2017年6月8日木曜日

消費者の感覚っていうのも十人十色ではございますが・・・

別にこんな話HAT神戸に限った話ではないとは思いますが・・・

最近特に多くなったなぁ~って感じるのが、どうしようもなく酷い状態になった自転車を修理で持って来られる方。

「ちょっと直して欲しいんですけど。」って持ってくる自転車・・・

「ちょっと?これのどこがちょっとなんですか?」って言いたくなるくらい酷いんです。

①ブレーキシューが地金まで出ている。

②BB(ボトムブラケット)がガタついて・・・それどころか抜けかけている(中のボールベアリングが欠損している)

③チェーンが錆びていてシャリシャリと音がする上に、伸びてぷらんぷらん。

④ホイールが振れている。(それどころかスポークが何本も折れたまま乗っている人もいる)

⑤タイヤがツルツルだったり、ひび割れてバースト寸前だったり。

⑥ブレーキワイヤーが錆びていたり、切れかけていたり、アウターケーブルがひび割れていたり・・・折れて千切れそうだったり。

⑦変速が全く動かない。(アウターケーブルが割れている場合や、リアディレーラーが曲がっている)

⑧ヘッドがガタついて、ヘッドパーツが手で回せる状態。

⑨サドルのレールやスプリングなどが折れてサドルがグラグラ。

⑩ベルやライト、カゴが破損している。

⑪スタンドのバネが錆びて折れたのか欠損している。

⑫チェーンリングやスプロケのギアが摩耗してトゲトゲになっている。(チェーンが歯飛びしたり、外れたりする)

⑬ハンドルが曲がったまま気づかず乗っている。

⑭ローラーブレーキのグリスが切れて金属音がなっている。

⑮ホイールのリムが開き過ぎてシューの当たりが悪く、それどころかいつリムが割れてもおかしくない状態。

概ねこのような症状が3つ以上出ている自転車が多くて・・・

それにも関わらず、来る時の理由や修理の依頼がもっと他愛もない内容である事が大半であります。

白々しく「パンクしちゃったから直して~!」というような言い回しで来るお客様の2割くらいはバーストしてタイヤサイドが破けているパターンで、「直すの(料金は)いくらでできる?」なんて聞かれても、迂闊にパンク修理の金額を口にできないというか・・・

ちゃんと見てからじゃないと、「お前さっき800円でできるって言うたやんけ!」と言いがかりをつけられるケースも稀にあります。

まあその場合は「お客様は今パンクしてんけど・・・っておっしゃいましたよね?普通スタッフとしてはお客様のお話を信じてお答えするものじゃないですか?しかしこれは明らかなバーストですよね?パンクとバーストの違いも判らなかったのか?或いは修理代が安く済んだらいいなという希望的観測からパンクと表現したのか?そのいずれかじゃないんですか?僕らもこういった問答をしている時間すら人件費がかかって無駄なので、正直にどういう症状でどうなったのかお伝え頂きたいんですよ!」って言ってしまえば終わりなんですけど・・・セコイ人も少なくはないので。

『安全点検』って車でいうところの車検整備みたいな項目があって、当店では変速の有無で1500円~と1000円~の料金設定を設けています。

しかし車の車検と同じで、消耗部品の交換が生じた場合は別途部品代が必要になりますし、その代わりブレーキシューやブレーキ及びシフトのインナーケーブル交換程度なら安全点検の範囲でやりますので、1000円或いは1500円にプラス部品代だけしか頂いていません。

しかしホイールの振れ取りや、折れたスポークの交換、タイヤの交換、アウターケーブルのリフレッシュともなってくると、さすがに工賃もいくらかプラスしないと割に合わない仕事になってしまいます。

しかも真っ黒けのドロドロの自転車を持ち込んできてあれこれ注文される事も多々あって、作業によっては綺麗に拭き掃除や磨きをしないとできない内容もあるので、ドロドロの自転車に関しては作業工程が1つ終わる度に手を洗う手間と、自転車の洗浄をする手間、服がドロドロになってしまうリスクも考えたら一律の料金ではとてもじゃないけど受けたくはない!というようにご説明をさせて頂いております。

それでも安く済ませたい方などは、相変わらず「安全点検で~。」とおっしゃって来るのですが、実際に確認してみたら、「あかんやろこれ?」って突っ込みを入れたくなるような症状を抱えている場合がほとんどです。

「パンクをしているのか空気が抜けているだけなのか、よく判らないんですけど~。」ってお越しになる方も比較的多いですが・・・

何日前に空気を入れたのか?パンクを疑う根拠は何か?って言うのを伝えて下さる方だと、僕らも原因を予測して点検するので原因の発見も早いですし、作業もスムーズで助かります。

車やバイク、他の自転車とぶつかって事故した自転車・・・

相手に過失があって当事者や保険会社と話のついている方だと、事故車両を持って来てから状況を解りやすく説明してくれるので、すぐにお見積りの作成等に取り掛かれるのですが、自分に過失があったり、当事者同士の話ができていない場合などは、まずもって電話による問い合わせが多かったりして・・・

それも事故をしたとは言わずに「ちょっと転んじゃったんですけど、自転車がちゃんと動かなくなったっぽいので、直して頂けませんか?ちなみにおいくらくらいで直せそうですか?」っていうニュアンスの電話が多いので、持って来られてから「うわっ!なんじゃこれ?事故したんじゃないんですか?」ってなる事が多いんですね。

見てみないと修理にどのくらいコストと手間がかかるかなんて、僕らも判らないですし・・・

さすがに5年も店をやっていると電話でのお客様の話しっぷりで、概ねの状況は予想できてしまったりするのですが、とにかく回りくどくてこちらが噛み砕いて説明しても納得してくれない時など、本当に人件費を請求したくなる事もございます。(笑)

本日はネット販売で2万円少々で購入したというWサスペンションのMTBもどきの自転車が持ち込まれました。

自動車と接触してハンドルが30度くらい曲がっています。

ハンドルの中心を固定しているステムも捻じれてしまうほど・・・

前輪もポテトチップス状態になっているので、リムの変形を直して振れを取るくらいだったら新しいホイールを買った方が安いレベル。

フロントサスペンションやフレームのヘッド周りは、色々試してみた結果恐らく問題はなさそう・・・

しかしホイールとハンドルバー、ステム、あとフロントの変速に使うグリップシフトを新品に交換するとなると、部品代だけで10000~12000円くらいかかるのと、修理工賃はタイヤの付け替えやシフトワイヤーの交換など、それに全体の点検も・・・と考えると最低でも3000円は頂きたいところ。

それを説明したら・・・

「2万円で買った自転車の修理になぜ13000~15000円もかかるんですか?」

「こんな自転車でもいざ部品をバラで購入して組み立てたら、部品代だけで5~6万円するんですよ?あと工賃は本来1分100円の計算ですから、作業に40分~50分かかる事を考えたら3000円でも安いと思いませんか?」

「じゃあ新しい自転車を買うとして、2万円くらいでこういったスポーティな自転車は手に入りますか?」

「その答えは残念ながらNOです。ご予算が2万円しかないというのはお客様の事情であって、それを僕らがどうこう言える事ではありません。ただし、自転車を売るにあたって当店のような個人商店というのは、売り物の自転車1つ1つにこだわりを持っていますし、お客様にとって乗って楽しい愛着の持てる乗り物であって欲しいという願いが込められていますから、売ったら売りっぱなしの、売れれば何でもいい!っていうようなスタンスは持ち合わせていません。なので、自信を持ってお勧めできる自転車以外は取扱いをしたくない!と言うのが当店の答えです。」

「そうしたら2万円程度までで買える自転車としたら、どんなものがございますか?」

「安心して乗れる事を考えたら、ママチャリでオートライトと外装6段変速付きの自転車だったら、2万円前後でもご用意する事は可能ですよ。」

「それに後からスポーティな部品を追加して乗る事は可能ですか?」

「ハンドルを変えたりしてそれっぽくする事はできますが、ハードな乗り方をする目的の自転車ではないのでお勧めはしません。」

延々このようなやり取りを3周・・・時間にして1時間程。

僕も留美さんも客注の電動アシスト自転車やロードバイクの組み立てで忙しかったので、さすがに疲れました。

そんな問答したって一銭にもなりませんから。

自転車屋を暇人か何かと勘違いしてらっしゃるのでしょうか?

僕らにだって生活はありますし、慈善事業をしている訳ではございませんので、どうかシンプルに判りやすいお付き合いをお願いします。

ちなみに僕は自動販売機の売り上げの一部を震災の募金に充てたり、時々ではありますが自分の休暇を返上してボランティア活動に参加するなどしていますので、本業までは勘弁して頂きたいと申しておきます。

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