世間では『パンク防止剤』として、広く知られるようになったスライム。
某自転車販売チェーン店では必ずと言っていいくらいの率で、購入した自転車の前後チューブに注入されるやつなんですね。
「これさえ入れておけば、パンクの心配無用!」なんて謳い文句で、つい入れて頂いたっていう方は少なくないでしょう?
ハッキリ言います!
スライムは『百害あって一利なし』です。
これはある種詐欺に近い商品だと感じます。
なぜなら・・・
①スライムを注入していても、パンクするときはするからです!
②パンク防止ではなく、一時的に走行不能になるのを抑えてくれるだけ。
③これを注入することによって、ゴムの劣化が進みやすい(それ以上にヤバイかも・・・)
④タイヤ重量が増す事になるので、自転車の重量も増し、乗り味も重く感じるようになる。
⑤タイヤが回転すると、中でジェル状のスライムが遠心力を作る為、非常に走行バランスが悪い。
⑥パンク修理の際、ゴムパッチの接着を邪魔する。後日剥がれる恐れがある。
⑦バルブ付近で凝固すると空気が入らなくなる事がある。
⑧結果、他の自転車屋さんでパンク修理を断られるどころか、空気入れさえ断られる場合もある。
そんなものを高いオプション代を払って、自転車とセットで購入するなんて・・・
僕はよその自転車屋を悪く言うのは嫌ですが、このスライムを当然のように販売するシステムは許せません。
正直嫌々売っているスタッフさんも多いと耳にします。
僕はスライムを撲滅したいと願っています。
まず①について・・・
そもそもママチャリに乗っている人って無頓着な人が多いんですよ。
「乗れたらなんでもいい!」って人は特にそれ。
「空気圧?一度入れたら抜けないんじゃないの?」って思っている人もたまにいるくらい・・・
「タイヤの空気は2週間に1度の周期でチェックして下さい!」って言ったら「そんなに頻繁に?」って返してくる人が95%以上いる実態。
歩道の段差を垂直にガンガン乗り上げる人の大半は、「お尻をサドルから少し浮かせて膝の屈伸で荷重を抜く!」なんて走り方は出来ない!やらない!知らない!
そりゃリム打ちパンクもしますわな~。
リム打ちパンクだと平行に2つのパンク穴が出来るので、一気に漏れる空気の量と速度にスライムの凝固が間に合わず、入っていても無駄だと痛感する。
そしてスライムはパンク穴が1つの場合に、一気に空気が抜ける時の風の勢いで穴を塞ぎ、凝固するものなので、そもそも空気圧が十分に入っていないと、機敏な働きを見せてくれないのである。
そして②について「スライム=パンク防止剤」はまっかな嘘であるという事!
「出先でパンクしたけど、スライムが塞いでくれたお陰で、何とか家まで戻ってくる事ができた!」は正解です。
つまり、とりあえずすぐに空気が抜け切らないようにするだけの役割であって、空いた穴を永久的に塞ぎ続けるものではないのである。
スライムで塞がったからと言って安心せず、必ずパンク修理をして下さい!
ただしスライムで塞がったパンク穴は発見が困難な場合があるので、自転車屋泣かせです。
しかも⑥にある通り、スライムが穴から漏れてくると、ゴム糊の接着が上手くいきません。
スライムの成分等の詳細は知りませんが、ゴムや金属を腐食させるケースが見受けられるので、入れないに越した事はありません。
人体への影響なんかも心配になります。
これスライムを入れて3年くらい経った自転車から回収したバルブ。
劣化した虫ゴムを取ったら、金属までもが腐食していました。
正常なバルブと並べてみたら腐食度合いが一目瞭然!
虫ゴムの劣化具合はこんな感じで、まるで溶けたようにボロボロになります。
尚、余談ですが、虫ゴムは黒の方が長持ちします。生ゴムは高温や湿度に弱いです。
特に中国産の白っぽいゴムのはすぐに駄目になります!
ちなみにこんな感じでバルブ口付近で凝固しているものは、新しい虫ゴムに交換しても空気が入らないことが多いです。
先の尖っていない何かで、突いて取り除きましょう!
左のシールが貼ってある自転車は要注意です。
注意するのは乗っている人よりも、むしろパンク修理などする自転車屋のスタッフの方!
このように飛び散ったら、もはや冷静に修理作業をしたくはなくなります。
こういう場合はパンク修理代とは別に、スライム拭き取り代と、通常よりもパンク修理が難しく手間もかかるので、スライム手数料なるものを加算したいくらいです。
臭いし大変なんです・・・
せっかく貼ったパッチが万が一、数日後に剥がれてしまった場合、その恐れがある事を伝えていたとしても、お客様は自転車屋の修理が失敗だったか、他にも穴が空いていたのをチェック漏れしたんじゃないのか?と疑ってくる事が大半です。
パンク修理で出戻りがあると、自転車屋としての信用はガタ落ちになります。
実はパンク修理って簡単なようで、決して簡単ではないのですが、世間的には修理の基礎だと認識されているので、自転車屋としては、絶対に失敗が許されない項目なんです!
だったら尚更、スライム入りのチューブを見て、わざわざそんなリスクの高いパンク修理なんて、誰もしたくないでしょ?
多くの自転車屋でパンク修理を断られ、即チューブ交換を勧められるのも無理はないのですよ。
うちもその旨のお断りをキッチリ説明してからでないと、修理はしません!
まあ今まで、だからといってパッチが剥がれたなんてケースは無かったと思いますが、今後可能性がゼロではありませんので、本当に緊張します。
乗り心地もコントロール性も悪くなるし、そういった弊害が多いので、今後自転車を購入される方はスライムの誘惑に注意して下さいね。
当然自動車の方も同じ!
ジェル状のスライムが遠心力を大きくし、ホイールバランスが崩れる訳ですから、自動車の4輪のアライメントも見事に狂うでしょう。
それでは性能を著しく低下させているに過ぎない!という事になりますよね?
自転車は人力なのでその影響がもろに出ます!
以前にも言った事がございますが・・・
たまに『自転車屋はパンク修理で儲ける!』なんてフレーズを目にします。
こんなバカな事を一体どこの経済学者が言っておるんでしょうか?
パンク修理はミスが許されない、自転車屋の評価を左右する作業なのにも関わらず・・・
作業時間は概ね8分~30分(酷い場合)もかかるのに、500~1000円程度の工賃しか頂けないんですよ?
ほぼ奉仕作業です!
「パンク修理でも自転車屋は十分儲かるんやろ?」なんて言う奴はぶん殴りたくなりますよ。
「貴方は人件費を何と心得る?」と是非問い詰めてやりたい!
これも某自転車販売チェーン店が、スライムの恩恵で一気に業績が拡大したから・・・なんじゃないのか?と、思えてならない今日この頃・・・
スライム・・・消えてなくなれ!
詳しく説明ありがとうございます!!
返信削除みながわ様
削除是非ご参考になさって下さい。