次はレンタサイクルの扱い方に関して・・・
最近大学生くらいの若い人が、ノリで淡路島1周とか提案して行っちゃう風潮があるようで・・・
まあ『淡路島ロングライド』なんてイベントも3年も4年も続くと、さすがに定番イベントとしてのイメージも定着してか・・・
完走率が90%なんて話も知ってか知らいでか、「俺でも余裕で完走できる!」って思っちゃうものなんですかねぇ~。
ある日3人組の男性が、レンタサイクルを3日間貸してくれとご来店頂き・・・
変速つきのシティースポーツ車が長期のレンタルで無かった事もあって、1台は変速無しのママチャリで、後は現在留美さん専用車になっているGIANTのクロスバイクと、TREKのロードバイクを貸し出す事になったのです。
一目見ただけで、「ちょっとしたノリでスポーツバイクに乗ってみたい!」っていうのが判る・・・
言い方は失礼ですが、そんなチャラい雰囲気のお兄さん方だった訳ですよ。
出来たら別途有料で、乗り方教室を受講してもらいたいくらいの初心者でもあったので、本当はちょっと不安だったんですね。
過去にもママチャリのレンタルで、淡路島を1周してきた2人組が帰ってきた際、落車して変形した箇所や、欠損した部品がある事を申告せずに帰ってしまい、修理に手間をかけてしまった事があります。
その時は淡路島を走るって事だけは事前に聞いていたので、ある程度の事は想定済みだったのですが、今回は「何に使用されるのですか?」って聞いても、「ちょっと乗ってみたくて・・・」と答えるだけだったので、まさか淡路島を1周するなんて思いもよらず・・・
返却の時に初めて知らされて、「何を考えてんねん!」って、張り倒したい衝動に駆られそうになった訳です。
初心者が仮に自分のロードバイクを持っていたとしても、僕は淡路島1周なんて、間違っても簡単に出来ると思うな!と言いたい。
イベント等で行く分には、最低限のサポートもあるし、何かしらライフラインはあるものです。
しかし個人的にいく場合は話が別です。
先日紹介した『ジロ・デ・淡路』さんなど、困った時の助け舟は無くもありません!
僕も電話を頂けば、南あわじであろうが車でレスキューに駆けつけます。
しかしそれにはそれなりの費用がかかります。
出張修理などでもたまに「近いのに出張手数料なんか取るんかい?」って愚痴を言われる事がたまにありますが、近かろうが遠かろうが、店からスタッフが離れるだけで、既に拘束されている訳ですよ?
その間、店内が忙しくても減った人数で切り盛りするしかないのです。
対応しきれずに逃がしてしまうお客様もいるかも知れません。
そんなリスクと往復の移動時間という無駄な拘束時間を考えたら、実質僕はガソリン代程度しか手数料を頂いていない訳で、仮に南あわじまでレスキューに行ったとしても、僕は出張手数料自体は1万5千円程度しか取るつもりはありません。
恐らくガソリン代と高速道路の往復でそのくらいの金額になるはずなので、往復に4時間かかった分の拘束手数料はむしろお断りしているのです。
しかし若い人や、何事においても経験の浅い人ほど、「そんなに取られるの?高いなぁ!」って言うんですね。
冷静になってリスクと費用を計算してみろよ!って怒鳴りたくなる事だってあります。
こっちはタクシーの代わりに呼び出され、自転車とお客様を乗せて引き上げて自宅まで送り届け、自転車は修理が必要であれば、そのまま店まで持ち帰って修理をするんですから・・・
その安心を移動にかかる実費しか、手数料として請求しないって考えたら安過ぎるくらいやろ!って言いたいのですが、感覚的に理解できない方も悲しい事に・・・決して少なくはないんですね。
実際そんな儲けにならない出張サービスだったら、やらなきゃいいじゃないか!って言う人もいますし、過去にいたスタッフは、自分が人件費や店の運転資金を支払っている訳でもないのに、このサービスを何の為にやっているのかわからない!と陰口を叩いていたそうです・・・
これは僕がまだヨーロッパを目指して、限られた時間で、それでも毎回80km~150km走るチームの走行会を取り組んでいた頃、誰かがパンクや落車で動けなくなった時の経験から、あったらいいなぁ~と考えていたサービスなんです。
僕はチューブラータイヤ世代なので、基本的にパンクしたらタイヤ交換しかないんですね。
しかしタイヤはリムセメントという糊で貼り付けているので、現場で交換する際は新たな糊を塗らずに、新しいタイヤをただはめて空気を入れるだけ。
仮に糊を塗ってもすぐに乾くわけないでしょ?
なので、上りや下りの激しいコースを走るのには、いつタイヤがリムから外れるか・・・という、不安がついて回る訳ですよ。
そんなネガティブな人に、同じペースで走れ!なんて言えませんよね?
それにチューブラータイヤがパンクする場合の大半は、ホイールがリム打ちしてへしゃげる程のクラッシュをした場合が多いので、自走できない事も多かったんです。
だからそういう時は他のメンバーが先に帰って、車に乗り換えて迎えに来る。
それまで田舎の山中の道路脇で3~4時間、ボ~ッと空を見上げて待っているしかないんですよ。
そんな事が、時々あった訳なんですよ。
もし当店のようなサービスがあったら、電話1本で1時間少々で迎えに行ける。
実質必要な経費しか請求しないので、それなら割り切ってお支払いもできるでしょ?
今はクリンチャータイヤが主流なので、パンク程度なら何とかなるケースが大半ですが、クラッシュした場合はそうもいきません!
家族も助けに来れる人がいなくて、近くに鉄道の駅も無い、帰る術が無いけど、タクシーは高いから嫌だ!
そういう人たちの為に、採算が合わないのを覚悟で始めたサービスなんです。
僕はそこで儲けるよりも、同じ気持ちで走っているライダーたちとの、信頼関係を大切にする事の方が重要だと思っているので、拘束時間については今のところ奉仕とさせてもらっています。
その代わり店内の混雑具合によっては、少々待って頂くなり、多少のご了承を頂く場合はございますが・・・。
それだけにレスキューサービスは、僕の自転車仲間に対する純粋な好意でやっている事なので、軽い気持ちで自転車に乗って、助けてもらうのは当たり前・・・くらいに思っている人を助ける為にあるようなサービスではありません。
そう考えた時に、初心者どころか初めてロードバイクに乗るような人が、お店の自転車で、いきなり淡路島に行くだなんて、さすがに常識を疑うしかありませんよね?
人の自転車だから少々何かあっても痛くも痒くも無い!とか思っちゃうんですかねぇ?
実際に現地で何かあったら、一体どうするつもりだったんだろう?
自転車を運べない状況だったら、そのまま放置して帰ったりしないだろうか?
あとから「すみません!自転車は向こうに置いてきちゃったので、回収はお願いしていいでしょうか?」なんて言われたらビックリですよね?
無いとは思いますが、性格上そんな最悪なケースを、つい色々想定してしまうので、本当はレンタサイクルで遠方までサイクリングに行かれるのはお断りしているんですよ。
できれば神戸市内だけにして欲しいですねぇ。
その時はまあ、比較的に大きなトラブルも無く、GIANTのクロスバイクだけがパンクしたとかで、修理はしてきたそうですが・・・
本当にヒヤヒヤしてしまいました。
しかしそれから数日後、改めてその3人組のうちの1人のお客様が、別のお友達を誘ってレンタサイクルを借りに来られたのです。
またしてもGIANTのクロスバイクと、TREKのロードバイクのお貸し出し・・・
「まさかとは思いますが、また淡路島へ行くおつもりですか?」
「はい!そうなんですよ!」
「そうですかぁ~。くれぐれも落車とかお怪我をなさらないようにお願いしますね。自転車も破損箇所があった場合は、実費で修理費用をご請求をお願いしないとなりませんので・・・。」
「あぁ・・・はい!気をつけますんで大丈夫です。」
ところが後日返却に来たところ・・・明らかに落車か風に吹かれたかで、自転車を倒した傷跡があったんです!
右側のバーテープが破れています。
これは明らかに自転車を倒したりしないと、こんなふうにえぐれるような破れ方はしません。
右側へ倒れた証拠にリアディレーラーの傷が酷いです。
元々のオーナーさんは右側への落車は経験していないので、壁に立てかけた際の小さな傷程度しかついていなかったディレーラーがこれですよ?
レンタルしたのもピナイさんに続いての、このグループが2回目だったので、状態を把握していない訳が無いのです。
ディレーラーハンガーの曲がりは無かったので、機能的には軽傷で済んでいますが、しかしせめてこのガリ傷は申告して欲しいですよね?
「落車か自転車を倒したりされませんでしたか?」
「い・・・いえ!壁に立てかけた時の傷じゃないですか?」
「立てかけただけでこうなるんですか?いずれにしてももう少し丁寧に扱って頂きたいですね。」
「は・・・はぁ・・・。」
立てかけただけにしては擦り傷が多いです。
こんなところ・・・立てかけて出来るような傷じゃないんですけど・・・。
「他に申告しておく事はございませんか?」
「あ・・・あの・・・1度パンクしたんですけど、それについてはよそのお店で修理をしてもらったので大丈夫です。」
厳密にはパンク修理の費用は当然ながら、次に貸し出す事を考えたら・・・新しいチューブへの交換にかかる費用だって請求したいくらいなんです。
まあそういう車両維持費って名目も含めてのレンタル料金なので、さすがに新しいチューブへの交換費用や、バーテープといった消耗品の交換費用までは請求しませんが、根拠もなく「大丈夫・・・」なんて言われると、「何がどない大丈夫やねん?」って・・・ついカチンときちゃいますよね。
お客様が帰られた後、パンク修理をしたっていうタイヤとチューブの状態をチェックする為、中からチューブを抜いてみたんですよ。
するとパンク修理箇所は3箇所・・・
「パンクは1回しかしてないって言ってたよね?なんで3箇所なん?」
1箇所は何とかちゃんと圧着していましたが・・・
2箇所目は一見ちゃんと貼れているように見えますが・・・
この通り糊が中途半端に塗り残してあります。
これは放っておいたらすぐに剥がれます。
更に・・・
3箇所目ですが、これはないですよね?
そもそも100円ショップで売っているような、劣悪なパンク修理用パッチで、修理しているっていうだけでも、自転車専門店で直してもらったなんて話が嘘なのは一目瞭然なのに、糊の塗り方や乾かして貼り付ける手順もままならず、挙句の果てにフイルムを剥がさずについたまま処理をするなんて、素人の中途半端なDIY剥き出しじゃないですか?
3箇所とも一度剥がして検証してみた結果・・・
まずリム打ちによるパンクが1箇所。
恐らくそれを直してチューブを入れ直して、空気を入れたところ・・・
チューブをタイヤのビードとリムの間に挟んでしまって、再びパンク!
その後また同じ失敗で違う箇所をパンク。
合計3箇所のパンク修理をした事になる・・・そんなところでしょうか。
僕らは自転車屋さんだからっていう以上に、長年自転車に乗り続けてきたサイクリストなんです。
自転車の傷のつき方や、パンクの仕方を見ただけで、その人がどんな扱い方をしているのかまで大凡の想像ができるんですよ。
だから一切のごまかしは通用しません。
正直に申告すれば「お怪我が無かっただけでも良かったじゃないですか!」って一声かけるだけで、お互い気持ちよく取引を終える事が出来ていたと思うんですよ。
「次回はもう少し練習してから淡路島なり行って下さいね!」ってね。
下手にごまかされると、他に何を隠しているんだろう?とか、余計に勘ぐってしまいますよね?
そしてこのお客様は留美さんから借りていた私物のワイヤー錠を、返却せずに帰ってしまったんですよ。
身分証のコピーに連絡先の住所は記載がありましたが、電話番号を聞いていなかったので、前回にご一緒だったお友達の携帯電話に連絡したのですが、一切出てくれず、折り返しもありません。
止むを得ずお客様あてに手紙を郵送しましたが、一切の返信もなく、未だワイヤー錠の返却がありません。
1日でも早く返却に来て頂きたいものです!
レンタサイクルといえば、しまなみ海道で見たレンタサイクルもそうでしたが・・・
整備がまともに出来ていない車両ばかりで、かなり危険でした。
でもそれは単純に、レンタサイクルを提供する側の『体たらく』だけの問題ではなく、使う側の問題も大きく関わっていると思うんですよ。
先日ある国際施設のレンタサイクルを点検させて頂きました。
そういう施設には自転車のメンテナンスを賄えるスタッフはいませんので、結局我々みたいな出張修理の可能な店舗に頼むしかないのですが・・・
いや~っ!酷かったです。
外国人に貸し出しをしているだけあって、傷み方が半端無い!
クランクがぐらついて根本から外れてしまったものとか・・・
リム打ちパンクした自転車は、実際にホイールのリムまでへしゃげていて、「これは一体どんなスピードで段差に乗り上げたんだ?」っていうものまで。
形あるものはいつか壊れるんです。
そんな事は解っています!
しかし命を乗せて走る乗り物でもありますし、多くの方に楽しいサイクリングのひとときを与えてくれる乗り物なんですよ。
決して人の自転車だからって、「少々手荒に扱ったって問題ないねん!」とか思ってもらいたくはないです!
1人でも多くの方に楽しい時間を共有してもらえるように、1人1人が大切に扱って頂きたいと・・・
心からそう願います。
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