頭の中身がいつまでも90年代のままとか思われるかも知れません。
でもこれだけはハッキリと自分の意見を言わせて欲しい!
なぜ2020年モデルになって一気にディスクブレーキ仕様の自転車が増えたんだ?
それも2019年モデルからは油圧ディスクブレーキがレギュラー化されて、機械式(ワイヤー式)ディスクブレーキのばら売り部品としてのラインナップ自体が縮小された。
もちろん油圧ディスクは効くし、メカニカルフェチにはたまらないギミックだと思う。
でも油圧ディスクなんて要らないし、今後の自転車という乗り物の方向性がどうなるのか見えなくなっている。
逆に言い換えれば、自転車という乗り物へ投入する技術も行き着くところまで行き着いた結果、マンネリ化防止の為に流行りで油圧ディスクを入れてみた・・・
そう思われたって不思議じゃない。
25年以上MTBやロードバイクに乗って、野山を走り、ロードレースにも出場した経験を持つ人間の結論から言うと、油圧ブレーキ自体が特殊な競技のみ真価を発揮するパーツであり、それ以外ではオーバースペックで、しかも取り扱いに注意が必要な・・・
決してこれからスポーツサイクルを始めたいという人に勧めるような、そんな安易なものではないのです。
恐らく僕がこれをいくら言ったところで、「これからはディスクロードの時代ですよ!」とか、「油圧ディスクの方が楽ですよ!」とか、いくらでも甘い言葉で消費者を騙すメーカーや販売店は増えるのでしょう。
下り坂でロードバイクに乗るとブレーキの握り過ぎで疲れる・・・そんなの当たり前!
だったら握力を鍛えろよ!
筋力もない体幹もない初心者が、いきなり六甲山とか自転車で上るのか?
本来はそんなはずがない!
まずは身の丈にあった道から走るはずなんだ。
人に誘われていく人はいるだろう。
その場合事故があれば全て誘った人間の責任だよ!
そのくらい緊張感を持ってグループで走って欲しい。
自転車のチームやサークルは『仲良しサークル』や『お見合いサークル』じゃない。
違う目的を満たす為に、基本である安全義務を怠ってはいけない。
油圧ディスクブレーキはそんなニーズには応える事ができる。
握力がなくても軽いタッチでストッピングパワーを得られるからだ。
しかしそれを前面に押し出して油圧ディスクを押し付ける奴は無責任極まりないとも思っている。
そんな自転車屋は滅びればいいとさえ・・・。
なぜそんな事を言いきれるのかと言うと、当店でも既に何件も油圧ディスクのメンテナンスでご来店頂いているお客様がいるのですが・・・
その中で例えば・・・購入して3ヵ月の油圧ディスクを付けたディスクロードが、既にエアー噛み噛みでブレーキレバーはべた付き!しかも自転車が止まらない!って症状の案件があったんですね。
どこで購入した自転車かは敢えて言わないけれど、これはある意味殺人行為である。
聞くと特に六甲山に上ったことも無くて、ハードなブレーキングもしていない。
むしろ週末も毎週乗っている訳ではない。
これは組み立て側、整備側の怠慢による自覚なき殺人行為である。
完成車を組み立てる際、そこまできっちり点検して精度を出していない証拠。
新車だからメーカーの仮組の際にそこまで検査されている・・・なんていうのは言い訳にもならない。
店側は形にさえ組み立てればもうOKを出してもいいのか?
残念ながらそんなお店も少なくはないというのが現状です。
油圧ディスクを普段扱っていないお店なんかは特にどう調整していいかも判らないので、「うちでは触れません!」って言われる事もあるかも知れません。
最近では安全整備士の資格を取った人も増えてきて、消費者の信用や信頼に一役買っている訳ですが・・・
正直あんまり役に立っていません。
実技試験では自分の触りやすい自転車を持ち込んで作業するので。
ロードしか触れない人はママチャリなんてまともに触れないし、ママチャリしか触らない人はロードやMTBで規格が変われば変わるほどチンプンカンプンになる訳で・・・
だからその資格を取る事について、現時点で僕は必要性を感じていません。
新品の自転車でも既にエアー噛みしている油圧ディスクは必ずあります!
特に長い期間在庫として残っていた自転車であれば、可能性は高くなります。
エアーが噛むとブレーキレバーがフニャフニャになります。
つまり圧力がかかりません!
なので制動力も落ちますよね?
当店でも販売した自転車の中で油圧ディスクの自転車に関しては、走行距離や主に走るルート、使用頻度などによってメンテナンスのサイクルがどう違うのかデータを取りながら平均を出しています。
お客様にはモルモットになって頂いているみたいで、大変恐縮なことなんですが・・・
そのお陰で概ねのメンテナンス時期が見えてきました。
当店では油圧ディスクでレースに出る人は、今のところ誰もいませんのでデータ不足ではございますが、レースでハードブレーキングを多用するMTBのダウンヒルなどは、仮に年に数回しかレースに出ないホビーレーサーであっても、少なくとも半年に1度はフルード交換をされたほうが良いでしょう。
特にフルードがドットオイルの場合は、沸点が高くてハードブレーキにも耐えるメリットがある代わりに、フルードそのものの劣化が早いので交換のサイクルは早くなってしまいます。
しかもドットオイルは産業廃棄物なので、普通ゴミとして処分ができません。
お金も手間もかかり過ぎます。
ロードバイクに使われる油圧ディスクブレーキは、シマノのようにミネラルオイルのフルードが大半なので、劣化しにくくて交換後も普通ゴミとして捨てることも可能です。
しかし沸点が低いので、長距離のダウンヒルなど、ブレーキレバーを握りっぱなしで走り続けるような人は、あっという間にエアーが噛んでしまいます。
それよりもまずディスクブレーキの場合はブレーキパッドのフェード現象に気を付けて下さい。
ブレーキをかけ続けた熱でパッドの表面が酸化したり、パッドを構成しているゴムや樹脂などが分解されて止まりにくくなるんです。
それでも握り続けた場合、フルードにも熱が回ってべパーロック現象を起こします。
べパーロック状態になれば完全にブレーキが効かなくなって、何かに激突するか谷へ落下するか・・・そんな可能性もあるので、今後油圧ディスクの自転車が増えれば増えるほど、そういった事故の話を耳にするんだろうな・・・と思っています。
なので油圧ディスクブレーキの安全かつ基本的な使用法をレクチャーし、メンテナンスの目安をアドバイスするなど、販売する側にも義務が沢山あります。
見方を変えれば組み立てだけじゃなく、説明義務も増え手間ばかりで、それでいて仕入れが高いままなので割に合わない仕事になっています。
それも自転車屋として自分の生活をかけて生きている一人の人間として納得のいかない事情である。
自転車の卸値って本当に高いですから。
輸入物には関税もかかっている訳ですし。
そんな中でバカみたいに安売りして周りの店舗だけではなく自店舗の首まで絞めつけているお店とか、対面販売による責任から逃げているインターネット販売のお店とか・・・。
薄利多売で商品の価値を下げるだけでなく、人件費をかけられない=クオリティの低下につながっていて、完全に負のスパイラルだと思うんですけど・・・
という訳で油圧ディスクブレーキの自転車を購入する人に覚悟して頂きたいのが・・・
エアーが噛んで効きが悪くなったらすぐにフルードを足してエアー抜きをして下さい!
毎日通勤で乗っている自転車等は比較的エアーが噛むのが早いみたいです。(年に1~2回のエアー抜きが必要)
ブレーキパッドも週末ライダーでさえ年に1回以上は交換しておられます。
フルード交換にもなると一度古いフルードを全部抜いてから、新しいフルードを注入してエアー抜き作業を繰り返さないといけないので、4日~1週間はお預かりしないといけません。
しかも注入口を水平にして、ブレーキホースを真っ直ぐぶら下げてキャリパーまでフルードを流さないといけないので、自転車を倒立させるなど高さを確保する手間もあります。
何しろ作業中は場所を取るので、それだけでも修理代として高額になります。
フルード交換の場合は片側だけでも通常は8000円~10000円くらいが、実際にかかる手間とか場所代を考えても適正価格だと思っています。(当店は片側4000円でやっていますが・・・)
当然の事ですが通常はフルード代は別です!そんなの当たり前でしょ?
もうねぇ・・・安ければいい!っていうお客様?の意見とか聞いてられないって、この仕事を続ければ続けるほど感じるようになったというか・・・
安く上げたかったら自分で作業すればいいし、命に関わるし自信がないからって言うんだったらお店に全て任せればいい!
僕らも商売人であるのと同時に、お客様とは信頼関係で結ばれていたいので、そのお客様の為に!って気持ちでキッチリと仕事をこなしたいんですよ。
それだけにただでさえ安くしている工賃にケチをつけられたり、「安くしてよね!」なんて言われたりしたら、興醒めして作業のやる気に関わってしまいます。
つまり油圧ディスクブレーキはパッド交換やフルード交換で、通常のブレーキの5倍くらいお金がかかるっていうこと!
そしてケチると確実に死亡事故につながるってこと!
特にブレーキホースをフレーム内蔵型にしているロードバイクなどは、本当にエアー抜きに時間がかかる!
フロントブレーキは問題ないけどリアは最悪!
それにブレーキフルードは毒物です!
口や目に入ったらえらいことになります。
触っただけでも肌がかぶれたりします。
危険物なんですよ・・・一応。
だからうちはフルード交換の場合、前後で8000円より値下げはしたくないし、エアー抜きでさえ、状態次第では片側1500円~3000円と幅を設けています。
そんな店側の事情も知ったうえで購入するかどうするかをよく検討して下さい!
売ったら売りっぱなしのお店で安易に購入しないようにして下さい!
0 件のコメント:
コメントを投稿