恐らくネットや安売りの殿堂なんかで売っているロードバイクモドキにサイズ設定が無いもので、自身の身長でも乗れるロードバイクは無いものか?と探してらっしゃる方だと思うのですが、先ほどお問い合わせの電話がございました。
電話で相手の顔も判りませんが、反応からロードバイクにかける予算が合わないって言うのが、何となくですが伝わってきました。
僕がまだ自転車屋じゃなかった頃、もっと好き放題に言えていた事が、自転車屋になってしまったが為に声を大にして言えなくなってしまった。
予算の無い人だって本格的なロードバイクやMTBに憧れる権利くらいはある訳だ。
それが解るだけに言いにくい言葉だってある。
多くの方に自転車の奥の深さや風を切って走る喜びを知ってもらいたい。
そういう願いはあるものの、現実問題価値観の隔たりが大き過ぎるのが事実であります。
僕も高校生の頃バイトして貯めたお金で入門者用の安いMTB(BSのワイルドウエスト)を買ったのですが、安いと言っても高校生にしてみたら5万円は大金だったし、学費を支払いながら捻出した予算だったので、すごく大切に乗っていました。
そんなある時荒ゴミで捨ててあったアラヤのマディフォックスを拾って、こちらは綺麗に磨いて部品も交換して甦らせた。
これが僕の自転車を触れるようになったきっかけ。
拾った自転車だったから思い切ってバラしたりチューニングできたんですね。
マディフォックスはバランスが良くて、トリッキーな走り方を覚えるのにちょうど良かったけど、ワイルドウエストはオフロードって言うよりオンロードが強かったので、メンテナンスやチューニングの技術が身に付いた僕はロードバイクに匹敵するスピードバイクに仕上げてしまう。
高いロードバイクに乗っている人に対するコンプレックスみたいなものもありました。
元々5万円の自転車に22万円以上の部品代をかけて、15kgあったMTBが10.8kgまで軽量化。
ホイールはベアリングを研磨して摩擦を軽減し、タイヤはパナレーサーのシングルトラック390!
クロスカントリー用のブロックタイヤなのにメチャクチャ転がりが良くてアスファルトでもほとんど抵抗を感じなかった。
ギアは48T×11Tで、回し切ったら平地でも73km/h以上まで引っ張れる自転車に大変身させる事に成功。
その入門MTBはクリテリウムでロードバイクと互角に走ってゴールスプリントを争える自転車にまで仕上がった。
「自転車が高けりゃ偉いのか?違うだろ?これが答えだ!」って、当時の僕は示したかったんですよね。
しかし購入後8年近く経った頃、当時の僕の剛脚で酷使されたフレームは破断した。
それは突然の事でした。
ブリヂストンの鉄フレームが破断。
そこまで徹底的にやった経験があるからこそ、ネットやホームセンターで売っているような自転車を、安いからって買う人々を辛い視線で見てしまう。
ハッキリ言ってどれも鉄くずなんだよ。
ちゃんと安全に乗れるようにするのですら、手間暇がかかって大変な乗り物なんだよ。
職人がそう言っているんだから間違いない!って理解してもらいたいものです。
予算とあなたの命・・・どっちが大切なんですか?
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