合はともかく、チェーン店の自転車などは仕入れ原価が30~45%くらいなので、そこまで痛手ではないというのが実情。




次に自転車販売メーカーの自転車についてですが・・・


我々のような個人商店は主にメーカーの自転車を仕入れて販売する訳ですが、当然メーカーの自転車ですから元々の定価設定も高めの物が多く、それいて仕入れ価格も高いので、粗利率でいうなれば我々個人商店は量販店の半分以下の粗利しか得られません。


それでも少しでも割引努力をして利益を削っているというのが現状です。


しかしメーカーの自転車のメリットは、不良品があった場合はメーカーが保証してくれるケースがほとんどです。


それにメーカーの看板がある以上は下手な商品を販売できないので、ハズレを引く率も大幅に少なくなります。


何より部品にかけるコストも違うので、耐久性や品質も随分と変わります。


あるメーカーの営業さんから「東さんの店は随分強気な金額で売るんですね?」と言われた事がございますが、決して定価売りをしている訳でもなく、かなり値引きも頑張っています。


そこの仕入れ単価はメーカーの中では比較的販売店に優しい金額なので割引も可能なのですが、どうもその営業さんは大阪の店舗やネット販売の店舗の営業でマヒしているみたいで、僕にしてみたら貴方こそ大丈夫ですか?と聞き返したいくらいでした。


だって僕らが商品のクオリティーを意識して販売するのは、自分の店の看板だけではなく、貴方の会社の看板に泥を塗る事の無いようにしている訳なので、自分の会社の商品を安売りするような発言はちょっと筋違いなんじゃないか?と思えてしまう訳。


そりゃその営業さんにしてみたら、販売店の利益がどうあれ、自分の会社の商品が1台でも多く売れれば、自分の営業成績になるんだろうから、きっと感覚がマヒしちゃっているんだろうね。


ネット販売は全国から注文が入るので、仕入れ原価に3000円くらい乗せて、ほぼ仕入れ値で安く販売しても球数が出るので、1台辺りの利益は薄くても十分な総売り上げが望める。


大阪はそもそも競争が激しく文化も独特なので、やはり薄利多売で効率よく台数をこなすのが当たり前になっている。


僕はそもそもその売り方が間違いだと思っている部類なので、例えメーカーが9割がた組み立てて送って来た自転車であっても、その組み立て精度を疑って組み直すようにしている。


前後ホイールがキッチリとセンタリングが出ていて、一切の振れも無く滑らかに回る完成車なんて100台に1台も無いという事をぜひ知っておいて頂きたい!


大手の某有名自転車メーカーの完成車でさえ、かなりの確率でホイールセンターが狂っている。


つまり車体のど真ん中をタイヤが転がっていない訳で、余程敏感な人でないと気付かないかも知れないけど、まっすぐ走ろうとすると違和感を感じる車両が少なからず混ざっているという事だ。


15万円前後で売っている電動アシスト自転車でさえ、ホイールセンターが左右で合計5mm前後センターがずれている事がある。


いくら仕入れ原価が83%で販売店の利益が少ない電動アシストとはいえ、あくまでお客様は高い買い物をしている意識な訳ですから、僕らはいい加減な気持ちで組み立てて販売ができないのです。


例え1万円台~2万円台のママチャリでさえ全部点検及び調整して、酷いものは組み直しして、ベストな状態で店頭に並べています。


それに乗る人の身長や用途に合わせてハンドルの高さや角度、サドルの高さも乗り出しの前にセッティングします。


それが個人商店の強みだと思っています。



まあごく稀に個人商店でもこんなトンチンカンな事をするお店もあるみたいですが。(笑)


防犯登録シールをフェンダー(泥除け)に貼るなんて御法度です!


この子乗せの電動アシストはかなり適当に組み立てられていたので、後ろ子乗せを増設する際に安全点検をしたら、前子乗せの取り付けも雑で・・・更にホイール自体のセンタリングもそうですが、ハブナットの締め付けもちゃんとフォークにハマっていない状態だったので、今までよく事故をしなかったものだと思えるくらい危険でした。


まあ相変わらず話が長くなりましたが、メーカーの定価は限りなく妥当な金額です。


むしろ安いくらいだと申し上げておきます。


何しろ割引したら販売店の粗利はかなり低くなってしまい、組み直ししている人件費を考えると割に合わない事も多いです。


しかしそこまで徹底しないと安全な自転車がご用意できない事もご理解頂ければ幸いです。

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