当店のラインナップは自分でいうのもなんだけど中途半端だと思う。
勿論ちゃんと理由はあります。
①スポーツ車オンリーで店をすると、一般客が修理や空気入れでさえ入りにくいお店になる。
②一般車ばかりだとサイクリングの楽しさを広めたいって目的からやや遠のいてしまう。
③店舗の周辺は住宅密集地なので一般車は外せない。
④個人商店なので在庫を無駄に抱え込む事は出来ないので、ラインナップは極限まで絞るしかない。
⑤大手の有名ブランドは縛りがきついので、今はまだ手を出せない。
などなど・・・
営業マンが会社でノルマを設けられるように、我々小売業もメーカーや卸さんとの間でノルマが設けられている場合があるので、お客様が思っているほど商品のラインナップを増やしたり変えたりすることは容易ではないというのが、まずお店側とお客様との感覚の大きなズレが生じる部分。
メーカーや卸業者ありきで僕らの商売が成り立っていますから、時としてお客様の目線に立って商売したくても、そのようにできない場合があるという現実。
某メーカーの入荷日が延々と延期されて、1ヶ月待ちって話が3ヶ月待ちになるとか、「入荷する予定が今回の便に入っていませんでした!」ってオチだったり。
結果的にお客様に頭を下げるしかありませんし、某メーカーのマイペースぶりはともかく、卸業者さんも多くのメーカーと取引して、ほとんどが海外のメーカーとかなので、言葉の行き違いとかもあったりして、予定が未定になる事は多々ある訳で、そこを頭ごなしに指摘すると、それはそれで卸業者さんとの関係がこじれてしまいます。
お客様にその辺りの事をご理解頂きたくても、頂けない場合もあったりするので、そういう時はやるせない気持ちになる事もしばしば・・・。
概ね自転車部品は年に数回コンテナで入荷するものが大半ですので、お客様の急ぎのニーズに応えられないケースが多く、買うか買わないかも決まってない部品を、国内の店舗在庫まで調べたりする事だってありますが、そんな水面下の努力が報われない事もしばしば・・・。
当店の場合は今のところ僕か留美さんくらいしか、そういったお客様の対応ができない現状なので、キャパがパンク寸前になっている事も多いです。
気が付けばややこしい案件を抱えたお客様の、駆け込み寺的なお店になってきているので、柔軟性と行動力のあるスタッフを強化したいと思える今日この頃。
駆け込み寺的なお店になった事は、個人的には良い傾向だと感じているので、そこのチャンスは活かしたいというのが僕の望みです。
それはそうと若いお客様や、最近スポーツ車に興味を持ったばかりのお客様等は、基本的に値札を見て安いものへと流れていく傾向があります。
当店の場合両極端で、買い求めしやすい安いものか、次に買い替える気持ちにさえならないパーフェクトな自転車しか扱っていません。
しかも買い求めやすい自転車も、僕自身が試乗して徹底的に吟味した上で、性能が価格以上であると評価し認めた自転車しか基本的に仕入れていません。
それでも「ここの自転車は高い!」と思って帰られるお客様は、自転車の形は見分けがついても、価格の違いにどんな乗り味や性能の違いがあるのか?といった、率直な疑問などは考えたりなさらないのだなぁ~と思いながらスタッフ目線で見ております。
逆に高い高いと言いながら見ている割には、店内で最も高価な自転車などには脇目も振らないというのも寂しかったりしますよね?
そうかと思えば僕の所有する自転車を乱暴に触りながら「これで20万円くらいはしたりするんですか?」とか「僕の友達が40万円もする自転車を作ったとかで、そんなにお金をかけるなんてすごいよね?」等とおっしゃる方もいて・・・
「いやいや、その自転車にはもっとお金かけてますから・・・。」とは言いたくても言えずに苦笑いしているしかない時とか・・・
内心「失礼なやっちゃなぁ~。」とか思いつつ・・・
お客様も色々とギャップを感じるでしょうけど、僕らも常にギャップとの戦いだったりします。
ただどうでもいい話ですけど、挨拶しても返してくれない人とか、ポケットに手を突っ込んだままとかヘッドホンをしたままで店内に入ってくる人って何なんだろう?って思う事はよくありますね。
店員さんに声を掛けられるのがうっとおしいとか思うんだったらお店に入らなきゃいいじゃない?って思うのは手前勝手な意見なんでしょうか?
お店って他人の家に入るようなものだと僕は思うんですけどね。
僕もお店に入って商品とかを見る以上は、何かしら面白い(新しい)情報を聞きたいし、店員さんの話を聞きたいとかって思ったりします。
もし店員さんのお話を聞いてワクワクさせられたら、僕はその人から商品を買いたいって思えるので、それが楽しみでショッピングってしたりしませんか?
自転車屋だから変な来客が多いの?
いやいや、そんな事ないよね?って、色々とギャップに悩まされています。
余談ですけど僕が中学生の頃、よく入り浸っていた中古車専門店がありました。
中古車と言ってもトヨタ2000GTとかロールスロイスのクラシックカーなど、高級車やビンテージばかりを扱っていたお店で、小学生の頃から車が好き過ぎて、よくディーラーとかに見に行ったりしたものですが、子供だからって邪険にされる事も多かったんですよ。
ところがそこのお店の店員さんは、僕が好きな車のどこがどう好きなのか等、詳細を聞いて下さって、より詳しくそれについて持論や他の車との比較を説明してくれて・・・
今思い出しても楽しかったなぁ~って。
当時で既に1500万円以上の価値があった2000GTや、2億円のロールスロイスの運転席に座らせてもらい、ステアリングを握るだけでなく、実際に助手席に乗せて頂いて走らせてもらった事もあり、当時の僕にとってそれは夢のような時間でした。
「僕はF40が一番好きだけど、2000GTも好きだなぁ~。」
「じゃあ大人になってしっかり稼いだら買いに来てよ!」
「はい!僕の買う車、その時に絶対用意して下さいね!」
そんな会話も虚しく、バブルの崩壊でそこのお店は倒産しちゃったんですけど・・・
当時の店員さんとの約束は、自分への約束として常に目標に抱いています。
男が一度口にした事なので必ず全うするのが目標です。
最近そんな夢に溢れた若者を、あまり見なくなってしまったなぁ~って感じるのは僕だけですかねぇ?
妙に現実的過ぎて、面倒くさい事やややこしい事から目を逸らして逃げている人が多いような・・・
何だか寂しいですよね?
これも乗り物という『男のロマン』を売り物にしている人間の抱く、現実世界へのギャップというものなんでしょうか。
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