2017年2月22日水曜日

これからロードバイクを始めようかとお考えの皆さんに!

3月~4月頃からサイクリングシーズンの到来です。

それに向けて今から自転車を探しておられる方が多い時期だと思います。



「ロードバイクが欲しいのですが、どのくらいの予算が必要ですか?」



一番多い質問ですが、まずはそれにお答え致します。

よく「予算20~30万円くらいで何か良い自転車は無い?」って来られる方がいますが・・・

20~30万円という予算は半分正解で半分ハズレなんですね。

もしもウェアやヘルメット、シューズなどの予算も計算の上での発言であれば正解。

後々になって他にも必要なものがあるって事を、考えていない場合はハズレだとご理解下さい。



『自転車本体の予算として見た場合の適正な価格帯とは?』



①初めてロードバイクを買う場合・・・8万円~15万円前後

②2台目に購入でレースで表彰台を狙う場合・・・30万円~100万円

③コレクターとしてロードバイクを買う場合・・・50万円~



①の根拠・・・(A)初めてのロードバイクにそこまでハイエンドの物を選ぶ必要が無い。
         (B)変速機は使いこなせるようになってからグレードアップが望ましい。
         (C)フレーム素材は金属の方が落車等に強い。

②の根拠・・・(A)概ね30万円以上あれば、レースに勝てる自転車は作れます。
         (B)レースでは落車のリスクが高いので、あまりお金をかけて欲しくない。
         (C)一般的なホビーレーサーで100万円以上かけるのは自己満足の領域。

③の根拠・・・(A)10年後、20年後になっても色あせない自転車は最低でも50万円以上する。
         (B)趣味でコレクションをするなら気が済むまでお金をかけてもいいと思う。
         (C)プロレーサーが使う機材なら150万円以上する自転車もざらなので。

尚、10年後、20年後になっても色あせない自転車とは、それだけの年月が経ってもガシガシ乗れるって意味ではなく、「あの時代のこの自転車はすごく良かった。」というふうに、記憶に残る名車の事を言います。(例えばコルナゴC40やLOOK-KG171のようなもの)



実際に乗り比べてみて150万円するロードバイクが良いかと言われれば、それだけお金をかけていて良くないはずもないし、逆に悪かったら「金返せ!」って気持ちになるでしょ?

それよりは如何にコストをかけずに良い自転車を手に入れるか・・・

なんですが、そういう言い方をすると、セール品で高級バイクを買えば済む話!って結論を出す人が多いのですが、それもちょっと違うんですよ。

その意味を改めて考えさせてくれるのが10万円前後の自転車なんですね。

10万円台のローコストバイクっていうのは、メーカーのコンセプトが一番出易い部分なので、実は一番誤魔化しが利かない価格帯で・・・

ただ購入する人の大半が入門者なので、誤魔化しているのが明るみになりにくいだけ。

だって何台も乗り継いでいる人が、今さらそんな自転車に興味を持たないでしょ?

サイクルモードなどで試乗車に乗るって言っても、専ら狙うのは日頃乗る事のできないハイエンドバイクばかりで、わざわざローコストバイクに乗る人なんて、入門者以外はほとんど皆無。



ところでメーカーのコンセプトと申し上げましたが、ここで気を付けないとならないのが、大手メーカーはブランドバリューで販売を試みるケースが多いという部分。

例えば車でも、重たい鉄のシャシーに1600cc以下か、下手をすれば軽自動車のエンジンが載っていたとしても、それが跳ね馬のロゴが入ったフェラーリの車だとして、定価が500万円~600万円の場合、僕は結構売れるんじゃないかと思うんですよ。

日本人って本当にブランド志向な人が多いですから、そういう売り方をした方が効果的だって事なんですね。

TREKさんやGIANTさんなどはコンセプトストアが各地にあって、車でいうところのディーラーみたいなスタンスでやってらっしゃいます。

それも、そういったお店で顧客になる事がステータスだとして、自己満足に陥りやすい日本人の心理をよく理解した戦略だと思います。



で、あれこれゴチャゴチャと言ったところで結論ですが、客層というのは・・・

①良いものであればいくらでもお金を出す人
②良いものは欲しいけど、予算には限度がある人
③ロードバイクの相場も知らなければ、最初から予算も低めの人

大きく以上の3つのタイプに分かれます。

①は一握りもいるかどうかですので、当然メーカーが狙うのは②か③の客層になります。

その中で最もブランド志向に陥りやすい(騙されやすい)客層は②なので、例えばコルナゴ、デローザ、ピナレロ辺りで、ハイエンドなフラッグシップモデルと、同じジオメトリー・・・或いは同じコンセプトを基に作られた・・・なんて自転車を30万円前後で販売されちゃうと、まんまと食いついてしまう訳ですよね。

ブランドバリューが強すぎて、例えパーツがシマノ105以下であっても、「安い!」って錯覚に陥ってしまう絶妙な価格帯なんです。

もちろん一流メーカーの自転車ですから、所有欲を満たされて価格以上の満足感に満たされてしまう方が大半かと思われます。

それもあくまでランドマジックといったところで・・・

よく見たらホイールはRS-010だったりR501だったり・・・

クランクとブレーキキャリパーはシマノが完成車用に用意しているRS500シリーズや、FSA等の可能性が高く、決してフル105では無かったりする。

結局フレーム性能を遺憾なく発揮する為には、そのフレームに見合ったレベルのホイールや部品が必要になって来るので、気が付けば30万円の完成車を買って、真の意味における完成形に仕上げる為には、総額で50~60万円程度の出費に至るのであります。

それでも最終的な満足に至らなかった結果、100万円前後かそれ以上のハイエンドを求める事になり、まんまとメーカーの戦略にかかった形にとなる訳です。



では③の客層の視線で見てみましょう。

15万円前後の完成車でも105クラスのアッセンブルを施した自転車は少数ながらもあります。

かといってパーツが良いから自転車が良いかと言ったら、そこは決してイコールではありません。

あくまで自転車の良し悪しを決めるのはフレームの性能がメインです。

あとはそれを引き立てる為のパーツアッセンブルで乗り味は随分と変わってきます。

ちなみに30万円の完成車と15万円前後の完成車で何が違うのか?

概ねフレームの素材の問題が大きいかと・・・

カーボンフレームなのかアルミフレームなのか・・・

カーボンフレームの良さはカーボン繊維のグレードや厚み、形状など、成形の仕方次第で軽くもできるし、しなやかな乗り心地にもできるメリットがあります。

逆に言えば軽くて硬く仕上げたカーボンフレームは、乗り心地が極端に悪くなる場合もありますし、日本人の小さな体格と脚力で乗る事を考えたら、そこまでグレードの高いカーボンにする必要性もなくて、24Tや30Tクラスのカーボンで作った方が、しなやかで加速も伸びるし、乗り心地も良いと思えます。

そういうフレームであれば、下手にハイエンドバイクを買うよりは日本人向きと言えます。

ただし悪く言えば誤魔化しが利くのもカーボンフレームなので、そこが難しいところですね。

例えば24Tとか30Tとか65Tとかであれば判りやすいですけど、東レのT700とかT1000などであればトン数でのグレードがハッキリと公表されていませんし、何よりカーボンフレームを成形する金型も使い回しの時代ですので、大半のフレームがOEM(部分的なものも含めて)だったり、カーボンのグレードを変えただけなので、開発費にコストがかかっておらず、実際に原価が低かったりするものなんです。

カーボン=高価ってイメージが出来上がっていますから、メーカーにしてみたら猫も杓子もカーボンバイクを作ってさえいれば利率は上昇する訳ですよ。

その反面アルミフレームは金属なので誤魔化しようがありません。

軽量化する為には肉薄なアルミで、それも剛性を殺さないような形状のチューブ(パイプ)を使うので、サイズ毎のジオメトリーの変化による品質のバラつきも出やすいですし、肉薄なチューブを溶接する場合、溶接技術も高いレベルを求められます。

更に軽量化の為に溶接ビードを削って、まるでカーボンモノコックフレームのように見えるアルミフレーム等は、それこそ溶接技術に自信が無いとできない芸当で、しかも製造コストもかかってきます!

少なくとも人件費の分だけ考えても、カーボンよりは価格に対しての手間とコストがかかっていると考えられます。

なので利益重視のメーカーだと、溶接ビードは削らないのは当たり前で、フレームの精度もいまいちだったり、パーツアッセンブルでコストを削っているパターンも多く見受けられます。

しかしアルミフレームは今から15~20年前のアルミフレームブームの時に、ほぼ技術が成熟され切ったこともあって、当時ならフレームセットだけで18万円は下らなかったであろうものが、今では完成車で10万円前後で手に入る時代になったので、余程のマテリアルフェチじゃない限りは、カーボンよりもアルミフレームのロードバイクを選んだ方が、ハズレに当たる率は少ないという事だけ、これは断言しても良いかも知れません。(あくまで少ないってレベルの話ですが)

まず落車したり、風で倒されてもカーボンだと割れたりクラックが入るリスクも高いので、ロードバイクの扱いに慣れていない入門者ならアルミ(金属フレーム)を選ぶ方が間違いないと考えるのが自然だと思うのです。

アルミフレームでもチューブの形状や、ジオメトリー次第で乗り味や乗り心地は変わります。

その辺はロードバイクを購入する動機や目的、自身の走り(性格とかスタイルとか)を申し付けて頂いたら、ピッタリ合うものはプロデュースできると思います。

ちなみに重量はやや重いですが、基礎がしっかりしていてオールラウンドに乗りやすいアルミバイクとしてはMASIのフレームはかなりの優等生です。

一時は為替の関係で値上がりするのを、パーツのグレードを落として完成車の低価格を維持していましたが、最近はまた頑張っています。

あとラピエールのアルミフレームは乗り心地が良くて、悪路でもトラクションが逃げないところがしなやかなカーボンフレームみたいで面白いです。

コーダーブルームは最近ハイエンドモデルを出して頑張っている感を前面に推していますが、実はアルミバイクの売り上げを一番大切に考えています。

ファーナSLはクラス世界最軽量ってだけではなく、ダイレクトな加速と反応速度は間違いなく世界でもトップクラスの性能ですし、その下のファーナ700クラスも入門者用としては十分過ぎるくらいの反応の良さに加えて、コンフォートモデルのカーボンフレームのような快適な乗り心地だったりします。(ホイールにもお金をかけていますしね!)

エヴァディオのバッカスSLになると完成車価格は20万円以上になってしまいますが、アルミなのにしなって、その反動を推進力に変えてくれるフレームなので、乗りこなすと本当にとんでもない加速力を秘めています。



まあ話せば他にも色々とあるのですが、とりあえず初めてのロードバイクにそこまで予算をつぎ込まなくても大丈夫ですよ!って言いたかったのと・・・

あとはヘルメットにウェア&グローブ、サイクルコンピューターにライトやボトル関係、そしてフロアポンプ(空気入れ)等、早い段階で買い揃えないといけないものがたくさんあります。

追々ビンディングシューズ&ペダルのセットも欲しくなってくるはずなので・・・




これからロードバイクを始めたい方は、全部込みで15~20万円くらいのご予算を考えて下さい!





余談ですが最近はシマノ・ターニーというコンポーネントもできたので、6万円前後のロードバイクも
出ているのは確かです。

高校生や中学生くらいの学生さんだったら、そのくらいの自転車から始める方が、可愛げがあって良いと思ったりもします。



高い自転車が売れればお店的には嬉しいんですけど、僕も自転車乗りの一人なので、そこは利益よりもお客様の満足度を重視したいというのがあって、結果的に商売っ気を出せないんですね。

多分・・・こういう事を書いてしまうとメーカーさんに怒られてしまうかも知れませんし、「お前それでも自転車屋か?売る気あるのか?取り扱いができない事へのやっかみか?」等となじられる可能性があるのですが、すみません・・・好きなようにやらせて下さい。(笑)

そして相変わらず文章が長くて本当に申し訳ございません。

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