2021年1月28日木曜日

2021年それなりに忙しくスタートしています!

 今更ですがあけましておめでとうございます。


毎年そうなのですが、11月~2月って自転車屋にしてみたら最も売上の厳しいシーズンですので、呑気にブログで長文を書く時間が作れません。


先日も最近ブログの更新が止まってますよね?ってお客様に言われてグサッときたのですが、良い事も悪い事も含めて、書こう!っていうモチベーションが起きないとなかなか書けないものです。


昨年のコロナショックによって自転車の需要は一時的に爆発しましたが、部品の供給元が中国だったりする訳ですから、需要に対して供給が間に合わず・・・


結局例年と変わらない売上だった事を報告します。


まあ最悪だった2017~2019年の3年間を思えば、ゆったりとではあるものの業績は回復してきています。


しかし相変わらずの非常事態宣言により、若狭の方は今年の4月からのオープンに間に合わせられるかどうか・・・今も不安です。


安く借りてるとはいえ、現地の借家の家賃さえも今の僕には負担が大きいです。

昨年の今頃と比べるとまだマシというだけで、依然綱渡り状態で喘いでいる現状です。


しかしまあそんな状況でもロードバイクをご注文下さる方もいてくれるので、僕としては必死に踏ん張って頑張るしかないというか・・・当店を信用して自転車を買いに来てくれるお客様に対する感謝の気持ちで一杯です。



年末に完成したエヴァディオ・ヴィーナスRSです。


ご注文頂いたお客様は年末年始とお仕事が忙しかったそうで年が明けてのお渡しとなりましたが、今回の完成度に喜んで下さいました。


マツダの『ソウルレッドプレミアムメタリック』という広島カープがヘルメットに採用しているのと同じ色で仕上げています!


これはカープファンなら感激するでしょう。(河野さんはカープファンなのでこの自転車を見てテンションが上がっていた)


床の間に飾って『加茂鶴』で晩酌とかになるかも知れませんね。


しかもシートピラー(シートポスト)まで塗装して頂いているのでかなり高級感があります。


そのエヴァディオですが、今年に入ってからヴィーナスRSとバッカスSLの価格を値下げしました。


OPEN価格ですので具体的な価格は言えませんが、これまでベース価格が税込み300240円だったものが、カラーオーダー(システム2)でも税込み30万円未満でご用意できます。


まったく同じ仕様であれば最大で約10万円くらいの値下げが可能になったという事です。


参考として昨年組み立てた写真のヴィーナスRSはアルテグラ仕様でホイールはRS25!

BBもスクリュータイプのプレスフィット(セラミックベアリング)にしてハンドルもカーボン製、エアフィットサドルにタイヤもパナのレースエボシリーズ。

LOOKのペダルも全て込みで約60万円です。(組立工賃も含む)


因みにロゴの書体とかわざわざこの車両の為にデザインし直しているのですが、書体の変更や、好きな言葉や文字も入れられます!

漢字のロゴを入れるのもカッコいいと思います。


ところでエヴァディオのフレームが安くなった理由としては、大手メーカーのロードバイクが軒並みディスクロード化している背景が原因だとの事。


トライアスロンバイクのCEEPOでさえディスク化への移行を余儀なくされています。


自転車業界のこの変動を、人として本当に許せないというのが僕の本音です。


くどいようですがロードバイクに油圧ディスクなんて不要です。


カーボンリムを使いたい人には一見メリットがあるように思えますが、そもそもカーボンリムにした理由って何?ホイールを軽くしたかったんですよね?


特にヒルクライムなどではホイールの軽さはタイム短縮の為のアドバンテージになります。

ディープリムがその見てくれの良さだけで流行っている現在においては尚更、カーボン製リムの軽さのお陰で超軽量エアロホイールなんてものが存在する訳です。


そのリム一本の重量がアルミなら400~600gの物を、カーボンにする事で250~450g程度にできるので、前後で概ね300gの軽量化ができる計算になる。


ところがディスクブレーキはキャリパー単体の重量はともかくとしても、他にローターの重量とローター台座を必要とするハブの重量も重なり、更にはディスクブレーキキャリパーの台座の分フレーム重量も増す。


また従来のブレーキはリムブレーキなので、ホイールの遠心力による応力を気にせずにブレーキコントロールができますが、ディスクブレーキの場合はホイールの中心を止めるシステムになるので、タイヤの転がる遠心力とホイール中心の止まろうとするエネルギーが反発し合ってホイールに余計な応力が発生します。

それはフレームに対してもキャリパーの台座周辺をメインに負荷をかけてしまう為、その応力に耐えられるフレームを作るとなると、「剛性を増す=重量増し」になる事は理解できるかと思います。


なのでリムで300g軽量化した分のアドバンテージはあっという間に失われ、むしろ重くなるというのが理屈です。


少なくとも安全性をキープできるレベルのロードバイクを組み立てる事においてはディスクブレーキ化は確実に軽量化の妨げになります。


更に油圧ディスクはブレーキを握りっぱなしで峠を下ったりすると、たちまちブレーキフルード(オイル)にエアーが噛んでしまう。


というのも組み付けの際、フルードと一緒に空気がキャリパーやブレーキライン内に入ってしまうので、可能な限りエア抜きをして仕上げるのだけど、抜き切れない微量な空気が悪さをする訳です。


空気はブレーキの熱によって膨張します。

膨張した空気によってフルードが押し出され滲み出たりもします。

つまりエアーが噛んでフルードの量が減る事で油圧が低下し、ブレーキがスカスカになって効かなくなる現象を甘く見て欲しくないのであります。


神戸で言うなら六甲山の下りでそういう状態のブレーキで走れば確実に死にます。


メーカーの開発者は『初心者ライダーが増えるという事は、即ち平均的にロードバイクに乗る人のライディングスキルが年々低下している事実に繋がっている』という事を理解していないのだろうか?


言い方は悪いけど・・・

ハッキリ言って下りのブレーキングなんてみんな下手くそだぞ~!

ビックリするくらいブレーキレバー握りっぱなしで、ブレーキタイミングもくそも無い!

コーナーワークもド素人ばかり。


レースを走っている人ですら下りのブレーキングが下手な人が多いんだから、初心者ライダーに油圧ブレーキなんて勧めたらあかんやろ?


これが油圧ディスクを推奨したくない最大の理由です。


そして死人が続出してウーバーイーツ並みにニュースで問題視されるようにならない限りは、きっと自転車業界はディスクロードを前面に押し出すのでしょう。


愚かです。

消費者をバカにしています。


新しい風を吹き込ませて業界の利益を回復させたいという思惑は解らなくもないけれど、メーカーがすべきことはそこじゃないでしょ?


『中国や台湾に外注(丸投げ)で作らせたフレームに自社のロゴを貼るだけの売り方』を辞める事から考えて直して欲しい。


もう一度20世紀のように、各メーカーの職人が競い合って作る自転車に乗ってみたい。(環境問題云々で難しくなってはいるけど何かしら手段はあるはず)


3DーCADで設計されたカーボンモノコックフレームがダメだとは言わない。


エヴァディオのヴィーナスRSのように、ワクワク爽快にさせてくれる名車が偶然生まれる事だってある。


でも職人の魂の籠った自転車の良さはまた格別なものである事を多くの人に知ってもらいたい。


油圧ディスクが悪いとは言わない。

しかしMTBやオフロードバイクには大きなメリットを感じるが、ロードバイクに対してはデメリットの方が多いと感じる。(ロードの場合のメリットは小さな握力でもブレーキを利かせられるので、女性でも安心して下りを走れるというところだけ!)


実際に昨年のツール・ド・フランスでもエース級の選手が敢えてリムブレーキのバイクで走っているシーンを確認しています。


チームによってはバイク供給メーカーの意向に逆らえないところもあったみたいですが、レース中のトラブル対応など、様々な面でのメリットを考えた結果、リムブレーキを選択するに至ったチームも少なからずいたという答えが証明された瞬間です。


「今こそ流行りに乗ってディスクロードに乗り換えましょう!」


僕が心底吐き気がする言葉です。

なにが「流行りに乗って」やねん?って言いたくなってしまう。


この際だから言っておきたい・・・


自転車にしてもファッションにしても、確かに流行りというものが存在します。

しかし新しい自転車だから古いモデルより性能が上か?って事には絶対に繋がらない。


結果的に中身の無い製品はすぐに廃れるだけ。


逆に良い製品はロングセラーとなったり、廃版になった後も長く語り継がれるようになる。


コルナゴのC40然り、キャノンデールのCAAD8然り、SーWARKSのターマック3然り・・・


恐らく今再販しても売れる自転車だし、最新鋭の自転車よりも完成度の高い良い自転車だと思う。(コルナゴはフェラーリエンジニアリングとの業務提携が無くなったので当時と同じクオリティのC40を復刻する事はかなり厳しいとは思うけど)


ブランド志向の強い日本人は何でも新しい物とか流行りに流されがちですが、自転車にも車やオートバイがそうであるように、揺るぎのない名車と呼ばれる作品が少なからず存在する事を忘れないでもらいたい。


それらを知らずしてこれが良いとかこれがダメなんて話も無いでしょ?


少なくとも僕は1990年代以降のロードバイクで名車と呼ばれる自転車は半分以上乗った経験があります。

良い自転車はほんの数km試乗しただけでもその良さが判るものです。


僕はその感覚を武器にこの商売をしています。

うちでロードバイクなり自転車を買って頂くお客様にはそこを信じてもらえれば良いと僕は思っています。


だからこそ自転車は有名ブランドのネームは勿論、最新の素材とかギミックとかに囚われず、中身で勝負をしてもらいたいというか・・・


何処までも僕は一人のサイクリストであり自転車マニアなので、正直な話・・・業界の売上とかどうでもよくて・・・

「どうでもいいから各メーカー・・・頼むから正直な製品づくりをしてくれよ!」って気持ちしかない。


そもそもロードバイクの完成車売りにはいい加減うんざりだ!


以前のようにフレーム売りにして好きなパーツで組み立てさせてくれ!


誰にでも入門しやすい環境作りは解るけど、コストダウンの為にゴミみたいなパーツを付けて売るのをやめてくれ!


『自転車(フレーム)=作品』に対して失礼!失礼!失礼!

ロードバイクは庶民の自転車ではないし、また金持ちの所有欲を満たす為だけの道楽でもない!

乗る人間を選ぶ乗り物じゃないとその価値が無い!

ロードバイクに乗りたかったらロードバイクの歴史を勉強しろよ!

心からロードバイクの魅力や真髄を崇拝してから手に入れてくれよ!

誰でも簡単に手に入れて乗れるような乗り物だったらロードバイクである意味が無い!

メーカーの看板に泥を塗っているだけじゃないか!

それが今度は油圧ディスクで起死回生を狙っている訳?


じゃあせめて作業性を良くする為にブレーキラインを外付けにしてくれよ!

どうしてフレーム内に内蔵させる?

見てくれの問題だろ?不細工だから。

でもそのお陰でエア抜きがどれだけ大変か!

ブリーディングキットを上手く使えって?

それに頼っているから注油口が狭くなっている訳?


結局ユーザーが自分でエア抜きやフルードの継ぎ足しができないって言うもので自転車屋で作業する訳だけど、どれだけ場所と時間をロスすると思っているの?


そんな事情も込みで工賃は割高になる。

自転車屋はそれで工賃を取れる仕事が増えるんだから良かったじゃない?って思っている上から目線のメーカーとかもいるよなぁ~。


工賃が上がるとお客様の反応も悪くなるので、自転車屋は板挟みになっているというのが真実。

ハッキリ言って迷惑!邪魔くさい!

お客様の為でなかったらそんな作業したくない!


「ああ・・・新年そうそう油圧ディスクのネタだけで、なんでこんなに毒を吐かんとならんねん!」


くどいようだが油圧ブレーキを全否定している訳ではない。

あくまでロードバイクには必要が無い!と言っているだけなので誤解の無いように願いたい。


そもそも製品には何の罪もない。

僕が嫌いなのは「何でも流行りに乗り遅れるな!」っていう軽薄な風潮と、今後リムブレーキが廃止されるようなガセネタを広めて不安を煽っている一部の人間であり、決して自分の意志と責任でディスクロードを購入した人を非難しているのではない。


当店でも以上の注意点を説明したうえで、それでも一度どんなものか乗ってみたいから欲しい!っておっしゃるお客様には油圧ディスクのモデルも組み立てて販売はしています。


そういう意味でも誤解の無い事をご理解頂きたい。


どちらかと言えば・・・ロードバイクをヤフオクやメルカリで転売されるような、庶民の乗り物にしてしまった自転車業界に対する嫌悪感が、ディスクロードをレギュラー化に移行させている現状を目の当たりにして爆発した感じです。


(念の為に付け加えると・・・僕は元々ロードバイクをはじめ、自転車競技の面白さを日本でも広く知ってもらいたいと思っていた側の人間ですが、ロードバイクの価値を下げてまで自転車人口を増やしたかった訳ではありません。)


正統派のロードバイクを作っているメーカーがそのような風潮に流されてディスクロードに移行したり、リムブレーキのモデルを値下げせざるを得ない状況に追い込まれている現状に怒りを覚えたので、それで今回言いたい事を言わせてもらいました。


僕が求めているのは「この自転車に出会えて良かった!」「この自転車を勧めてくれてありがとう!」っていうお客様の反応です。


その為に素晴らしい製品を作って提供して下さる自転車メーカーさんには心からリスペクトしています。

本当にありがとうございます!


そしてコロナで皆さん大変な時期ですが、今後もよろしくお願い致します!



尚、1月10日より新しい仲間が増えました!


サヨちゃんといいます。


それこそ油圧ディスク搭載のグラベルロードに乗っている彼女ですが、自転車愛に満ちた新人スタッフなので、またご来店の際は仲良くしてあげて下さい!


高校生の頃に自転車で四国一周をした事もあるロングライド好きな子なので、知識はまだまだ初心者ですが、楽しいサイクリングの経験談など色々聞いて頂けると幸いです。