2016年8月12日金曜日

てめぇの自転車くらい、たまには洗車しろよ!

って思う事が『ほぼほぼ毎日』の生活もそろそろ4年が経過します・・・

いや・・・嬉しい事にお客様は増えてきているので、その分『メッチャ汚い自転車』で来店されるお客様も比例するように増えているという・・・。

まあ現状そんなところでしょうか。

念の為に申し上げますと、僕はお客様が『神様』だなんて微塵も思っておりません。

だからといって敷居を高くして、偉そうな接客をしている訳でもありません。

HPにも書いている通り、当店は自転車を愛する人・・・或いは愛せる自転車を探したい人の為のお店ですが・・・

その条件を満たしていないからといって、これまた相手にしない訳ではないし、見下すつもりもありません。

皆さん対等だと思っています。



しかし・・・



どうしようもなく汚い自転車を見ると悲しくなる事があります。

10年、20年、30年・・・それ以上使いこんで汚れた自転車とは、全く種類が異なります。

如何に自転車を・・・或いは自身の命を軽んじて見ているかが伺えるような自転車です。

その時ばかりは自転車の扱いに対して怒りを覚えてしまうので、対等・・・ではなくなってしまう事もしばしば・・・

つい接客対応も説教っぽくなってしまうんですよね。(笑)




パンク修理で来た自転車・・・

「これって雨の日も走ってますか?」

「あっ、はい。通勤用なので雨の日も・・・。」

「そうですか。雨の日に走った後は特に、ブレーキダストで自転車が汚れやすいんですよ。そうするとブレーキ性能にも影響するもんで、極力乾拭きだけでもいいから手入れしておいてもらえますかねぇ?」


ホイールにちょっと当たっただけで服も真っ黒!

「マジかよ~!」

頭にきた僕は・・・


まずはホイール及び自転車を洗車してからパンク修理!

ちょっとはピカピカになったでしょ?(笑)


この自転車も前輪がパンクで・・・

っていうかホイールの色が黒ですよね?

ところが・・・


こうなる訳ですよ。

この後スポークの汚れも可能な限り拭き取りました。

パンク修理なんてたかだか800~1000円程度しか修理代をもらっていないのに、両手を真っ黒にして服まで汚して・・・そんな手入れも洗車もしていないような、愛車を大事に出来ない人のパンク修理を何でそこまでせんとならんの?

それが『僕が自転車屋を代表して、自転車に乗る人たちに声を大にして訴えたい本音』です。



以上の2台についても、本当なら洗車した代金も頂きたいくらい手間をかけていますが、実際に頂いたのはパンク修理代のみ!

その代わりお客様には「何か変化を感じませんか?」って質問して、気付かなかったらお説教・・・するつもりでしたけど・・・

でもちゃんと気付いて下さったので、「ご自身の安全性にも関わる事なので、たまには洗車してあげて下さいね!僕も真っ黒けになって作業するのすごく嫌やし!(笑)」って話をしたら、大抵の方はご理解を示して下さいます。



僕もそうですがこんな仕事をしていたら、スタッフの手は荒れるし指のシワや爪の中に黒い油汚れがついて取れなくなるのは当たり前なんですが、自転車だけではなくアパレルも扱っていますし、お客様に作業中お待ち頂いている間にお茶を出したりもしますし・・・

それに自分自身がお腹が空けばご飯も食べるし、店の壁は白塗りですし・・・

常に手の汚れを擦って洗い落とさないと、次の作業に差し障ります。

何より汚れた手で次にお待ちのお客様の自転車を触るのも失礼な話でしょ?

毎回気持を入れ替えるために必ず手を洗うんですね。



そういった事情もあるので、せめて修理に持ってくる前に、さっとでもいいから自転車を洗車してから持ってきてもらいたいものだと思うのですが・・・

そこまで言っちゃうと自転車屋の我が侭になっちゃいますかねぇ~?(笑)



しかし同じロードバイク乗りとして我慢できなくなる事だってあります。


こんな真っ黒けなブレーキダストまみれのホイール・・・

貴方は堪えれますか?


鉄粉を噛んだブレーキシューで走り続けたら、リムのブレーキ当たり面がこのように傷だらけになってブレーキも効かなくなるし・・・

酷いものだと金属同士の削り合いになって、リムが痩せて変形・・・そして走行中に割れる。

そうなるとタイヤやチューブがバーストするのも時間の問題。

それにも気付かずに乗り続けたら、突然のトラブルで事故して・・・死ぬ可能性が高いですよ。

このホイールも既にリムのブレーキ当たり面が波打ち始めていたので、少々研磨してもどうにもならないレベル・・・

むしろ夏場にハードブレーキングを多用すると、空気圧の熱膨張に堪えられなくなって割れる可能性が大きいでしょう。

そうならないようにする為に、洗車してホイールのブレーキダストが溜まらないように管理する必要性があるのです。


この方は空気圧の管理すらまともに行なっていないというのが、このチューブの細かい傷から伺えます。

実際に持って来た時にパンクしていない側のタイヤの空気圧を測ったら2気圧でした。

ロードバイクは7~8気圧が一般的な空気圧だと考えたら、如何に放ったらかしなのかが窺い知れる数値です。

ありえません!

この時点で僕は怒りに近い感情が湧き上がってくるので、他のスタッフに対応をお願いする事さえあったりします。

ロードバイクに乗っている者としては絶対にありえない行為が、空気圧管理の無頓着なのです。

そもそも家が近いのに「空気を入れて下さい!」って平気な顔して来るロード乗りは、フロアポンプも持っていないのか?って話にもなります。

それ以上にビックリなのが「空気圧は何気圧で合わせておきましょうか?」って質問に対して、「いや、良く判らないのでお任せします。」っていうパターン。

僕らの心の中では「はぁ?自分の自転車の空気圧も解かってないんかい?」って苛立ちと、戸惑いが発生します。



当店は空気入れは無料でサービスをしています。



しかしロードやクロスバイクは大半が7気圧以上入れるんです!ものすごく肉体労働です。




それなのに空気圧も知らないって、その度にタイヤに記載されている推奨空気圧を調べないと作業が進まない訳で、ものすごく無駄な手間がかかりますよね?

手も汚れるし、ブレーキダストまみれのタイヤだったら記載している文字も読み取りにくくて・・・

「あ~っ!イライラするわ~!」って大声で叫びたい気分になる事だってあります。

そのくらい空気圧に無頓着である事は、同じくロードバイクに乗っている人を愚弄するような行為なんですよ。


ブレーキキャリパーの汚れを見ても、放ったらかし具合が手に取るように判ります。

新品時のキャリパーに貼っている梱包用の保護シールも、剥がさずに貼ったままですね。

このロードバイクはあえてメーカーもモデルも伏せてはおきますが、ここ最近10万円台で購入できたスチール(クロモリ)フレームの完成車としては、稀に見る名車でした。

パーツ構成などは、同価格帯の他社のモデルと比べるとかなり見劣りはするものの、フレームが本当によく出来ていて、これだったら僕も欲しかったなぁ~って思えるくらいの素晴らしいロードバイクです。

それなのにねぇ~。


バーテープのエンドキャップも欠損したまま。

「通勤用でしか乗ってないから・・・。」という言い訳はよく聞きます。

「じゃあ何でロードバイクにしたんや?」

「ママチャリで良かったんとちゃうんか?」

「ロードバイクに乗る事の覚悟も無い奴が乗るんじゃねぇよ!」

っていうような酷い言い方しか出来なくなる、この悲しさ。



表現の一つとして僕は『ロードバイクに乗る覚悟』の話をしましたが・・・

ロードバイクは人力で走る乗り物として、何よりも速く走るために作られた自転車です。

本来であれば通勤や買い物で使うような、街乗りが目的の乗り物ではありません。

純粋に速さを求める為の自転車ですから、当然スピードは出やすいです。

当たり前の事ですが、重量が軽くてタイヤも細い。

重量が軽いという事は耐久性などは通常のママチャリと比べても、下手をすれば劣るかも知れない。

体重のある人が荷物を背負ったり、ハンドルに重たい荷物を引っ掛けて走ったりすれば、金属疲労も起こりやすいでしょう。

超軽量フレームにもなると、一番肉薄なパイプだと指で弾いただけで凹んだり、ひびが入る可能性がある訳で、雑な扱いができないことは明白。

タイヤは細いので空気圧もママチャリの倍くらいの圧を入れます。

その為高圧によってタイヤやチューブ、ホイールにダメージやストレスを蓄積させない意味でも、空気が抜けやすい構造にできています。

8気圧入れていても翌日には6気圧前後まで減っていて当たり前なんです。

それを6気圧以下で走って、タイヤがへしゃげて地面との接地面積が広くなればなるほど、パンクのリスクは上がる。

何より綺麗な円形を保てなくなった時点で、タイヤの構造自体にも余計なダメージを蓄積させ、ひび割れやタイヤサイドの擦り切れなどにも繋がってきます。

タイヤ1本2500~30000円まで様々ですが、2500円のタイヤでさえ「高い」という人に限って、空気圧の管理などが無頓着で、何も自分の自転車の事が解かってらっしゃらなかったりするものです。

「走れたら何だっていいねん!」っていう考え方の人は、根本的にロードバイクである必要がない訳です。

そしてロードバイクはタイヤやブレーキの消費も激しいです。

タイヤは距離で言えば2000~3000km。距離はそんなに走らないって人の場合も、年月で言えば、1年~1年半でタイヤのゴムは劣化します。

安全に走るためには、定期的に部品の交換やメンテナンスが必要なんです。

それを面倒だと思う方には、「貴方がロードバイクに乗るのはまだ早い!」とだけ言わせて頂きたい。

だから覚悟がいるんです。



ロードバイクは単に速く走る為の道具でもファッションの道具でもありません!

人馬一体を感じられる、言わば身体の一部なんです。

常にベストコンディションで走り、それによって故障箇所や異常があれば、乗った瞬間身体で感じる事ができる・・・

そのくらいデリケート且つ判りやすい乗り物なんです。

何となく乗っていて変化にも気付かないようだと、宝の持ち腐れだと言われても仕方がないレベルなんです。(厳しい言い方をすれば・・・)

自分の気持ちやイメージを走りで表現してくれて、時には命にも関わる瞬間を共に体験する乗り物ですから、恋人やパートナーくらいに考えて付き合って欲しい訳ですよ。



少なくとも我々自転車屋のメカニックは、お客様の命の安全が第一で、その上で細かなセッティングまでお客様の体格や走りに合わせて、一台一台異なったセッティングで組んだり調整したりするものなので・・・

せっかくそのお客様の為に気持ちを込めて自転車を仕上げたのにも関わらず、扱いが雑だと本当に萎えるんですよね。



いや、「仕事が忙しくて自転車を触っている暇すらない!」って言うのであれば、それはそれで解からないでもありません。

僕も自分の自転車を触っている時間がありませんので、痛いほど気持ちは解かります。

それならそれで全然構いませんので・・・

恐縮ではございますが、「全然洗車も出来てないので汚いのですが・・・」とか、「洗車も併せてお願いしても構いませんか?」などと一言添えて頂けると、我々の気持ちは大幅に救われます。

お客様がご自身の自転車に対して自覚されているのであれば、我々も協力を惜しまないというか。

頑張って作業ができると思うんですよ。

僕らも人間ですから、気持ちの部分で動いている要素もかなり高いので、お客様のご協力(日頃の洗車など)や、是非心ある言い訳などを聞かせて頂けたりすると、僕なんかは単純な性格なので、喜んで作業をさせて頂いたりします。

どうか皆さん、車もバイクも自転車も関係なく、ご自身の愛車に「いつもありがとう。」とか、「今日もご苦労様!」という声をかけてあげて下さい!

コミック『ワンピース』のウォーターセブン編の終盤、初期から乗船して、共に冒険していた海賊船『メリー号』との別れのシーンがありますが、そこでクルーたちの気持ちになって涙を流せる方なら、その意味がよく解かると思います。

それが自転車好房と名乗る、我々からのお願いです。

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