今回の山行も残りあとわずか。
穂高岳山荘から下山して、現在横尾山荘前でヘルメットを外し、ウインドブレーカーとゲートルを片付けています。
休憩時間を抜いた穂高岳山荘から横尾山荘までの移動時間は3時間半。
横尾山荘から上高地まで僕は通常2時間ほどで歩きますが・・・
お腹が空いたので徳沢で寄り道して、徳澤園のカレーライスとソフトクリームを頂こうというのが、上高地経由で帰ることになった事のせめてもの楽しみである。
横尾山荘前にはこれから涸沢や槍沢方面に向かう登山者が、たくさんお昼休憩をしておられました。(写真で撮影していない場所にも休める箇所は無数にある。)
ゲートルはよく頑張ってくれました。
ブーツに砂や砂利が入らないように働いてくれたのですが、ゴロゴロのガレ場を歩き過ぎてゴムひもが千切れてしまいました。
こんな装備一つにも感謝の気持ちでいっぱいです。
着替えと片付けに10分程費やしてからの再出発!
右手に屏風を見ながら南進する。
前穂高岳は完全にガスの中です。
前を歩く女性・・・僕と同じくお一人様なんですけど、ずっと同じペースで僕のすぐ後ろを歩いてくるので、それが嫌で写真撮影をしている隙に先に行ってもらったのです。
とにかく挨拶や声掛けをしてくれないので、すれ違う人やグループの登山者たちを追い抜く際とか、僕が全部「こんにちは!」とか「お先に失礼します!」って声をかけて、道を譲ってもらっていて、そこを普通に後ろから黙って付いてこられるっていうのが気持ち悪かった。
結局彼女一人だとペースが上がらないので、やがて僕が追いついてしまうのだけど、その際も他の登山者やハイカーさんに一切声掛けをせずに、突然グループの真ん中を突っ切るように抜いて行ったりするものだから、僕が後ろから大声で「こんにちは~!お先に失礼します~!」って叫びながら歩いたり・・・
徳沢までずっと一緒だったので気分的に疲れました。
本当にこういう人・・・嫌いやわ~。
徳沢の手前に新村橋がある。
パノラマコースを歩いた人はここから上高地までのルートと合流する。
このあとパノラマコースから下山してきた紳士に「お先に失礼します!」って追い抜こうとしたら、あれこれ話しかけられてしまいまして・・・。
徳澤園で一緒にご飯を食べる事になりました。
僕は名物のカレーライスを注文!
なかなかオシャレな店内だが・・・
決して高級レストランではないので、お皿の縁を拭かずに運んで来た事については目をつむって頂きたい。
レトルトではないので美味しく頂けます。
ただちょっと金額を追加すれば大盛りがあって・・・大盛りの方が圧倒的に豪華だった!
ケチるんじゃなかったと後悔!
それでもやはり僕個人の感想としては、北穂高小屋のカレーに勝るものは無い!と言いたいです。
安いし美味い!しかもコーヒーも作り置きではなく、注文してから淹れてくれるのに300円とビックリするくらいの安さ!そして槍ヶ岳を眺めながら飲めて最高に美味い!
そんな北穂高小屋には負けるかも知れないけど、十分美味しかった徳澤園のカレーライス。
〆のソフトクリームも美味しかった。
ようやく生き返ったような気分になれました。
一緒にお食事をした紳士は千葉からお越しのようですが、相当寂しかったのかなぁ~?
本当に色々なお話を振って来るので、バスの時間もあって早々に出発したい僕も根負けしてしばらくお相手をする事になりました。
結構とぼけた感じの紳士でしたが、若い頃から登山が好きで、僕なんかよりも全然大先輩でした。
こんな方が穂高岳山荘の食事の席でご一緒だったら、きっと楽しい夜を過ごせたのになぁ~って、ちょっと悲しくなってしまいました。
45分滞在した徳澤園ともお別れ。
南に六百山(霞沢岳の北側)が見えてきました。あの角を曲がったら河童橋です。
前穂高岳どころか明神岳も見えないくらいガスっています。
横尾から徳沢までは45分で、徳沢からここ明神までは40分で来ました。
明神から河童橋までは右岸を歩けば35分で、嘉門次小屋方面から左岸で歩くと50分かかります。
横尾よりは安くなっているけど、まだまだ高いなぁ~。
ドリンクは上高地に着くまで我慢します!
この人たちは下山組かな?
さすがにもう時間は14:20なもんで、今から涸沢を目指す人なんていてはいけない。
行っても槍沢ロッジが限界だと思うし、僕個人としては横尾泊まりがベストだと思う。
そんな理由から、今ここにいる登山者は下山組ばかりだと思いたい。
天候も微妙なので、遅くまでの歩行は勧めたくないですね。
この方々は中国系の方々で、楽しそうに写真を撮りまくっていました。
観光客の方はそんなに奥地まで行かないでしょうから、まず安心かな?
今日は梅花藻の隙間を泳いでいるイワナを見つけられませんでした。
14時半にはバスに乗りたかったのですが・・・
河童橋に到着したのが14:55でした。
岳沢カールも雲で奥穂高岳が一切見えません!
今日は奥穂高からの稜線を歩いていたら寒さと風でえらいこっちゃになっていたはず。
行かなくて良かった。
岳沢をバックに自撮り・・・って岳沢が隠れてしまったわ!(笑)
もちろんここでも河童橋と岳沢、奥穂高岳に向かって合掌して一礼!
僕の登山の時のルーティーンですが・・・
①山岳信仰の山の場合、山そのものに登山時と下山時に合掌や一礼をする。
②祠やお地蔵さんには必ず合掌して登山の無事を祈り、帰りは感謝を伝える。
③頭の中でパフュームの曲『ゼログラビティ』がエンドレス。
➀は北アルプスに頻繁に出入りするようになった20歳頃から実践しています。(他の登山者たちの祈る姿に感銘した事がきっかけ。)
②は子供の頃から迷信めいた話を信じていて、実際に祠やお地蔵さんに助けてもらった事や、不思議な体験をしても無事に帰ることができた経験から守り続けています。
③は標高も上がって身体が重くしんどい気持ちを、少しでも忘れさせてくれる曲だから。
まあそんな感じです。
平湯温泉行きのバスがなかなか来ないので、待っている間ソワソワしていました。
新穂高ロープウェイの登りの最終は16時発です。
現在15:05・・・絶対に間に合わんやろこれ?(汗)
うわぁ~っ!どうしよう?下から鍋平まで歩いて登るの?
森の中やから暗いし、もう急な山道を登る余力が無いんですけど?(苦笑)
アルピコバスさん・・・インフォメーションのスタッフさんが、全員タイとかフィリピン系の女性になっていました。
しかも英語も日本語も流暢なのですごいなぁ~って感動!
後で思ったんだけど、ここでタクシーを捕まえておけば良かった。
平湯温泉に着いてから僕は、乗り換えのバスが来るまで更に55分も待たされる。
当然絶望的な時間になっている。
ロープウェイに乗る事はもう不可能!
平湯温泉のインフォメーションのおねえさんに、鍋平に行く一番楽な方法を聞いてみた。
まずタクシーはそもそも平湯には待機しておらず、高山からの配車になるから金額がとんでもない事になるそうだ。
なので新穂高行きのバスで、ドライバーさんに申告しないと寄ってもらえないルートがあって、そこの中尾高原の足湯前で降ろしてもらえば、鍋平まで距離はあるけど歩きやすいはずです!とアドバイスを頂きました。
中尾温泉・・・若かりし日に泊まりに来た事のある、隠れ里的な秘湯の温泉集落です。
足湯前で降りたのが17:25です。
西の空でさえこの薄暗さです。
もうね・・・山に入っちゃいけない時間帯だと思いません?
温泉宿の人に軽トラックで送ってもらえたりしないかな?
とか真剣に悩む時間帯ですよ。
看板に鍋平駐車場まで2.5kmとか書いてあったけど、実質僕の停めている第7駐車場までは3km以上あったと思います。(早歩きで32分かかったので)
笠ヶ岳の方を見ると険しい山容が・・・
錫杖岳というロッククライマーに人気の山だそうです。
あんな険しそうな岩場を見たら登りたい衝動に駆られます。
とりあえずもう僕は既に嫌な予感しかしておらず・・・
クマ対策の準備だけ整える。
ただし、これからますます暗くなる山道を歩くのに、ヘッドランプは使いません。
そしてクマ鈴も敢えて袋にしまって鳴らないようにしました。
万が一襲われた時の為の装備だけ準備。
昨日よりは視力が回復していたので、自分の夜間視力に頼ります。
歩きながら撮影しているのでピントが合っていないのは許して下さい。
実はこの写真の正面の藪の中にクマがいます。
歩き始めて5~6分後の出来事です。
こちらが風下ってこともあって、クマもしばらく気付かずにエサをあさっていた模様。
僕は草木の匂いの中に動物臭が混じっていたので警戒していたのですが、まさか目の前にいると思わなくて、藪の中のガサガサ音を頼りに目を凝らしていたら、そいつが急に2本足で立ち上がって、くるっとこっちを振り向いたのです。
食事の邪魔をしたとしたら襲ってくる可能性もあるので、ここは敢えて威嚇するしかないと思い、「うおぉ~っ!」って新穂高の谷に響くくらいの大声で雄叫びを上げた後、「かかってこいや~っ!」って叫び、臨戦態勢の構えでそのまま前進しました。
クマは慌てて藪の奥に走って逃げて行きましたが、急にスイッチが入って反撃してくる場合も考えられるので、こっちは絶対に油断ができません。
中尾温泉まで逃げる選択肢もあったかも知れませんが、クマに背を向けるのは基本的にNGです。
走ったりするのは更にNGです。
それに僕は車まで戻らないと神戸へ帰れないので、クマがいようが鬼が出ようが、前進するしかなくて・・・
「さあ来るならいつでもかかって来いよ~。俺は逃げも隠れもせえへんぞ~。」と言いながら、クマのいた藪の周囲を時計回りに3分の2周。
そういう道路の作りをしている真ん中に、何でクマがいるねん?って話なんですけど。
クマは藪の奥の森の中に逃げ込んだけれど、そこですぐに音が止んだので、きっとまだ森の入口付近からこちらの様子を窺っているはずなんです。
なので右手の藪に注意しながら、音や風、周辺の草木の動きに全神経を集中させて歩く。
クマは1頭とは限らないので。(八幡平の例もあるので油断ができない。)
僕はもう腕が折れてもいいから、渾身の一撃でクマの鼻頭を砕くつもりで、飛び出してきたら一撃で決めようって覚悟をしている。
もしもしくじったらこっちの最期だなぁって。
カーブの後長い直線が続く。
クマに背を向ける形にはなるけど、僕が動じないで道を進んでいたので、クマもわざわざ深追いはしてこない感じでした。
これがその時の歩いたルート。
矢印の場所でバスを降り、民宿たきざわさんのピンクの印の上に×印を書いていますが、そこがクマのいた場所で、そこを巻くように道路が続いているのが判ると思います。
その後『北アルプス大橋』という大きな橋を渡ります(実線部分)が、そうすると次は別のクマのテリトリーに入ってしまう訳です。
鍋平の駐車場でもクマの目撃談が頻繁にあるようなので、少なくとも1頭以上は棲んでいると考えていいでしょう。
僕の車は赤〇の場所に駐車しています。
これは橋の上から新穂高ロープウェイの山頂駅方面を撮影。
もちろん山頂はまだまだ上だと思います。(ガスっているので)
こちらは笠ヶ岳方面の写真。
後ろを振り向きましたがついて来ている気配はありません。
自分の縄張りを出てまで、無理して追っては来ないと思うので、とりあえずさっきのクマはもう大丈夫でしょう。
しかし・・・
橋を渡ってからも長い直線で、徐々に森の中に入っていく。
左手は第11駐車場で、突き当りが第8駐車場である。
第7駐車場は突き当りを左へ曲がり、再び突き当りを右に進んで5分ほど奥へ進んだ所にあります。
丁度北アルプス大橋を渡った付近が中間地点って感じです。
実際には写真で見るよりも辺りは暗くなっていました。
時々雄叫びを上げつつ歩くものの・・・第9駐車場と第8駐車場の付近が一番不気味でした。
公衆トイレの建物とか・・・
余りにも人気(ひとけ)が無さ過ぎて・・・ジュラシックパークのイスラ・ソルナ島を一人で歩いているような気分でした。
当然ロープウェイ関係者も1時間前には退勤しているはずなので、ここに人間は僕一人しか歩いていない事になります。
「ヴェロキラプトルとか出てきたらどうしよう?」って、もはやクマどころの話じゃなくなります。(笑)
そもそもなぜ暗くて道も判りにくいのにヘッドランプも点けず、しかも雄叫びを上げるくらいならクマ鈴でいいじゃないか?って思うでしょ?
クマって嗅覚が鋭くて、こんな山の中でも10km先の匂いを嗅ぎ分ける事ができる個体もいるそうで、もしも人を襲い慣れたクマがいた場合、匂いだけでなく、ヘッドランプの灯りやクマ鈴の音で、エサの場所を突き止めて下さい!と言っているようなもの。
そういうもしもに備えて装備から外していたのです。
雄叫びは有効なんです。
特に渓谷のある山なら『やまびこ』効果で声が反響するでしょ?
クマは自分より大きな敵や、強そうな敵にはわざわざ近付かないので、正体がバレていないうちは特に有効な手段かと。
そしてようやく第7駐車場の入口まで来ました。
樹木のシルエットが辛うじて判別できる程度の真っ暗闇です。(笑)
駐車場に残っている車は僕のを入れて4台だけ。
しかも誰も乗っていません!やはり駐車場に僕一人しかいない状態。
今回RX-8で来てよかったのは、キーレスだから離れていても鍵が開けられて、車の周辺に隠れている動物がいないかも確認できた事。
久々に怖い思いをしたので、18:00・・・靴も履き替えずに発進!
さっき出会ったクマ・・・前日に荷継沢で見かけたクマより大きかったと思います。
立ち上がった時、僕とたいして身長が変わらなかったので・・・
栃尾温泉でボロボロの脚を癒し、着替えてから出発しました。
ちょっと公衆トイレの前に不審者が座っていたので撮影。
あんなところで一人で何しているんだろう?
帰りにひるがの高原のSAで夕食。
どんだけカレーライスが好きやねん!?って突っ込んで頂いて結構です。
大盛りカツカレーでお腹いっぱいになりました!
帰りは珍しく名神道で帰って来たのですが・・・
トラックの急な車線変更攻撃がかなり末期になってきていますね。
これでもか!っていうくらい突然!
まずウインカーを出してからミラーと目視で後方確認をしっかりして、3秒後に車線変更ですよ!
既に車線変更のモーションに入ってから後出しウインカーとか『頭おかしいんですか?レベル』の運転ですから。
運転のプロなら嫌がらせみたいな運転はやめましょうね。
とんでもない大事故を起こしても知りませんよ?
それにしても一番酷かったのが・・・突然前に割り込んで来て、そのまま追い越し車線を延々30分も時速75kmで走り続けられた時は、さすがに眠過ぎてオチるかと思いました。(走行車線と変わらないスピードで走り続けて邪魔をされた。)
クマと2日間に渡って出会いながら無事に下山して、終わりよければすべてよし!な感じだったのに、最後の最後で名神道のトラック野郎20名ほどに気分を台無しにされて、深夜0時過ぎに帰宅したのでした。
でもなんだかんだ言ってもたった2日間だけの山行なのに、いったい何度ハラハラドキドキさせられたり、絶体絶命かも・・・って思わされた事か。
これこそがアドベンチャーだなぁ~という充実感でいっぱいです。
そして集中力を使いすぎたので、倒れるように寝てしまいました。(笑)
まあ今回の課題としては、とりあえずどうやったらこんな星空を撮影できるのか・・・
次回はしっかり研究してから槍穂高に赴きたいと思います。
相変わらず長い文章を読んで頂き、誠にありがとうございました。