パンクしたのでついでだからタイヤとチューブを交換して欲しい!ってお客様がやってきましたが・・・
クイックレバーが少し弛んだ所から一切回らなくなってしまいました。
って言うか手応えが無いなぁ~って回し続けていたらこの通り!
カバーが外れてしまってどうすりゃいいの?
しかもシャフトの先端がくの字に曲がっていて、それをプライヤーで真っ直ぐにしたものの、ネジ山は歪んだままなので、外すのにものすごく手間と工夫がいりました。
何とか外した後はプライヤーとモンキレンチを応用して、限りなく真っ直ぐに整えてからダイスでネジ山をタッピングし直します。
これで問題なくシャフトの取り外しと取り付けが楽になる。
ブラックスポークの塗装がほぼ剥げています。
リムのブレーキ辺り面も紙やすりで研磨してあげたいくらい荒れていて、所々が腐食しています。
結局ただのタイヤ交換やチューブ交換で済まなくなってしまう。
それもそのはず。
自転車はジオスのミストラル。
コーダーブルームのレイルシリーズが登場するまでは、クロスバイクの中で最もコストパフォーマンスが高いと言われていた人気モデルです。
理由が単純に5万円のクロスバイクにシマノのR501という、前後ペアで約15000円する完組ホイールが装備されているからコストパフォーマンスが高いですよ!っていうだけの話で・・・走行性能が特別優れている訳でも何でもない。
ジオスを選ぶ人の大半はビアンキと動機が変わらない。
ジオスブルーが綺麗とか、スチールフレームの線の細さがオシャレ!って理由で探す人がほとんどで、その見た目のオシャレ度に加えての決定的な理由がコストパフォーマンスと言われている。
見た目は確かに大切だ!
しかしコストパフォーマンスの理由がR501っていうのが何とも言えない。
普通に考えたら前後ハブと前後リムの部品代だけで15000円くらいは超えてしまう。
そこにスポーク&ニップルの部品代と組立て工賃を加えて完組ホイールの価格が15000円未満で販売できるのだから、そもそもが大したホイールではないって判断になるはずなんだけど、部品の適正価格を知らない一般層にとってはそうはならないらしい。
どこまでもホイールセットが約15000円で販売されているって事実だけで、それを装着して5万円のミストラルは部品にお金をかけている!って錯覚を起こしている訳だ。
それ以上に重視すべきはスペックと五感に伝わる刺激である。
スペックは軽さばかりが正義ではないものの、やはり最低限意識してメーカーに努力して欲しい要素である。
コーダーブルームのレイル700はノバテック(現在はもっとすごいメーカー)のシールドベアリングハブを採用していて、前後ハブのセットだけでも2~3万円以上の価値がある。
どういうルートでそのハブを仕入れて、6万円台のクロスバイクに採用できるのか未だに理解できない事なんですけど、これこそがメーカーの努力の証だと思います。
滑らかなな回転性能は失速しにくいので、脚を休めても惰性だけで距離と速度を稼いでくれる。
そういった事情から、僕のように「お客様には是非楽しく自転車に乗ってもらいたい!」と考える人間にとっては、お金をかけずに高性能な自転車をお客様に勧めるのであれば、迷わず絶対にレイルシリーズを勧めるのだが、ジオスやビアンキを勧めるようなお店は基本的に人気があって売れれば何でも良いのか?って思えてしまう訳。
とはいえ・・・もちろん見た目の好みは人それぞれなので、絶対に選ぶならこの自転車じゃないとありえない!・・・って意味ではないけれど、そんな自転車を選ぶ人は、どこまでも走りの本質よりも見てくれ重視なんだ?って感じてしまう。
そしてなぜか・・・そういう人ほど、いざ購入して乗って見たらメンテナンスも適当で、空気圧の管理すらできていない人が大半。
ながら運転に信号無視など『乗り方が丁寧であるかどうか以前』の人も少なくない。(必ずではないが少なくない!って意味)
ミーハーな自転車を選ぶライダーほど、意外にもそういう傾向が強いと感じる事が多い。
で上写真、件のミストラルの気になるポイントとして、フロントフォークがコラテックのカーボンフォークである事が確認できます。
写真から推察できる事として、この自転車がワンオーナーであった場合、過去に何かに追突(衝突)してフロントフォークを破損したって事が可能性として考えられる。
それもヘッドアングルとかオフセットは元のフォークと合わせているのか?好みで変えたりしているのか?
いやそこまでこだわるならもっと違うフォークを選ぶだろう?って事で後者は有り得ない。
いずれにしても場当たり的に直して乗っている事が窺えるので、きっとそんなに大切にはされていないんだろうなぁ~っていう判断に至ってしまう訳です。
もしも中古で購入して・・・既にこのフロントフォークだった場合、前のオーナーがどんな乗り方をしていたのか?想像しただけで恐ろしいですよね?
シャフトが曲がったのは最近の事だと思うのですが、これは何かにぶつかった衝撃かな?
とまぁ、かなり辛辣な事を書いていますが、実はこのお客様自体は普通に丁寧な人なので、僕らもそんなに説教染みた接客はしていないんですよ。
自転車の状態だけ見たら、ちょっと厳しめにアドバイスしなきゃいけないかなぁ~!って感じてしまうのですが、クイックレバーが曲がっていた事についてお客様から申告してくれなかったものの、ご本人は自覚があった模様で、キッチリと直した旨を伝えると・・・ものすごく喜んでお礼を言われてしまいました。
そんな嬉しい反応をされちゃうと厳しく注意するなんてできない!(笑)
そうなんです・・・結局のところ自転車業界はスポーツサイクルの裾野を拡げただけで、自転車との向き合い方やマナーまで責任もって教えようなんて魂胆もなく、無責任に売ったら売りっ放しで放置しているっていうのが現状なんです。
だから僕ら販売店が一人でも多くのお客様に、自分の自転車に対する愛着とか、楽しく安全にサイクリングを楽しんでもらえるような情報を発信していかないと仕方が無い!
そういう結論になってしまうんですよね。(苦笑)
サドルの角度も大切です。
サドルの形状によっても微妙に変わるので断言はしたくないのですが、やや前上がり気味のセッティングの方が骨盤が安定するので、当店ではこのセッティングをニュートラルと指定しています。
このビアンキのお客様は半年~1年に一度はメンテナンスで持って来て下さるのですが、野外で保管している上に雨の日も通勤で乗られるので、毎回自転車の状態は最悪です。(笑)
それだけに大したメンテナンスもせずに長年乗り続けたクロスバイクのフロントサスペンションが抜けて転倒した過去の賠償責任問題の裁判とか・・・ビアンキ側が負けて支払う事になったあの裁判・・・ちょっとビアンキが可哀想な気もするんですよ。
まあメンテナンスをする習慣すらない客層にまで販売した結果なので自業自得ではあるのですが、販売店ももっと口うるさく注意喚起しないと、いずれまたあんな不幸な事件が起こるんじゃないかと僕は思っています。
油圧ディスクブレーキのロードバイクとか・・・そのうちロードバイクの死亡事故が増えてその原因の一つが油圧ディスクのメンテナンス不足だった事が含まれていた・・・とか判明した場合、業界の体質そのものが問題視されるようになるんだろうな。
いや、むしろそうなればいいとさえ思っている。
しかし残念ながらダウンヒルでブレーキが利かなくなってそのまま崖に転落するなどして亡くなったライダーがいた場合、単純にコントロールミスで転落。って調書になるんだろうな。
警察がそこまで真面目に調査するとは思えないし。
なので実際にはそんな事故が既に発生していたとしても、誰にも真相を知られる事のないまま闇に葬られている案件がある可能性が無いとは言えないんですよね。
エアー抜きをちゃんとせずに販売しているような販売店も全国で何軒あるか判らないですし、これは本当に冗談抜きで心配している問題なんです。
ちょっと話が逸れてしまいましたが、僕がしつこく油圧ディスクブレーキのロードバイクを批判している事で、既に油圧ディスクロードを購入した方々が、自分の自転車のブレーキコンディションを気にするようになってくれたら嬉しいなと思っています。
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