2018年8月31日金曜日

今更かも知れませんが、皆さんはちゃんと自転車保険に入りましたか?

お店に突然「以前そちらで自転車を買った者なんですけど、僕って自転車保険に入ってましたっけ?」という電話がかかってきました。
そもそも「貴方は一体誰ですか?」ってところから始まります。
乗っている自転車のメーカーも判らないと言うもので、防犯登録番号からデータを拾うより仕方なく・・・ というか、乗っている自転車の事も解らない人って、どれだけ無頓着なの?って思います。(笑)
コーダーブルームやブリヂストンなら初年度のみ1年間の保険に入っている場合があるので調べたらアサヒサイクルの自転車でした。
アサヒサイクルの場合は『安心パック』というものをオプションで追加できます。
その場合自転車保険に相当するものと、盗難補償が1年ないし3年で加入できます。
いずれにしても任意です。
入るか否かはスタッフが必ず確認しているはずなので、入会していないとすれば、ご本人さんがお断りしている訳なので、僕らの中ではご自身で自転車保険に入っているか、自動車保険の特約にでも入っているのかな?って判断になる訳で・・・
っていうか、保険に入っているかどうかを自分で把握していないって何なんでしょうか?
今回はお客様が一時停止違反をして左から優先道路を直進してきた原付と接触して・・・
前輪が大破し、相手の原付も破損し、ライダーが軽傷? なので結果的に大事にまでならずに済んで良かったのでしょうが、相手が死んでいたらどうするつもりだったのでしょう?
ちょっと自覚が無さ過ぎるんじゃないでしょうか?
自転車に乗っている人を、バイクや車のドライバーが軽視する傾向は少なからずありますが、自転車に乗る人も所詮自転車だから・・・って軽視している事が多いという実例の一つだと感じました。
ちゃんと自転車保険に入っているかどうかを常に確認させてもらってはいますが、中には入っていなくても「大丈夫。」って言葉で胡麻化している人もいるでしょうから、ちょっと怖い話だなと・・・
我々自転車屋も今一度、その辺の意識を改革しないといけないなと思い知らされました。

2018年8月25日土曜日

走行会再開!と言ってもリハビリ走・・・

8月18日(土)より走行会を再開しています。

僕も先日奥穂高岳に登ってモヤモヤした気分も随分とスッキリしたので、また自転車に乗りたいなぁと思えてきました。

18日(土)は山手幹線を東向きに走ったのですが、珍しく東の風で思いのほか速度が伸びず、ダラダラと走ってしまいました。

久々の芦屋ライト坂・・・

こんなにきつかったっけ?と思えるくらい疲れました。(笑)

本日25日(土)は山の方の天気が思わしくなかったので、進路を西へ・・・

そしたら西の風。

どうにも向かい風に好かれて仕方ないというか・・・


須磨までノンストップで走り、コンビニで休憩後・・・

須磨寺から起伏のあるルートを選んでインターバル。

先週よりは強度の高いトレーニングにはなりました。

しばらく自転車に乗ってなくて、もう身体が錆びついてしまったという方、是非参加して下さい。

当分の間は無理のないメニューでゆる~く走るつもりです。



そう言えば余談ですが、今朝の須磨駅周辺・・・様子がおかしかったです。

やたらと警官があちこちを歩き回っており・・・

ただ事ではない雰囲気でした。

もしかして逃走犯?とか思っちゃいますよね?



来週はどこを走ろうかなぁ~。

2018年8月21日火曜日

穂高連峰日帰り縦走にチャレンジ!しようと思った経緯。


今回チャレンジするに至った経緯は複雑で・・・

まずタイミングを今逃したら、当分こういった事が出来なくなると感じた事。

あとは当店の若いスタッフたちは、勝手に自分の力量をこんなものだと決めて生きているような節があって、新しい事にチャレンジするにも、例えば僕なんかがある程度の素材を与えてあげないと、次の段階へ進めない訳。

間違っている!

与えられた事だけをこなすとか、与えられた事すらまともにできないとか・・・

最近の教育の在り方も随分と変わってきているのだろうが、それ以上にネットや携帯電話の機能による便利社会というものの影響が大きいのか、『自分で考える』とか、『自分で調査する』といった、人間の好奇心や探求心を高めるための基本行動が出来なくなった人が増えてきているような気がしてならない。

簡単に模られた部品ですらも、親切でやさしい設計図を見ながらではないと組み立てれないような人が増えている現状をどうにかしないと、今後日本の経済は成長しなくなってしまう。

そして「自分で考えろ!」とか、「それがこうなったら次はどんな事象が考えられる?」と言われて、回答に困惑している若者を見て、逆にもっと困惑する僕とか・・・

いくら噛み砕いて説明しても、その場は理解してもどこか他人事みたいになっている。

自分の行動に反映するまでに随分と壁が多いようなのです。

挙句の果てには「店長は元々何でもできるからそう言うんでしょ?」って反発までする訳で・・・

まあ経営者の辛さはそれとは別次元に存在するので、仕事のできる出来ないとかって低次元な話で、わざわざ不協和音なんて作っている暇なんて無いんですけどね。

僕も随分と挫折を味わって、その度に絶望感と向き合い、立ち直って・・・また挫折・・・。

その繰り返しで頑張って、ようやく自分の力で経営者になれた訳で、しかもまだまだゴールは遥か彼方である。

それでも若いスタッフたちにとっては、日々の全てが経験であり勉強って事が今一つ判っていないというか、もっと初歩的な事で躓いて自分のポテンシャルを過小評価している訳。

それで「わかりません!」「できません!」・・・酷い場合は「やりたくありません!」ってなってしまったら、その人・・・いつになったら一人前に近付くんですか?

半人前にもならないうちに判断して諦めて・・・それで転職して。

いつになったら正解に行き当たるのかなぁ~って思う訳。




①『思いたったら即行動!』

②『わからなかったらすぐに調べる!メモを取る!』

③『抜かりの無いように計画を立てる』

④『一度決めた事は納得がいくまでやり遂げる』

⑤『上手くいっても失敗しても、反省して次に生かす!』




こんな当たり前のことも出来ない人が多い世の中。

なので、僕は僕なりに身体を張って、命を張って、若いスタッフに示してやらなきゃって想いで今回のチャレンジに臨んだ次第です。

僕は熟練の登山家でもなんでもありません。

タダの素人です。

単純に一般の人よりは山への知識があるってレベルで、過去にも危険な事はいくつも経験しているだけ。

今回穂高連峰に登ったすべての登山者の中でも、限りなくペーペーであった事は間違いない。

だからこそ謙虚に歩きました。

縦走は体調と天候の不運もあり失敗したけど、高山病も克服したし奥穂高岳の山頂には登った。

一つ判断を誤ったら滑落死する場所を、暴風雨が吹き荒れる中歩いた。

「文句があるならお前がやってみろ!」って思えるくらいの事はやってきたつもり。

ここまで命を張ってメッセージが伝わらないようなら、僕はこれからどうやって人を育てればいいんだろう?

もしも・・・「でも結局無事に生きて帰ってきて、別に死んだ訳じゃないじゃないですか?」なんて言われたらちょっと・・・

もう言葉が浮かばなくなってしまいますね。(苦笑)




後は自分自身に対する刺激も必要かな~って。

まあ経営者なんてやってる時点で一般の平穏な生活なんて無理なんでしょうけど、そもそもが『無難で失敗のない普通の生活』っていうのが性に合わないので、時々死ぬほど強烈な体験をしないと生きている実感が湧かないたちなんです。

なので今回はそういう意味では少し吹っ切れた気分になったので、とても清々しいです。

8月18日(土)より走行会も再開しました。

まだまだしばらくはリハビリ走になると思いますが、同じようにしばらく自転車に乗っていなくて、走る自信が無いって方は是非、一緒にリハビリしましょう!





それと・・・僕の祖母は死んだら河童橋から散骨してくれ!だなんて無茶なお願いを僕にする訳なんですけど・・・

改めて河童橋からの景色を思い浮かべると・・・

なるほど・・・今回登った山だったり、行けなかった山もある訳で・・・

上高地の方で許してもらえるなら、祖母の願いは叶えてあげたいなぁと考えたりもする。

ただ・・・3回忌とか7回忌とかの度に、僕はあの山に登らないといけないのか?

そういう風に考えるとメッチャしんどいな。(笑)


いずれにしてもまたジャンダルムに登る為にリベンジします!

あの山には天使が待ってくれているので・・・



とりあえず今回の登山を終えての結論としては・・・


この地図のレコードを修正して計画を立てる必要があるという事。

また日帰り縦走をするなら朝の3時までにきっちりと出発。

荷継~穂高岳山荘の区間を通常3時間半のルートと考えて、2時間半~3時間程度で登るようにする。

それが最低限の鉄則。

それで余力が残せないようなら日帰り縦走は無理しない!

むしろ西穂山荘に一泊してからの、正規の順路で歩く方が安全である。

今回歩いてみて、僕は穂高連峰に惚れ込んだのですが、他人に勧められる登山道かと問われると・・・

絶対に勧めない!

最高の景色と最高の(命に代えられないくらいの)体験がそこに待っています。

でもそれと同じくらい、高い確率で死亡するリスクも待っています。

なので迂闊には登って欲しくありません。

僕はアイガー北壁をザイル無しで登りたいとか、エベレストに登りたいとか、チャンスさえできたら、是非チャレンジしたいとか思っていますけど・・・

穂高連峰は一般の登山道って考えたら、あまりにも強烈過ぎるって事を、僕は今回身を持って知る事ができました。

そんな大げさに言うなよ!って思う人は、論より証拠なので行ってみて下さい。

僕はあえて勧めませんが、そういう人には死ぬほど怖い思いをしてもらった方が世の為です。

きっと命のありがたさを実感し、他人にも優しくできるようになるでしょう。

以上で報告は終わりです。

穂高連峰日帰り縦走にチャレンジ!(第十話)生きているって素晴らしい!


11:40

ようやく白出沢出合に合流!

ここで重太郎橋で先へ道を譲ったCさんに追いつく。

そしてなんとAさんもここで休憩していました。

Aさん・・・ちっとも見当たらなかったので、まだ山荘にいるのか・・・どうしているんだろう?って思っていたんですね。

ここで5分程お互いの健闘を称えつつ休憩。

Aさんから僕のアドバイスが役に立ちましたと言われて嬉しかったです。

やはりここまでの下りは想像以上に危険で辛かったみたいです。

「でもここまで下れば後は帰ってきたも同じ!」

Cさんはそう言って寛いでいます。

「僕は途中で岩に脚が挟まって、今更になって痛いので、先にボチボチ歩いていますね。」

そう言って僕が先に歩き出す。

その前をさっきまで寝転がって休憩していたおじさん(Dさん)と、槍ヶ岳方面から下ってきた別のパーティが歩いている。

「お疲れ様で~す!お先に失礼します~。」って抜いて行ったら。

「お兄さん、随分と軽装で登ったんだね?そのリュックの中って何が入っているの?」

そうDさんに声を掛けられ、しばらく一緒に歩く事にしました。

Dさんは大阪から来た『お一人様』の56歳。

「リュックの中は・・・今はこのハイドレーションの2ℓパック1つしか入ってませんよ。その他にはライトが1本とクマ対策のスプレーとか・・・。」

「えぇ~っ!それだけしか持ってきていないの?」

「元々日帰りで縦走する予定だったので、着替えとかも一切車に置いて来てしまったんですよ。それにこのリュック・・・ウインドブレーカーと補給食を入れたらもうパンパンになってしまうくらい容量が小さいものですから。」

「なるほどなぁ~。確かにお兄さんの言うように西穂~奥穂の縦走だったらそのくらい装備を最低限にしないと、そんなスピードでは歩けないよなぁ~。」

「僕は結局失敗したんですけどね。昨日ここを登って高山病になって午前中に山荘に着いていたのに倒れてしまって、今日は朝から雨で・・・とりあえず奥穂の山頂までは行ったんですよ。ただその先の馬の背で嵐になっちゃって惨敗!。」

「今日の天候だと行かなくて正解だよ。」

「でもその後2人程単独で縦走に向かった人がいて・・・止めたんですけど・・・。」

「その人たち大丈夫かなぁ~。生きていたらいいけど。」

Dさんは昨日西穂山荘を出発して穂高岳山荘まで13時間かけて縦走。

今朝は穂高岳山荘からゆっくりと白出沢ルートを下ってきたそうです。

「ジャンダルムも登ったけど景色が拝めなかった。」って残念そうでした。

Dさんは若い頃から山好きで、毎週のように大山に登りに行ったりしているそうです。

しかし数年前から一気に体力が落ちて、このままだったらもう穂高を歩けなくなる・・・

そう思って歩けるうちにまた縦走に来たのだとか。

Dさんも奥さんや家族には、「もしも滑落して生きていたとしても、植物状態で意識が戻らないようだったら、絶対に延命処置はしないで欲しい。」と書き置きしてきたとおっしゃっていました。

やっぱりここに来る人ってみんな只者じゃないですよね。

朝食の席でもみんなお互いを『変態の集まりだ!』なんて言い合っていましたが、半端じゃない人ばかりが何百人も集まっていたなんて、ある意味奇跡のような場所にいたんだなぁ~って、改めて感激しました。

それとDさんもそうですが、Cさんもストックを駆使して歩いていました。

Dさんにストックの事、恥ずかしながら聞いてみたんですよ。

「ストックはあった方がいいよ!疲れ方が全然違う!縦走路では使えないから邪魔で捨てたくなったけど、白出沢の下りではものすごく助けられたね。」との事。

僕も次回はおとなしく西穂山荘に前泊してからの、穂高連峰縦走~白出沢下山のルートにして、その際はストックを準備しようかな?と思うのでした。

その後穂高平小屋の手前でAさんとCさんに追いつかれたのですが・・・

「これからどのルートで行きます?僕は昨日近道を歩けなかったので、今日はそこを歩いて帰るつもりですが・・・。」

「いや・・・僕は多分そこを歩いた記憶があるのですが、今は林道をのんびり行きたい気持ちなのでパスします。」とCさん。

「そうですか。ではまた後で会いましょう!」

そう言って僕だけ近道ルートに入る。

本当に他の人たちは誰も入って来なかった。

それもそのはず・・・


道はところどころ崩れかけで、沢のある辺りも大きく崩れてかなり危険でした。

以前林道を工事関係車両が通る為に、迂回ルートを作ったそれがこの道らしいのですが、まさかここに来てこんなリスキーなルートを歩く事になるなんて・・・

そして・・・


近道への分岐点に出てきたら、ビックリするくらいのタイミングでAさん&Cさんに再会する。

「下りの場合は時間的にどちらも大差ない・・・むしろこっちは無駄に危険だった事になりますね。」って結論に至り・・・

Cさん曰く、「確か僕の持っている山の地図では、もうここは廃道になっていたはずですよ。」って・・・先に言ってよ(笑)

「確かに廃道にしてくれ!っていうくらい酷い道だった!ここの近道の件はブログでボロカス書いておきます!」

そう言っているうちに・・・


12:58

新穂高ロープウェイ登山口に到着!

皆さん山に敬意を表し、手を合わせてお辞儀をする。

無事に下山できてありがとう!


新穂高ロープウェイの駅でAさんCさんと3人で打ち上げ!

さすがにアルコールは無理なのでコカ・コーラで!

いや、生まれてこの方・・・ここまで美味しいコーラを飲んだことがない!

そのくらい下山直後のコーラは格別でした。

Aさんは愛知県から・・・Cさんは滋賀県からお越しだったそうで・・・

またこの界隈で出会えるかな?

「また山で出会った時はよろしくお願いします!」

そう言ってここで皆さんと解散し・・・


僕はロープウェイで鍋平高原の駐車場を目指す。

ここで横浜から登りに来て下山した2人と仲良くなる。

2人も毎週どこかの山を登っているらしい。

やはりそれくらいの人じゃないと穂高は登っちゃいけないレベルのようだ。(笑)

横浜の2人は帰りに松本で1泊するらしい。

うらやましいなぁ~と思いつつも、僕はもう早く帰りたいという気持ちでいっぱい。

そして鍋平高原に着いた瞬間局地的な大雨・・・

ここに来て大雨とか酷い!と思ったら、10分で止んだ・・・何なんだ!


靴を履き替えようと思ったら右脚の挟まれた箇所が血で滲んでいた。

今まで全然気付かなかったけど、一応ケガをしていた事が判った。

今回神戸を出る際にK林様から「無事に帰ってきてもケガしてたら怒るで!」ってメールをもらっていた事を思い出す。

「うわっ、やべぇ~。」

だがそれ以上にやばかったのが帰りの道中。

まずは久々に新穂高の湯で温泉に浸かる。

ここはロケーション的にも良い温泉なんですけど、奥飛騨温泉って大半が混浴なので、連休や盆休みだと若いお姉さん待ちの変なオジサンやお兄さんが、朝から夕方まで陣取っていたりする事があるんですよ。

この日はまさに待ちだなって思えるオジサンが1名と、見せたがり屋のオジサンが1名いて、僕が入る前に橋ですれ違った若いお姉さんが「なんであんなに堂々と見せたがるの?」と文句を言っていた。

僕もそういう異様な空気に耐えられなくて、10分程入浴して温まったところですぐに退散。

せっかくの綺麗なロケーションが台無しです。

そこから車で平湯温泉までは裏道などを駆使して、道に不慣れなのろのろサンデードライバーをかわしつつ帰ってきたのですが・・・

平湯トンネルを抜けて朴の木平に出た辺りから・・・

遅い!ブレーキ踏み過ぎ!ブレーキのタイミング滅茶苦茶!な車が増えてきて、一向にスムーズに進まないのである。

しかもワイパーを最速にしても前が見えないくらいの土砂降りの大雨!

とりあえずお土産・・・と思って板蔵ラーメンに入ったら、ドライブイン部分と完全に敷地を分けてしまったみたいで、高山ラーメン以外のお土産がない。

駐車場も完全に敷地で分けられているので、隣のドライブインに入るには一度国道158号線に出てから入り直さねばならない。

面倒だ!

それに板蔵ラーメンとは旅行会社時代の付き合いもあり、無視もしたくないので軽食だけ頂いて帰る事に・・・

そしてその僅か20~30分の間に国道158号線の混み方がおかしなことに・・・

まあ大半の人はここから高山市内に入るので、中部縦貫道を目指す僕は混雑から脱出できるのだけど・・・

そう思ったら高山西で渋滞!

ちっとも進まない!

こんなんじゃいつになったら神戸に帰れるのやら・・・

留美さんに渋滞情報を教えてもらう。

「白鳥まで渋滞箇所が点在。特に飛騨清見の渋滞は真っ黒!」

それを聞いた僕は清見で降りて、国道158号線~156号線で白鳥まで走る。

下道の方が空いていて走りやすい。

一時は白川郷まで行って白山スーパー林道(現・ホワイトロード)を走り、そこで温泉に入り直してから、小松か片山津辺りから北陸道に乗って帰るのも有りかなぁ~って思っていたのですが、残念ながら土砂崩れで白川郷までの道が塞がれており・・・

白鳥までの一択しかない訳です。

白鳥のドライブインの支配人に連絡したら・・・

「何、東さん近くにいるの?」って言われ、「そうなんです。」って返したら・・・

「ごめんねぇ~。今日は僕が休みなもんで、みんなもう店を閉めてる時間だよ。」って。

まあ仕方がないですよねぇ~。


油坂峠から雲海が見えたので写真を撮ったのですが、高山の方はすごい積乱雲に覆われています。

結局お土産を買うことができないまま、九頭竜湖を抜けて越前大野からバイパスに乗り、福井北より北陸道~舞鶴若狭道を経て帰宅しました。

14時半には奥飛騨温泉郷を出発したのに、神戸に着いたのは22時過ぎでした。

トイレ休憩は北鯖江PAで一度取ったきり、更にガソリン追加で寄った西紀SAのガソリンスタンドでは、スタッフさんにガソリンタンクの蓋の金具を壊されて・・・

帰りは散々でした。(苦笑)

クラッチの踏み過ぎとアクセルコントロールに疲れて脚は棒のようになってしまい・・・

次の日までペンギンみたいな歩き方になっていました。


ちなみにこれが今回の装備。

ハイドレーションリュックとヘルメット、ウインドブレーカーにミドルカットの超軽量ハイキングシューズ。

あのペットボトルが、僕お気に入りの『塩と夏みかん』です。


リーボックなので軽いし歩きやすいのですが、靴底に登山靴らしさは一切ありません。

それでもグリップは十分合格レベルだと思いました。

強いて難点を挙げるとすれば爪先のゆとりが・・・

親指の内側がタコになって痛かったです。

今回出会った登山者の方々も「親指の爪が割れてしまった。」とかそんな話多かったです。

爪先には遊びが無い方が登山に適しているかも知れません。


散々怖い思いをしてきたからか・・・

何か吹っ切れたような気分で、怖いものがなくなったというか・・・

車の運転は20代の頃の運転に限りなく近い、キレッキレの運転に戻ってしまいました。

良いのか悪いのか・・・

しばらくアドレナリンが抜けない感じです。

ただ・・・改めて生きている事の素晴らしさを噛み締める事ができたというか・・・

また山に登りたい!

また死ぬほどのスリルを味わってみたい!

ここ最近ずっとそう思えてならないです。

穂高連峰日帰り縦走にチャレンジ!(第九話)下山するまでは油断するな!


しばらく下るとまた雲が切れた。

道のりはまだまだ長い。

昨日7時間で登ってきた道を何時間で下れるだろう?

後ろの外国人2人組の浮石を崩しながら歩く音にイライラ、ドキドキしつつも、今回は冷静に印を探して道を選んでいる。


すると雪渓まで下りてきた辺りで昨日の過ちに気付かされる。

「何だ!最初からこっちを歩いていたら、印通りに歩けていたのかよ!」

下る場合は右手、登る場合は左手の岩壁沿いに、歩きやすい道が矢印や〇印などで示されている。


今下りてきた道を振り返る。

何となく階段状に岩が並べられているのが判るでしょ?

こうなっているかいないかの違いは天地の差です。


昨日僕はあの●印に惑わされて雪渓寄りの道を登りましたが、足場がしっかりしていない箇所が多くて随分苦労しました。

第三話の35枚目の写真を参照して頂ければわかる通り、登りの場合は左の岩壁側に大きな〇印があるので、それを頼って進んで下さい!

ちなみに山荘からここまで約1時間で下ってきました。

昨日はここから山荘まで2時間以上かかっています。


しかしここまでは岩壁沿いで問題ないのですが・・・

逆にここから先は印が消えて、一切のルートが判りません。


僕よりも20分程後から下山を開始したはずのお兄さん・・・写真の登山者Cさんです。

このCさんと合流後、2人でルートを探りながら荷継まで下山します。

Cさんは岩壁沿いを探りながら。

僕は逆にこの区間は昨日歩いた道の方が楽だった記憶から、昨日歩いたルートを探しに左方向へ大きくスライド・・・

内心追いつかれた事に焦りを感じて、意地になっている部分もある。(笑)

くだらない邪心のお陰で僕はこの後2連続で滑落する。

大きい岩の方が安定感がある事は間違いないが、あえて細かく砕けたガレ場を下ろうとして、いきなり5m程雪崩落ち・・・

左足の内側のくるぶしを大岩に強打!

幸い僕の落ちた方向には人がいなくて、ホッとしたのも束の間・・・

今度は安全だと思って乗った大岩が2~3m程滑り落ちて・・・

バランスを崩した僕はその岩と別の岩に右脚を挟まれる。

一気に両脚を負傷するトラブル。

ただ痛いとかどうとかよりも、自分の選択したルートが滅茶苦茶だった事に対する苛立ちの方が大きくて・・・

痛みにのたうち回っている暇もなく・・・

Cさんに後れを取った事に焦って追いかける。

ちなみに僕は印のある正規ルートで浮石があった場合、先に歩いた人が崩していた場合などは、全て岩の位置を直して、次に歩く人が安全に歩けるように整えながら下山しています。

「飛ぶ鳥あとを濁さず」って訳じゃないけど、そういう心掛けをする人がいないと、だんだん道が悪くなってしまうでしょ?

昨日もそうだったけど、道を崩してそのまま知らん顔して立ち去っていく(下山の)登山者が結構多かったので、「自分さえ歩けたら後の人は滑落したっていいのかよ!」って、
ちょっと頭に来ていたんですよね。


結局この中間区間の攻略方法が判らないまま・・・


荷継小屋跡のガレ場が見えてきました。

9:50荷継に到着。

昨日の登りはここから3時間40分かかったんですよ?

今日は半分の時間で下ってきました。

次回登る時は、中間の区間だけ何とか上手くこなせば、山荘まで3時間かからずに行けそうだという確信は持てました。

Cさんはガレ場で休憩。

僕とCさんと本日登ってきた登山者とで3分程会話。

「ここからどのくらい登れば山荘に着きますかねぇ?」

「新穂高ロープウェイからここまでどのくらいで来ましたか?」

「5時間くらいかかったかなぁ?」

「そうですか、僕は昨日ここまで3時間20分で登ってきて、ここから山荘まで3時間40分で登った事を踏まえて計算すると、ここからあと5時間半くらいは覚悟して下さい!と言いたいところなんですけど・・・。」

沢に入ってから左側に沿って歩けば歩きやすい旨を教える。

「ただペースは無理しないで下さい!ここからまだ標高差770mを一気に登らなければいけないので、無理すると昨日の僕みたいに高山病になっちゃいますよ。」

そうアドバイスをして、僕はノンストップで下る事に。


この白出沢ルートにおいて危険度だけで言うならば、荷継から重太郎橋までが最も道が危険である。


鉱石沢へのアプローチも雨で本当に滑りやすい。

でも極力鎖には頼らないで下る。

ここ穂高連峰に来て思ったのは、「鎖やロープに頼るような奴は来るんじゃない!」って空気が明確に出ていた事。

なのでいつでも頼る準備はしつつも、結果的に頼らないで通過する事が、ここの美学だと僕は勝手に解釈している。(もちろん優先すべきは安全です)


そして鉱石沢のガレ場・・・

印が無いからどこからどう下りていいのか判らない。(苦笑)


でもこの辺りは落石注意区間なので、速やかに通過したい。


それにCさんもあっという間に追いついてくるだろう。


シシウドに見とれていたら滑落しそうになっちゃいますのでお気を付けて。


時々大粒の雨が降ってくるのですが、1か所だけこんな雨宿りゾーンを発見しました!


なんでシシウドってこんな際どい場所に咲いているんだろう?


この辺で道幅40~50cm程です。


とうとう重太郎橋が見えてきました!

ここでCさんに追いつかれる。(Cさんは本当に歩くのが速い)


ハシゴを降りて・・・


今日は重太郎橋で水を飲むことにしました。

今思えばペットボトルに汲めば良かった!って思う話なんですが、ここのお水は美味しかったです。

Cさんも河童君みたいに水浴びを・・・

そう言えば河童君は一体どこへ行ってしまったんだろう?

彼こそインストラクターが見たら「こらまて貴様~!そんな恰好でどこへ行く~?」と説教しそうな感じだったのに、山荘にもいなかったからきっとノンストップでどこかのルートへは進んだのでしょうが・・・

気になりますね。


重太郎橋を過ぎれば、残るは足首を捻りまくる石畳の階段を残すのみ!

しかしここでようやく危険個所が終わったと油断していた矢先に3度目の滑落・・・

するところでした。

何とか左足と両手で踏ん張って、沢に落下しないで助かりました。

この原生林の森を抜ければラストの林道!

あと少しで下山です。

それでは次回でラスト!

穂高連峰日帰り縦走にチャレンジ!(第八話)物事への入り方や姿勢、覚悟とかって・・・

馬の背まで一緒だった人とは奥穂高岳山頂付近でお別れしました。

僕の頭の中は完全に切り替えができていて、ここまで戻ったからには縦走は断念。

そして二度と歩きたくないと思った白出沢を下るしか帰り道が無いので、それも覚悟して穂高岳山荘まで戻る。

山荘近くのトラバースは何度通っても怖くて下を見たくなくなる。

しかし帰りは軽やかだった。

鉄のハシゴも2時間前より冷たく感じなかったので、変な緊張も無く・・・

多くの方とすれ違い、その度に待ったり待って頂いたりしたくらいで・・・

山頂付近から山荘まで20分足らずで帰ってきました。

すれ違う人の多くは、とりあえず奥穂高岳山頂まで行って次を考えるって人と、前穂経由で岳沢を目指している人、せめて奥穂高岳山頂だけ登って山荘に戻る予定の人などで、さすがにもう西穂を目指すなんて人とはすれ違わなかった。

前穂でさえ、そこまでの吊り尾根のルートが決して安全ではないので、この雨の中だと相当の覚悟がないと行くべきではないと判断できる。

「山頂まであと10分くらいですよ!」

「ここを登ったらあとはしばらくの間、緩やかなので頑張って下さいね!」

「その鎖場の後のトラバースだけ気を付けて下さいね。」

すれ違う人、すれ違う人に声を掛け、励まして差し上げる。

良い反応が返ってくると僕も元気になるのでそうしていました。

ただ・・・

ハシゴのところですれ違った、ザイルで繋がれた3人組は違っていました。

いや、正確には真ん中の女性と最後の男性は情報をあれこれ聞いてくれたので、初めてここに登った登山者なんでしょう。

しかし先頭はどうやらインストラクターっぽくて・・・

「これからどちらまでですか?」

「奥穂までです。」

「山頂でUターンですか?」

「そうです。」

「それなら良かったです。僕は西穂を目指していたのですが馬の背で暴風雨になったので断念して戻って来たところなんですよ。」

「そんなの当然です。」

バサッ!と切り捨てられました。(笑)

インストラクター怖ぇ~!

確かにどこの山でもそうですが、『お一人様』に対する態度がきつい人、多いですよね?

何か「山をなめてんじゃねぇぞ!」って言いたげな態度の人・・・

そう言えば岳沢小屋のブログだったかなぁ~、かなり上から強烈な辛口意見を書いていました。

http://www.yarigatake.co.jp/dakesawa/blog/2018/05/post-1190.html

確かに読んでみたら、「なるほど・・・そりゃ酷いな。」って思える内容でしたが。

根本的に山の情報を何も勉強せずに登る人が増えているってのは、解る気がします。

ネットで情報がすぐに調べられるし、ネットで誰かの記事を読んだり、誰かのアドバイスを受けて、それでもう登れる気になる人だっている訳だ。

基本的な知識と経験といった下積みなんて一切必要としない。

今の時代登山に限らず何だってそうでしょ?

僕ら過程を大切にする世代は、そこに苛立ちを覚える訳なんですが。

ネット社会の在り方・・・どう向き合うべきか、それこそ国家レベルで考え直した方がいいかも知れませんね。

僕も日帰り縦走を達成した人のブログに影響されて、今回のチャレンジに至った事は認めますが、穂高連峰のルートや危険個所など、本やDVDで散々研究してから臨んでいます。

身体づくりだけが間に合わなかっただけで、あとは歩けば確信に変わると思ってある程度のイメージトレーニングもしていました。

万が一の場合も含めて、遭難してすぐに連絡が取れなかったり、見つけてもらえなかったりした場合も含めて、保険加入期間も余分な日数分もカバーして加入しました。

それに遺書は書いても死にに来ている訳じゃありません。

遭難したら大勢の人に迷惑を掛けます。

落石など発生させて他の人を巻き込んだら、もっととんでもないことになります。

『自分さえ登れて景色を堪能できればそれでいい!やばくなったらヘリが助けに来てくれるし大丈夫!』

テレビゲームじゃないんだから、そんな身勝手は一切通用しない事をご理解頂きたい。

さっきのインストラクターの態度からは、日頃のそういった案件に対する怒りと、登山客の安全と感動をサポートしないといけない使命感とのジレンマみたいなものを感じました。

7:52穂高岳山荘から今一度、白出沢ルートを見下ろす。


「すんげぇガスってんなぁ。あぁ・・・もうこの道、歩きたくないんだけどなぁ。」

そう思いつつ、親戚と知人に連絡。

この日は本来なら小中学校時代の友人が鹿児島から神戸へ帰ってきているので、10時からハーバーランドで会う約束になっていたのですが・・・(一応前夜に予定変更のメールは送っていたが)

僕が帰る頃には彼も鹿児島に帰らなきゃならない。

ところで・・・僕は雨なのでハイドレーションの水を飲み干さない自信はあったけど、逆に昨日からの塩分不足を気にして、また山荘で『塩と夏みかん』のペットボトルを購入してから下山に入る。


8:00より下山開始!

帰りは印を見失わないように注意して下る。

後ろから外国人(アジア系)の2人組がついてきたが、2人ともガレ場は得意じゃない模様。

2人共ストックを持っているのに何でそんな歩き方?って突っ込みを入れたくなるレベルで、印通りに歩かないし、何度も浮石を踏んでは滑り落ちそうになっているし・・・

ガラガラ・・・と音が鳴る度に僕も後ろを振り向いて・・・

何だかちょっとストレスだなぁ~と思いつつ、落石に巻き込まれないように速度を速めていった。

ではまた次回へ・・・

2018年8月19日日曜日

穂高連峰日帰り縦走にチャレンジ!(第七話)死線


6:25・・・ようやく奥穂高岳山頂(標高3190m)で写真を撮って頂きました。

同じように山荘から登ってきた人や、前穂高岳から吊り尾根を経て登ってきた人など、今ここに30名以上の登山者が集まってきています。

中には「あいつら何言っているか解らないし、記念撮影したくても退かねぇし邪魔で仕方がない!」って文句を言っている人もいたけど、中国人の団体さんも登ってきていました。

まあお国柄が違うので、何かと心配になる事はございますが、彼らもこの北アルプス最高峰まで諦めずに登った勇者の一員ですから、僕はその健闘を称えたいと思います。


そして再び稜線沿いに岐阜県側の雲が切れました。

山頂に集まった登山者の心はここで一つになります。


誰もがジャンダルムの姿に感動している。

なんであんなに武骨で荒々しい姿をしているのに、どうしてこんなにも美しいのだろう?


本当にちょっとした雲の流れや光の加減で違った写真に映る。


それにしてもどこまでも僕の写真に絡んでくるこのカップル・・・

この時もものすごいスピードでピンクのお姉さんがあそこまで一気に走って行ったのだ。

なんか腹立たしい・・・(笑)

病み上がりの僕には到底したいとも思えない芸当だ!

そしてここで動きが発生する。



「雨だと聞いていたのに、こんなにも雲に切れ間が出来るなんて、もしかして西穂まで行けるんじゃないか?」

誰かがこんな事を言ったんですね。

その瞬間1人の男性が西穂高方面へ歩き出したので、僕もそれを追うように歩き始めた。


奥穂高山頂付近にある方位を示す地図。

ガスがかかって道に迷った時はこれを見て判断・・・って、出来るのか?(笑)


奥穂高岳の南西の稜線を一気に下っていく。

いつの間にか雲に覆われていて、もう来た道すらも見えない。

こんな稜線の上を綱渡りみたいに歩いていく

この先には更に切り立ったナイフエッジ状の稜線(登山用語ではナイフリッジと言って痩せ尾根の事をそう呼びます)の上を歩き続ける超危険地帯が待っている。


長野県側・・・落ちたら戻って来れません。

この辺の道幅は40cm無いところもあります。


先に行った人が忍者のように早くて見失いました。

ここは手前の岩を真っすぐ行ったらその向こうは道がありません。

ここを左に回り込んで岩の向こうへトラバース。

向こうに見えている岩はナイフエッジの始まりです。


写真中央のちょっと上に薄っすらと〇印が見えていますが、要するにあそこから岩の上に登ってナイフエッジの先端を綱渡りする訳です。

そしてよく見たら先行する登山者が印に気付かずに岐阜県側へトラバースしようとしているのが見えます。

あそこはあのままトラバースすると、ほぼ垂直になって足場がなくなったら進めなくなる場所。

このまま放っておいたらあの方・・・滑落しちゃいます。

丁度道に迷った事に気付いてこっちを向いたので、僕も手を振って「そっちじゃないですよ~!」って大声で呼び掛けることができました。

「いやぁ~、確かこの辺で大きくトラバースするところがあったでしょ?」

「いや、それは恐らくロバの耳での話じゃないですか?少なくとも僕は馬の背でトラバースなんて話は聞いた事が無いですよ。」

「そうでしたっけ?なんかトラバースできそうな感じだったもので・・・。」

いやぁ~本当に危なかったです。

ある程度熟練の方にもなると、つい新しいルートを開拓したくなる人もいたりするのかな?


〇とか✕の印が混在しています。

✕は『浮石なので触るな』って意味と、『ここから先は危険』の意味があります。

〇を辿って歩くようにします。


まあそんな訳で足の踏み場はありそうでそんなに無いという状況です。



そしてこの後、突然暴風雨になってしまいました。

もっと危険な場所を撮影したかったのですが、カメラを構えるどころか自分の身体を支えるだけでも必死の状態に陥り・・・

馬の背では前を行く登山者が止まってしまい、怖気付いてしまったのですが・・・

「そんなところで止まられたら俺はどうすればいいんだよ~!」な状態で僕も固まってしまう。

両手でナイフエッジの岩をつかんで、ギリギリでバランスを取っています。

真下には落差何mかも判らないような絶壁が左右に広がる。

高さ100mのコンクリート塀の上に立っている(或いは跨っている)状態を想像して下さったら、きっとイメージが近いと思います。

さすがに僕も怖くて震えています。

元々高所恐怖症&落下恐怖症なので、こういう状況は苦手なんです。

風はもう30m/秒クラスにまで吹き荒れています。

まるで台風みたいです。

ガスは深くなって5m先の視界が判らない状態。

しかも眼鏡もびしょ濡れで尚更視認性が低下しています。

ここで向きを変えろって?いやいや、絶対無理!

そんなことやろうものなら間違いなく滑落!

「やばいなぁ~。俺本当にここで死ぬかも知れないなぁ~。」

そう思っていたら前を行く登山者が少し進んで次の岩場に移ってくれた。

それで僕もそこまで進む。

次は最後の下りを降りていよいよロバの耳らしいのですが、もう僕の精神レベルはかなり凍り付いています。

正直このとんでもない緊張感の中で、ロバの耳~ジャンダルム~天狗の頭~間ノ岳~西穂高岳~ピラミッドピーク~西穂独標と歩き続けるなんてあまりにもえげつないと感じるようになる。

今も時々突風に吹き飛ばされそうになっているのだから。

これで雷雲でも発生した時には・・・

ここから先で三点支持無くして歩ける道はない。

もしも岩に掴まっている時に落雷にあったら?

靴はゴム底だけど手はグローブを付けていない・・・

それでもしも落雷による感電死、及び滑落死となった場合、グローブをしていない僕が迂闊だったなんて言われるんだよきっと。

そう思うとこれ以上先に進むべきじゃないって気持ちが強くなる。

すると先行する登山者も「本当はせめてジャンまで行って戻るつもりだったけど、やっぱり無理だ!ここまで荒れてきたんじゃ命の方が危険になる。」

そういって引き返す意思を示したのである。

「解りました。僕もそうした方が賢明だと思います。」

そうして帰りは僕が先導してルートを間違えないように案内。

(馬の背の参考映像)https://www.youtube.com/watch?v=XzEnPq2ijQY

(丁度この動画のスタート地点まで来ていたのですが、暴風で敢え無く撤退。動画では晴れていますが、僕が歩いた時は5m先が見えない視界でした。)

もう迷いが吹っ切れたからなのか、ここに来て僕の動きの切れ味が良くなる。

さっきは四つん這いで震えながら歩いたナイフエッジも両手を突かずにスタスタと歩いて行き、ルートを間違えやすそうな箇所で振り返って声を掛ける。

何とか奥穂高まであと少しのところまで戻ってきたら・・・

天気は少しマシになっていて、「あれ?さっきの馬の背の天気は一体何だったんだ?」くらいに思えてきました。

そこで西穂高岳を目指す『お一人様』登山者とすれ違う。

「これからどこまで向かわれるのですか?」

「西穂までですが・・・。」

「本気ですか?今馬の背より先は荒れていますけど。」

「えぇ?そうなんですか?」

「無理強いはしませんが今日は止めた方が賢明ですよ。絶対に無理しないで下さいね!」

「解りました。無理だと判断したら引き返します。」

その後もう一人同じ目的の『お一人様』とすれ違ったので、同じように警告をしてから僕は穂高岳山荘方面へ戻るのでした。

どうかお二人とも無事でありますように。

では続きはまた次回へ・・・