2018年8月15日水曜日

穂高連峰日帰り縦走にチャレンジ!(第二話)萎える道の連続・・・そして河童に出会う。


僕がまず目指すのは穂高岳山荘(標高2983m)。

上の航空写真で言うところの下部真ん中の赤い屋根の建物だ。

山荘の向こうに見えるのは涸沢カールといって上高地方面のルートの1つになっている。

山荘の左は涸沢岳(標高3103m)で、右側が奥穂高岳(標高3190m)。

奥穂高岳の向こうにあるのは吊り尾根と最低コルを経て前穂高岳(標高3090m)。

僕の目標とするルートは奥穂高岳の右側へ続く稜線。

そして穂高岳山荘まで登るルートは山荘の真下に見える白出沢のV字谷を直登するルート。

今回スタートする新穂高の登山口は標高約1080m。

歩行距離でいえば新穂高~穂高岳山荘は約11kmで、標高差が約1903mとなるのですが、何が恐ろしいって・・・ラストの3km足らずで一気に標高差1000mを登るという事実。

そこまでの約8kmで900m以上の標高差を登るっていうのも、普通に考えたらかなりの傾斜です。

3km足らずで標高差1000mって色々な意味で恐ろしい数字ですよ。

しかも実質九十九折りみたいにして登る事を考えると、斜面の傾斜角は限りなく垂直に近く感じるくらいの急斜面という事になります。


新穂高の登山口をスタートしたのが4:15

予定表には4:00スタートとしており、それでもギリギリのスケジュールだと思っていたから3時過ぎに新穂高入りしたのに、まさかの駐車場のパンク!

臨時の駐車場に回された結果、鍋平からの下山を強いられて、このような時間帯になってしまったのである。

それにしても真っ暗闇の林道一人歩きは寂しいものである。

一応突然クマに襲われても対応できるように装備は万全だ。(今回プロテクターは装備していない、当然クマ鈴なんてものも持って行かない。)

バッタリ出くわして立ち上がった場合、それも規格外の2m&250kgクラスの巨大ツキノワグマだった場合の対策、離れた場所から猛スピードで突進してくる場合の対策等。

武井壮さんばりにイメージトレーニングは出来ている。(結構マジな話で・・・笑)

ず~っと蒲田川のせせらぎに野鳥の鳴き声を聞きながらも、変な物音や草音、気配がないか・・・神経を尖らせながら歩き続ける。

蒲田川の右俣を源流まで登っていくと槍ヶ岳に向かうそうで、距離は遠いけど比較的に楽なルートらしい。


穂高平小屋に着いた。

時刻は4:59と、既に予定より29分遅れ。

スタートが15分遅れた上に、途中穂高平小屋までの近道ルートがあったのに、道が暗すぎて脇道が見つからなかった事が主な原因。

ペースを上げたいがここで問題発生!

小屋に宿泊していた4人組のパーティが出発。

僕の50m前方を歩いている。

このままいけば追いつくが、追い抜いてしまったら僕は引き離すためにペースを上げてしまうだろう。(本能上の問題)

それで序盤でスタミナを消耗するのはもったいないと思えてしまい、4人組の30m程後方をついて行く形で歩く。


少しづつ明るくなってきて遠くの山が見えてきた。

これは柳谷なので、向こうの左手に見える尖った山が西穂高岳(標高2909m)って事になるのかな?


ようやく奥穂高方面と槍ヶ岳方面の分岐(白出沢出合)まで来ました。

時間は5:36で、予定時間に対する借金を3分だけ返済。(残り26分)

ところがここからの原生林の上りが辛いのだ!

延々と石畳みたいな階段を上り続ける。

あまりに大きな石の石畳なので、足首をひねって仕方ない。

今回も足首のホールドを意識してミドルカットのシューズにしていたが、それでも足首へのダメージがドンドン蓄積されていくのが判る。

とっても嫌な道です。

それでも30分ほど登って後ろを振り返ってみると・・・


笠ヶ岳が見えてきました。

一気に標高が上がった証拠です。

そして白出沢の清流のせせらぎが聞こえてきました。

ようやく沢に沿ったルートになってきたみたいです。


まあ言い換えれば、ここからは滑落の可能性が追加される訳で、一段と道は険しくなる訳です。


といっても、ここらはまだまだ序の口です。


勿論写真で見るよりも急な斜面ですが。

沢の向こうを何だか動物の影がいくつか見えました。

殆どは山鳥でしたが、野ウサギも走っていたのでビックリ!

「ここからでも丸見えだよ~!」


せっかく一気に標高を稼いだはずなのに、少し下るらしい・・・

こういうの萎えるなぁ~。


山の上はず~っとガスがかかっている。

天気も微妙で萎えるなぁ~。

2~3日前の予報では晴れると聞いていたのに、山の天気はギリギリまで判らない。


また沢が見えてきました!

ここで沢が2つに分かれていて、左の沢に次のチェックポイントの重太郎橋がある。


これは右側の沢になるのですが、完全な土砂崩れ跡のガレ場です。

向こう岸に赤いリボンがぶら下がっているので、ここを渡ります。


ガレ場は浮石も多く、崩れ始めたら止まらなくなる場合もあるので、足場はしっかりと見極めて・・・更に慎重に進みます。


中州を越えてはしごを降りたら・・・あれが重太郎橋です!

時間は6:36で、ここで大幅に予定タイムの借金を20分減らしました。

少し気持ちに余裕が出来たので橋を渡った向こうでおむすび休憩を取ることに・・・

おむすびは昨夜ホテルの方が作って下さいました。

茶碗1杯分のご飯で握ったおむすびを2個と漬物に梅干し・・・

メッチャありがたかったです!


沢に降りて先を見たら、僕より先に出発した登山者をようやく発見しました。

おむすび休憩後、あの方を目標に追いかけたいと思います。

あのはしごを登ってからは水平歩道も真っ青の鎖場です。


重太郎橋を渡って今来た方向を見るとテントが1つ。

こんな場所でビバークだなんて!

ここって大雨が降って増水したらやばいポイントなので、基本的にはお勧めできません。

ところで重太郎橋って言う割にただの木の板やん!って思った人・・・いるよね?(笑)

雨で流されても替えが利くからいいんです・・・これで。

ちなみに重太郎とは、穂高岳山荘創始者にして、穂高連峰の登山道を開拓した今田重太郎さんの名前を取ったものなんです。

なので穂高周辺には重太郎さんと、娘の紀美子さんの名前を冠したポイントが点在する。


重太郎橋を眺めながらおむすびを1つ頂く。

ここは前半で唯一の水飲み場なので、さあ沢の水でも頂こうかな?って思ったら、向こうから河童が現れた!

正確には男か女かも見分けのつかない、オカッパ頭の男性なんですが・・・

僕が言うのも何ですが、そんな服装で登るの?っていうような服装に装備。

よれよれのTシャツ1枚で、雨でも降ったら凍え死んでしまいそうな彼は、あいさつを交わしたあと、おもむろに沢へ服のまま入って、ジャブジャブと水浴びを始めたのであります。

まさに河童!

「これじゃ水は飲めねぇ~。」と思った僕は、歩くペースを乱されない意味でも速やかに歩きを再開させる。


はしごを登った後はこんな感じで道幅30~50cmほどの壁伝いの道が続く。

草花が生い茂っていて判りにくいが、右は概ね20~50m程の断崖絶壁である。


遠近感が判りにくいけど、要するに草花の向こうに見える崖は対岸なんですよ。


真下を見下ろして写真を撮ると、河童君が水浴びを楽しんでいる姿が少し写り込んでしまいました。

水飲み場なので・・・水浴びは出来るだけ下流でお願いします。(笑)

さあここから一気に1000mの標高差を登りますが・・・

無事に予定時間通りに穂高岳山荘に到着するのでしょうか?

次回乞うご期待!



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