2016年6月5日日曜日

これはちょっと・・・直していいの?直せるっちゃ直せますけど・・・

って思うような自転車がわりと来るんですよね。

まあ愛着があるとか、もうしばらく乗りたいんです!なんて言われると何とかしてあげようとは思うものの・・・

そうは言っても予算の関係上、新しい部品に交換するとかはちょっと厳しい・・・

「何とか修理でお願いします!」

なかなか皆さん無茶をおっしゃいます。(笑)


例えばこんな状態の自転車が入院してきます。

ハンドルと前輪が明後日の方向を向いていますね。

お父さんが運転していて、車を避けた際に側溝へ突っ込んだのだとか。

お子さんはシートベルトをしていたので無事に無傷だったそうですが、お父さんは大怪我をされたそうで・・・

そんなご家庭が大変な状況なのに、新しい自転車や部品の買い替えなんて、申し訳なくて勧めることもできず・・・


頑丈なハンドルが右側だけ内側へ曲がって、子乗せを圧迫しています。


こうやって見ればどのくらい変形してるか判りますよね?


フルブレーキの末の事故だからか、ブレーキ本体も明後日の方向を向いています。


右側から見るとブレーキ本体とフロントフォークが干渉しかけています。


左側から見たらこの通り・・・

ここまで強烈な変形は見た事がありません。

ただ幸いな事にフロントフォークは奇跡的にも、塗装の歪などが見当たらず、ダメージを受けていなかった模様。

これは奇跡です!

その証拠に・・・


前輪はこの通りへしゃげて・・・えらいこっちゃです。


スポークにまで衝撃の強さが表れています。


ホイールは交換の方が、安全性を考えればいいのですが・・・

このくらい修復できないようでは、そこらの自転車屋と同じ扱いにされてしまうので、まあ見てて下さい!


とりあえずバラします!


ポテトチップスか?メビウスリングか?って言うくらい変形していますが・・・

これをつなぎ目などが割れないように、慎重にチョイチョイっと修正してあげると・・・


このように限りなく元の状態に近くなります。

ここまで修正できれば、あとは振れ取りの要領で、限りなく真っ直ぐのホイールに元通り・・・

縦振れは完璧には直りませんが、ブレーキシューの当たり面にムラが無く、上下の揺れも気にならないレベルには直りました。

左右でスポークテンションに若干のムラができますが、センターは出しているので日常で使う分には何の問題もありません。


ホイール&タイヤを装着後、前子乗せを外す。

この写真で見てもハンドルの変形具合は良く判ります。


まずタイヤとハンドルの位置を正してステムを締め直します。

販売店さんでなのか、ヤマハさんで組み付けしたのかは判りませんが・・・

赤いマジックで印を入れて、ちゃんと締めましたアピールはいいのですが、締め付けトルクは少々緩かった模様です。

4分の1回転違えば大違いです。

仮組みのままチェックしてしまったのでしょうか?

まあ言うなれば、このお陰でフロントフォークのダメージは上手く免れた訳ですが・・・

走行中にハンドルが真横を向いていたらと思うと・・・オイオイ!ってな訳で。


次にブレーキですが・・・少なくとも30度は傾いていますね。


外してみたらこの通り!

まだ根元からの変形で助かりました。

これなら・・・


この通り真っ直ぐに直せます。

この後ハンドルを僕の後背筋を駆使しつつ、余計な応力をかけずに曲がった所だけを修復し・・・


ほら!この通り元に戻りました。

一応一度変形した物なので、次に衝突や転倒事故を起こした場合は、容赦なく買い替えですよ!という旨を説明しつつ、ハードな乗り方は避けてもらう事をお客様に約束して頂きました。

ここまで手間をかけて直した場合・・・

他のお店だったらいくら工賃を取るんでしょうね?

っていうか修理するのかな?

まあ安全面を考えるなら極力避けたい修理ではございますが・・・

うちのような個人商店は、柔軟性と技術力で頑張らないと付加価値を作れませんので・・・

またこのような案件が来た場合は、十分にリスクを考慮した上で頑張ります!

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