正直言うと夏休み前から「こんな店、もう閉めちまおうか!」そう思う事が連続していた。
6月23日に祖母が亡くなって余計に、辛いと思う事が増えた気がする。
昔みたいに学校帰りの小学生が多く寄り道するようになったのは良かった。
保育園、幼稚園の頃から園のお散歩で店の前を通る度に、「自転車屋さ~ん!」って声を掛けてくれて手を振ってくれていた子供たちのうち何人かが、寄り道するようになったのがきっかけだったかな。
しかしうちは自転車屋なのに、子供たちの間では「ここは子ども110番であり(アトラクション)遊び場」っていう認識の子が多いらしく、中には学校が終わってから遊びに来たと思ったら、その子の自転車がいつの間にか新車に変わっていて、明らかに某サイクルベースの自転車だったりする事もある。
いつも店内で5~10人くらいの子供たちがキャーキャー騒いで走り回ったり、お菓子を食べ散らかして、食べかすは転がっているわ、店内のゴミ箱がお菓子のゴミでパンパンになっているわで、店内がにぎやかになっている事以外に何のメリットもない。
挙句の果てに遊び相手になれだの、鬼ごっこに付き合えだのという始末。
こっちは店の家賃も払わないとならないし、従業員の給料も払わないとならない。
売上がないと店の存続どころか自分の生活すらままならないし、祖母の介護費用も支払えない訳だ。
そんな大人の都合なんて関係ないのかも知れないけれど、世の中の仕組みについてあまりにも無知過ぎやしないか?
今どきの保護者は「お店に迷惑をかけるな!」としか教えない。
それですら教育している家庭はまだマシな方だと言える。
当店としては別に子供たちが遊びに来たり寄り道するのは一向に構わない。
僕も自分の居場所が無くて辛かった子供時代を経験しているので、ここが心の拠り所になるんだったらそれでいいと思っている。
だから仕事の合間にだっこしろだのおんぶしろだのと言われても、別に苦ではない。
喜んでくれるなら大抵の事は相手になってあげよう。
しかし空気は読んで欲しい!
忙しい時は相手できないし、自転車を買いに来てくれているお客様と交渉している時に「ねえねえちょっと聞いて~!」はさすがにない。
ある男の子は展示しているビクシズのロードバイク(組み立て当時で130万円以上)を見て「何でこんなに高いん?1円やったら俺が買ってやるのに。」というもので、「それじゃ自転車の価値は評価されていないし、そもそもそんな売上では商売は成り立たないでしょ?」って返してあげたら、「うわっ!商売やって!汚ねぇ世界だな大人って奴はよ~。」と大声で吐き捨てながら帰って行った。
正直・・・人としてのモラルを疑う。
子供だからと言って決して許されるレベルの話ではない。
じゃあ言わせてもらうが、その汚ねぇ商売のお陰でてめぇの親も給料をもらっている訳で、そのお陰でてめぇも平々凡々と生活できて学校に通わせてもらってやがるんだろ?
そう親の前で、何なら親ごと説教してやりたいと思った。
ある時などHAT神戸特有の強風で傘が壊れたと言って、女の子のグループが店内に入ってきた。
その折れ曲がった傘を直して欲しいというのだ。
本来なら料金を頂きたいくらい、ちゃんと使えるように直してあげたのに、帰って親に報告とかする訳でもなく、それ以来僕の事を『バケモノ』と呼ぶようになった。
曲がった金属をいとも簡単に真っすぐに直した事を褒めてくれての事だとは思うのだが、表現の仕方がよろしくない。
他のお友達までもが意味も解らずに僕を『バケモノ』と呼ぶようになった。
店に来る度に担いだりお姫様抱っこをしてくるくる回って欲しいとせがんでくる女の子が何人かいて、1~2回程度のおねだりだったら僕も気にしないし、その分お客様から預かった仕事を急いでやればいい!って考えではいるんだけど、エスカレートして20回も30回もせがんでくる子が数名。
中には近々自転車を購入予定だって子もいたので、だからって訳じゃないけれど・・・怒るに怒れないし断り続ける事もできず。
その代わりちゃんとその子の気に入った自転車を探してあげて、キッチリ組み立ててあげよう。
そう思うようにしていました。
スタッフからは「店長は甘すぎ!あんなの無視した方がいいですよ!」って言われながらも、美里やなっちゃんも然り、アキラ君のようにうちの店に子供の頃から通って成長していった人物もいる訳で、まあそうやって子供たちが成長していく過程を見守ったり、指導してあげるのは嫌いじゃないんだよね~って言っていたんですよ。
そしたらその毎日って訳じゃないけど毎回30回くらい抱っこして回して~って来る子が、夏休み前に自転車を買い替えたらしいんですよ。
某サイクルベースで。
その翌日にその子が当店に来て、「店内に置いていた小さな可愛い招き猫が無くなっているのに気付いてる?」って店に来て言ったんですよ。
そんな事気付きもしなかったのでそれはそれで驚いたのですが、それ以上にその子が自転車を他店で買い替えた噂を知っていたので、どう接していいのか判らず困惑していたら、「あっ!私新しい自転車買ってんで!乗って来て見せたろか?」って言われました。
小学2年生です。
そのくらいの分別があってもいい年齢です。
これまで色んな事があっても我慢し続けていたのは、誰かに喜んでもらいたいから。
僕は親にも恵まれず、極端な環境で子供時代を過ごしてきたので、「将来は誰かの為に頑張り、誰かの笑顔の為に良い仕事をする。正直者が馬鹿を見るのではなく、頑張った人が報われる。それが当たり前の会社!当たり前の時代を作るんだ!」そう誓ったのは中学2年生。
14歳の時でした。
自分の過去や色々な記憶が脳裏を駆け巡りました。
「ゴメン、もう君とは二度と話したくない。もう店に来ないでくれ。」
思わずそう言い返してしまいました。
同じタイミングで店内で「もうしないで!」って行為を何度注意しても辞めずにしつこくしてきた別の子をちょっと本気で怒りました。
その子は他人から特別扱いをされる事に優越感を感じていた子なので、当然それ以来当店を避けるようになりました。
根が良い子だったのでとても残念でしたが、自分のやり過ぎたいたずらと向き合おうとしない子を、反省もさせずにまた呼び止めるのは違うなと思うのでそれ以来放置。
また更に別で、「店長~!鬼ごっこしようよ!」って誘ってきた女の子に至っては、「今は修理が多くて忙しいから無理!」って断ったんだけど・・・。
「えっ?そんなんいいやん!じゃあ店長が鬼で!1分数えたら開始な!」って、勝手に吐き捨てて走って行った。
他の友達も困惑しつつ走って行った。
いや、無理って言ってるやん?僕が鬼ごっこに付き合ったら付き合った時間の人件費をちゃんと払ってくれるんか?
そう思いながら作業をしていたら、まもなくキレながら戻って来て「何なん!おもろないからもう帰るわ!」って肩をいからせながら帰って行った。
あの・・・怒りたいのはこっちの方なんだけど?
そんな事が立て続いて7月下旬に心が壊れそうになっていました。
2学期に入ってまた別の女の子が他店で自転車を購入しました。
元々当店に並べていたコーダーブルームが欲しかったらしい。
でも成長期だからそろそろ大人用のサイズにした方がいいよ!
そうアドバイスしたのが悪かったのかなぁ?
どんな自転車が欲しいのか、また決まったら相談してね!と伝えていた。
それから数日後「私違うお店で自転車を買うかも知れない。」と言われ、なぜ?って聞いてみた。
「お母さんと色々調べてみてこれ良いんじゃない?っていう自転車があって、もしも店長のところで取り扱いができないんだったら仕方がないね。って話になったから。」と言われました。
「じゃあそれがどんな自転車かまた教えてくれる?」そう返しました。
そこからまた1週間以上が経ちました。
何も言ってこないままだったので、お母さんが兼用できる自転車がいいねと言っていた事を考慮して参考になる自転車を発注していたのが、ちょうど届いて組み直していたところでした。
「あのね店長、私が他のお店で自転車を買ったって言っても怒らへんやんよね?」と学校帰りに立ち寄るなり言ってきた。
またこのパターンかよ!って思ったら、頭を打ち付けられたような気分になりました。
何かもう・・・その時はどう話していいのか判らなくなって、とにかくショックであることは伝えました。
そこから向こうも気まずくなったらしくて、学校帰りも店の前は通るけどさっと逃げるように立ち去り、いつも一緒に帰るお友達が代わりに挨拶して帰っていくような現状。
自転車は洋服と違って1度買ったら何年も買い替えないでしょ?
何着も買うみたいに何台も買わないでしょ?
それだけに商品1品1品にかける情熱って半端ないのよ。
大切にしてくれるお客様に出会って欲しい!
少なくとも個人経営の自転車屋は、毎日そんな思いで新しい自転車を組み立てているんだよ。
まあ小学生の子供たちにそこまで理解しろ!なんて言えないので仕方が無いのですが。
それ以来悶々としている訳です。
根は良い子なのはよく知っているし、ご両親とも面識があって・・・それもちゃんとしたご家庭なのも知っているので、余計にやるせないなぁ~って。
そして今日。
中学生くらいの男の子が「すみません!ペダルを漕いだらカラカラ音がするんですけど?」ってやってきました。
自転車を見たらチェーンカバーが内側に押されてチェーンと干渉しているだけでした。
そんなのすぐに引っ張れば直る話なんだけど、手は汚れるんですよね?
その作業をしただけで手を洗わないと、次の作業に戻れない訳です。
でもまあこれくらいタダでしてあげようかな~って思っていたら、そもそも最初から支払う意思は無かったかのように立ち去ろうとして、そこで思い出したように何か言おうとした。
そこで「あっ!すみません!修理代はいくらですか?」
そう言ってくれたならいくらか僕の心は救われたと思う。
しかし出てきた言葉は・・・
「あっ!ついでに空気を入れてもらってもいいですか?」
えっ?何?そっちの話?ついでにってどういう気持ちで言ってんの?
大魔神の如く形相を変えて蹴散らしてやろうかと思ったけど、笑顔で応対。
でも心の中では「お前の顔も自転車も覚えたからな!もう二度と助けてやらん!」
そう思った。
次にやはり中学生かな?美里やなっちゃんの友達の弟君が自転車を押しながら店内に入ってきた。
基本入口を塞がれたくないので、いきなり自転車を店内に入れてもらいたくないのである。
「どうしたの?」って聞いたら「ボールに空気を入れて下さい。」って。
尚更その自転車が邪魔なので「悪いけど自転車は外に出してもらえるかな?」って撤去させる。
実際にその自転車で入口を塞がれたお陰で、店内に入れなくて困っているお客様がいた。
更にそのボールはボロボロで前から買い替えた方がいいよ!って助言していたボール。
とりあえず空気は入れたけど、どこかからシューって空気が抜けている。
小さいけどゴムが剝き出しになっている辺りに擦り傷の穴が開いているみたいだ。
その子は怪訝そうな顔をしてボールに耳を当てた。
そして何も言わずに立ち去って行った。
いやいや、礼ぐらい言って帰れよ!
怪訝そうな顔をしたいのはこっちの方や!
エジプト人のハーフか何か知らんけど、国の文化の違いとかそういう問題ではないので、彼も出禁決定で。
そして最後に二人組の小学生の女の子が店に来て、電動アシスト自転車購入の相談をしているお客様の会話を遮って留美さんに声を掛ける。
慌てて僕が「どうしたの?お客様とお話しているからこっちで聞くよ?」って声を掛ける。
すると指を怪我したからバンドエイド(絆創膏)を貼って欲しいとの事。
すぐに消毒液で傷の周りを拭いてあげて絆創膏を貼ろうとしたら、玄関で待っているハーフの女の子が「何してるん!早くして!まだなん?」って大声で怒鳴るわけ。
その声で留美さんとお客様の会話がかき消されて空気が悪くなる。
間もなくハーフの女の子は店内に入って来るなり、「バンドエイドは無事に貼ってもらえたの?」って確認した直後、僕に向かって「こんなことでそんなに時間かかるもんなん?まあ別にええけど。」って吐き捨てて帰ったのである。
こんなこと・・・って何?
うちは自転車屋やで?
消毒と絆創膏を貼るのに3分もかかってないけど?
当然お金も取っていないし?
何で好意でやってあげている事にそんなイチャモンをつけられなきゃいけないんだ?
何かもう、どこにぶつけていいのかも判らないようなやるせなさや切なさが・・・。
この気持ち・・・自転車屋じゃない貴方にも解りますか?
特に親世代の方々にはこんな事実もあるって事を知ってもらいたいものです。
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