2019年3月23日土曜日

サイクルスポーツ5月号・・・自転車のオーダーメイドについて


最近のサイクルスポーツはサイズも変わりましたがお洒落になりましたよね。

今月20日に発売された5月号はオーダーメイドバイクの特集です!

オーダーメイドといえばフレームのジオメトリーを決定するパイプ長を、市販車とは違って自分の体格に合わせて自分の為だけに作るフルカスタムもあれば・・・

カラーオーダーで自分の個性をアピールする物もあります。

いずれも所有欲や自己満足を満たす事が第一前提ですが・・・

フルカスタムの良さは、自分の体格に合わせてパイプ長を1mm単位で設定できるという事。

同じ素材のパイプを使ったフレームでも、自分の体格や筋力に合わせてジオメトリーを組んだ方が確実にパフォーマンスが向上する。

細かな乗り味はヘッドアングルやフロントフォークのオフセット、それにシートアングルで随分と変わります。

更にはバックステーの長さで乗り心地や反応性の調整ができるものの、根本的にサイズが合っていないと自転車のポテンシャルも自分自身のポテンシャルも引き出せなくなる。

しかしフレームのフルカスタムオーダーって贅沢ですよね。

僕が初めて乗ったロードバイクは三連勝・カタナで、もちろんサイズはオーダーで作ったものでしたが、これは当時のサイクルスポーツの『売ります・買いますコーナー』で、たまたま身長が同じ人から購入したので、ビックリするくらい自分に合った自転車を安く中古で購入できた訳なんですが、両親もいなくて学費もバイトで稼ぎながらの僕にとっては本当に救世主のような自転車でした。

2~3年乗ってスペックに物足りなさを感じるようになって、当時流行のプロスペックのアルミロードバイクに乗り換えましたが、あの三連勝に乗っていたからこそ、色んな自転車を乗り比べて違いを感じられるようになったのかなぁ~って思えます。

そのくらい自分のスキルを育ててくれた自転車が三連勝・カタナでした。

オーダーメイドのカスタムバイクが良いに決まっている!なんて話は、今に始まった事じゃなくて昔から当然の常識だったんです。

関西のレースシーンにおいてはズノウやナカガワのロードバイクに乗った選手が大半で、僕は内心「みんな金持ちだなぁ~。」とか、「あいつら高校生のくせに良い自転車に乗ってるなぁ~!ちくしょう!羨ましいぜ!」って思いながら、レースを走っていた事もありました。

90年代も後半に入る頃から、それまでは高嶺の花だった海外ブランドの自転車も徐々に安く手に入るようになってきて、21世紀に入ってからは完成車売りって言うのがスタンダード化されてしまい、今に至っているのでありますが・・・

20世紀に自転車競技をしていた身としては完成車売りって違和感しかないんですよね。

市販のフレームであっても、ステムの長さやコラムの長さ、ハンドルの幅やシートポストのオフセットで微調整が出来るので、限りなく乗る人のベストなセッティングに近付ける事は可能である。

それを完成車売りなんてする事によって、購入する人の体格に合わせて微調整する猶予も、好きな部品でアッセンブルする個性すらも殺されてしまったのが、今の自転車業界のスタンダードなのである。

完成車の価格は確かに安くなった。

20世紀のロードバイクにも稀に完成車があったが、『完成車=安物』の定義があったから、どうせ乗るなら完成車には手を出したくないなぁ~って風潮が少なからずあったと思う。

ビアンキの110周年記念モデルはメガチタンフレームにカンパニョーロのレコード(当時はスーパーレコードが存在していない)にFIRのホイール(後輪だけカーボンディープリム)とタイヤはヴィットリアのコルサCX等、プロスペックのパーツアッセンブルにも関わらず、定価69万円と恐ろしくバリュープライスだったのが、今思い出しても「当時はすごかったなぁ~。」と思える話です。(本来なら100万円を超える価格でもおかしくない自転車だったので)

まあそんな特別仕様車以外では、概ね完成車の価格は15万円~って感じで、今の完成車が8万円~って考えると価格的には高いですね。

ただプジョーのチタンバイクが105アッセンブルで15万円で販売していたって言えば、「逆に安すぎないか?」って話になりませんか?

あれだけは別格で、あっという間に売り切れて手に入らなくなったのを覚えています。
当時のプロツールで人気のあったチームの一つがフェスティナ。

アンドラにある時計メーカーのチームなんですけど、日本でのフェスティナ人気が過熱して時計を輸入するきっかけにまでなったくらいの人気チーム。

そのフェスティナのエースだったリシャール・ビランク選手が乗っていた、シートステーに曲げ加工の入ったチタンバイクがカッコよすぎて、そのフレームを模したプジョー唯一の市販チタンバイクがその完成車だった訳。

なのでその完成車を買った大半の人が、後にパーツを換装して乗っていたと思われます。

実際にビランクが乗っていた自転車はライトスピード・ボルテックスにプジョーのステッカーを貼ったものなので、プジョーのブランドからは全く同じ自転車を販売できるはずがない!というのが本音だったのですが。

少し話が横道に逸れてしまいましたが、今は完成車販売がスタンダードになっている為にオーダーメイドに対する「お金がかかるからいいや!」とか「乗れたらなんでもいいよ。」って人の割合が多いのは否めないです。

実際に自転車(スポーツバイク)人口も当時とは比較にならないくらい増えていますし・・・


しかしサイズをオーダーするって言うことは、より速く!より楽に走る為の近道なので、コストがかかってでもやる価値はあるのです。

カラーオーダーに関しても、それでサイクリングが楽しめるようになるのであれば、オーダーにお金をかける価値は十分あると思いませんか?

海外メーカーでオーダーなんてするのは確かに贅沢の極みなんですけど・・・

当店で取り扱いする事になったBIXXISは、フラッグシップのパトス(チタンバイク)でサイズオーダー込み価格が63万円(税別)なのですが・・・

カラーもオーダーできて、クリスキングのヘッドパーツやpmpのチタンシートポストが付属してって考えたら割安感がありませんか?

何よりマイスターのドリアーノ・デ・ローザ氏が直接スカイプで問診してくれて、走りの目的などに合わせてジオメトリーを考えてくれるので、これほど乗り手の事を考えて作られる自転車は他にないと思いますよ?

通常はオーダーシートに数値を記入してメーカーの工場にデータが送られて、それを基に製作するじゃないですか?

ドリアーノ氏は顧客さん一人一人の表情を思い浮かべながらフレームを作ってくれるので、完成した自転車がスペシャルじゃない訳がない!

勿論国内のフレームビルダーさんも大半はそうやって、顧客さん一人一人の為に魂を込めてフレームを作っている訳だ。


このサイクルスポーツ5月号ではドリアーノ氏と、ケルビム代表の今野氏による対談が掲載されている。


このように『オーダーメイドの意味と価値』といったページも用意されていて、「コスト至上主義!」なんて人にも、オーダーする良さを知ってもらえるようになっています。


そしてカラーオーダーのコーナーではエヴァディオがトップで掲載されています。

エヴァディオのカラーオーダーは仕上げる内容にもよりますが、かなり低価格からオーダーが可能になっています。

しかも本気で美しい仕上げにしたい場合は『アトリエ・キノピオ』にて塗装を施してもらえるので、かなり満足度の高い仕上がりが期待できます。

メーカーによってはカラーオーダーが出来ると言っても、決められたカラーサンプルしかなく、単色塗なのに10万円以上のプラスが必要な場合もあります。

オーダーにはそれなりにコストがかかるものです。

しかし納得のいかないケースとして・・・元々150万円もする完成車なのにハンドル一体型ステムとカーボンシートポストが専用品なので、自分のサイズに合わせて改めて長さのあるものを追加すると、部品代だけで10万円以上余計にコストがかかる事例もあります。

それだけ高額な自転車を買うんだったら、乗り手のサイズに合わせて最初から部品のサイズを選択できるサービスくらいあっても良いものじゃないのか?って話です。

メーカーの怠慢というか・・・お客様に対して親切じゃないですよね。

あと例えば独自のフィッティングサービスがあったとして、フィッティングが有料なのはともかく、その人のベストなセッティングを出すのに数万円って言うのも首を傾げたくなる。

自社の自転車を買って頂くんだったら、フィッティングサービスの価格を安くするとかがあっても良いと思うし、そもそもフィッティングを行なうスタッフによってサイズの出し方が異なるのも問題。

ちゃんとした理論とか定義に基づいているのかも不明。

明らかに乗り手のサイズとはかけ離れたサイズの自転車を売りつけている事例も多く見受けられる。

それなのに有料?数万円?

もはや理解が出来ない。

それだけにこういったオーダーメイドフレームを対個人できっちり作ってもらえる事が、どれほど素晴らしい事なのか・・・

是非多くの方に理解してもらえたらと思っています。

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